ついに手にした正真正銘「世界最高」の評価…マンチェスター・Cはペップ史上最高か?

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メッシのいないチームを率い、ブンデスリーガのように1強多弱でもないリーグで、ペップは、疑い深い人々に対し、自身が世界一であることを証明してみせている。

1月6日に行われたFAカップ3回戦、マンチェスター・シティがジョン・ストーンズのミスでバーンリーに先制を許したのを見た人々は、それ見たことかと、ジョゼップ・グアルディオラ監督を非難し、ストーンズをののしろうとしていたかもしれない。

「まったくお笑い草だ。弁護の余地もない。ペップに4バックを指導する能力はない」――そんな言葉が飛び交いはじめていた。だが、ペップはそのミスの先を見据えていた。もっと正確に言えば、ミスの後のことを考え、自身が率いるシティが、かつて指揮したバルセロナやバイエルン・ミュンヘンのように、どんなことをも乗り越えられるチームへと進化する過程にあることの証拠を見ていたのである。

グアルディオラは「先制点において、ジョン・ストーンズはミスをした」と認めつつ、「問題はそこではない」と指摘する。

「大事なのは、そのミスの後、彼がどう行動するかだ。彼は下を向いたか? プレーができない状態になったか? 彼のディフェンスはうまくいっていなかったか? 事実はまったく逆だ」

「チームにとって最も大切なのは、前に一歩踏み出し、前進し続けることだ。他の選手だったら、あんな状況になったら、『ボールを回さないでくれ、プレーしたくない』と言ったかもしれない。だが、事実はまったく逆だった」

John Stones Manchester City

立て直す方法がない、恐るべき失敗であったが、そうした失敗と学習の過程があってこそ、世界チャンピオンになれると、グアルディオラ監督は信じているのである。

称賛するのは時期尚早かもしれないが、手を伸ばせば快挙に届きそうな日は近づきつつある。ひっくり返した砂時計の砂が必ず全部落ちるように、マンチェスター・Cのリーグ制覇は確実であると言っていい。

この試合でバーンリーを倒したことにより、マンCは今シーズン参加する4つの大会全てで、戦いが続くこととなった。そしてもう数カ月も経てば、ペップが率いたチームのうち、どこがベストチームか、といった話がなされるようになるだろう――バルサなのか、バイエルンなのか、はたまたマンチェスター・シティなのか。

「過去との比較は、難しい。今と昔は違うし、国も、選手も違う」とペップは答える。続けて、チームがバルセロナやバイエルンといったビッグクラブにも引けを取らないことを強調した。

「今まで言ってきたとおり、我々は、たとえばサウサンプトンやウェスト・ハムを相手に戦うのに見合うメンタルを持っているし、スタンフォード・ブリッジやオールド・トラッフォードのような大きなステージで勝てるメンタルはある」

実際、マンチェスター・Cはペップが過去率いた2クラブよりも厳しい条件下で戦っている。

ブンデスリーガは、容易く勝てる試合の多いリーグだった。就任1シーズン目の3月には優勝していた。リーグ戦を利用して、チャンピオンズリーグの決勝トーナメントで使おうと思っている戦術の予行練習をすることもできた。ドイツのトップリーグは、指揮官にとっては実験に使う“シャーレ”のようなものだったのだ。

そして、ドイツよりも多くの戦いがあり、プレッシャーも存在するイングランドでペップは同じことをしようとしている。一発勝負が多く、評価が急落しかねないイングランドで、それをやるのはある意味挑戦と言えよう。

Guardiola GFX

リーグカップで、ペップが昨シーズンしたように優勝争いを自らの手で捨てることは許されない。勝利は勝利を呼ぶが、FAカップまたはリーグカップのいずれかで余計な挑戦をして失敗すれば、批判されることは必至だ。

それでも、オレクサンドル・ジンチェンコを左サイドバックでプレーさせることになるだろうし、イルカイ・ギュンドアンをケヴィン・デ・ブライネの代わりに起用することになるだろう。ペップはチャンピオンズリーグなど重要な舞台を勝ち抜いていく上で、不確定要素がひとつでもあれば、後ろから噛みつかれることになると、誰よりもよくわかっている。カップ戦はそのための転ばぬ先の杖なのだ。

チャンピオンズリーグでは、ケガ人や出場停止にも対処しなければならない。この1年、ペップは火山灰の雲のような暗雲を振り払い続けてきた。サッカーで勝ち続けるには、よりよい準備が必要だ。

そこが、バルサやバイエルンの時とは違う。スターティングイレブンを選ぶうえでも、バルサやバイエルンと違い、マンCにはチャンピオンズリーグ制覇の経験を持つ選手はいないのである。選手たちは、実際に試合をしながら経験を積んでいくしかない。手本にすべきリオネル・メッシもマヌエル・ノイアーも、そこにはいない。自分たち自身で学んでいくしかないのだ。恐怖を感じ、ミスを犯し、それでも、より大きな自信を持てるようにし、勝つためのセンスを身に着けていくしかない。

だからこそ、ペップがこれまでマンCでしてきたことは、これまで彼が成し遂げてきたことと同等にみなされるべきなのだ。世界の他の監督の誰も――ジョゼ・モウリーニョは別かもしれないが――ペップほど嫌われ、悪口を言われ、妬まれるものはいない。

以前から、ペップをストーク・シティやエヴァートンのような中堅クラブの監督にして、どのくらい優秀な監督なのかテストすべきだという議論がある。馬鹿げた話だ。彼は、最高の監督であり、最高の選手たちと最高の働きをしている。ルイス・ハミルトンのドライビングテクニックを証明するのに、スバルのインプレッサを運転させてみろという者は誰もいない。

ペップ嫌いの皆さん、今から言うことをよく聞いてほしい。これは、ペップが監督に就任したときにはすべてが揃ってはおらず、優勝の一番手ではなかったチームの指導を始めるにあたって、ペップがしたことである。

マンチェスター・シティは一人ひとりを比べれば、彼独自の手腕なしには、チェルシーやマンチェスター・ユナイテッドの選手ほどの能力や才能をほとんど持たない選手たちだ。それなのに今シーズン、ペップは2チームを見下し、プレミアリーグのトップに立っている。その上、フェルナンジーニョ、ストーンズ、ニコラス・オタメンディ、デ・ブライネなど目に見えるほどに選手たちを成長させた。ジョゼップ・グアルディオラが最高の監督であることに疑いようはない。

Sergio Aguero Pep Guardiola Manchester City 06012018Sergio Aguero Manchester City FA Cup

ペップを中傷する人たちは決まって、指揮していた頃のバルサには、『シャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタ、リオネル・メッシという神がかり的な能力をもつ3人がいたから、仕事が簡単だった』と言うだろう。そうした評価は間違いだ。着任当初、フランク・ライカールトが去った後のチームは低迷期に入りつつあったということを忘れるべきではない。にもかかわらず、『ペップはチームに恵まれているだけ』という考えがいまだにはびこっている。

ではブンデスリーガでは、どうだったのか。一強のリーグと言われても致し方ないほどに、近年はバイエルンの優勝が続いている。

つまるところ、彼の成功には、いつも条件がついていた。メッシがいなかったら、どうだったか? バイエルンが、本当に競いあう相手のいるリーグで戦っていたら、どうだったか? そう、彼は、今まさにまぎれもなく、無知な人たちにそれを証明しつつある。

無知な人々が主張するように、バルサとバイエルンは完全に機能する体系を持ち、正しい教育を受け、完成された選手たちが次々に供給されるチームだったかもしれないが、マンCは違う。戦いに臨む準備のできた選手など、一人もいなかった。

プレミアリーグは1強多弱のリーグではなかったのに、ペップがそのように作りあげたのだ。周りには、優秀な監督が何人もおり、世界で最も裕福なクラブがいくつもあるというのに。

さらに言えば、そのスタイルも評価の上昇に一役買っている。ペップのサッカーは、常に革新的で支配的で、息を飲むようである。

どこへ行っても、驚くべき痕跡を残すのがこの男だ。2010年、ワールドカップを制したスペインには、決勝のスターティングメンバーの中に、ペップが率いたバルセロナの選手が6人いた。そのなかの一人が、優勝カップを掲げた。2014年、ワールドカップを制したドイツには、決勝のスターティングメンバーの中に、ペップが率いたバイエルンの優勝チームの選手が6人いた。そして同じように、そのなかの一人が、優勝カップを掲げた。

ペップは、上陸した土地の景色をすっかり変えてしまう。イングランドに来てみればいい、美しい風景が見られるだろう。ペップに挑んだ者たちは、今その事実を目の当たりにしている。

文=ピーター・ストーントン/Peter Staunton

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