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この試合に勝つチームが優勝に近づく。石川直宏×矢島卓郎【多摩川クラシコ特別対談】

今季2回目の多摩川クラシコは、図らずもリーグの行方を占う一戦となった。7月14日の明治安田生命J1リーグ第19節・FC東京対川崎フロンターレ。その歴史のなかで繰り広げられてきた熱戦は、サポーターのみならず、戦った選手たちにも深い印象を残してきている。DAZN(ダゾーン)「Jリーグプレビューショー#19」ではFC東京から石川直宏クラブコミュニケーター、川崎Fから矢島卓郎U-18コーチをお招きし、この対戦の意義について語り合ってもらった。

■育成・普及、その年代からライバル

――リーグ戦も後半戦に入った今回は、FC東京が首位、川崎フロンターレが3位、勝ち点差7(試合数は川崎Fが1試合未消化)で迎える34回目の多摩川クラシコとなりました。

石川: ともに上位にいる中で戦うことは、今まであまりなかったように思います。この試合で勝つチームが優勝にさらに近づく。そういう大きな価値のある一戦になると思います。

矢島: 引き分けではダメな試合です。優勝を争う中での一戦、ウチにとっては勝てばFC東京との差をグッと詰められる一戦ですから。

石川: このカードが「多摩川クラシコ」と呼ばれ始めたころ(2007年)からプレーしてきましたが、回を重ねるごとに価値が高まり、熱を帯びてきていると感じます。特に今、東京は首位にいて、対する川崎フロンターレは3連覇を狙っている。これまでの歴史の中でもお互い一番良い状態で戦えるんじゃないでしょうか。

矢島: 重ねてきた試合、両クラブの盛り上げ、そしてファン・サポーターのおかげで本当に定着しましたね。多摩川クラシコの価値をさらに上げていくためにも、今シーズン上位に両チームがいるのはすごく大事なことです。

――お二人は現役を引退されてしばらく経ちましたが、多摩川クラシコに対する考え方は変わりましたか?

石川: 変わりました。今はどちらかというとビジネススタッフ側にいるので、この試合にどれだけ集客できるのか? たくさんのファン・サポーターの方に来ていただくために、どういった取り組みができるのか?  という観点が大きいです。今回も全スタッフがかなり前から企画を立てて準備を進めてきました。僕自身、選手のころは素晴らしい舞台でプレーできる喜びを感じてきましたし、今の選手たちにも良い状態でプレーしてほしい。その雰囲気を作り出したいと思います。

矢島: 引退後は昨年までスクール、今はU-18のコーチをやっています。(アカデミーの)選手たちは子どもの時から「ライバル」という意識を持っています。例えばジュニア、ジュニアユースで子どもたちをスカウトするときに、FC東京を選ぶのか、川崎フロンターレを選ぶのか、そういうところからライバル関係が始まっているんだと実感しています。

石川: 多摩川クラシコの試合前には、同じピッチで『多摩川“コ”ラシコ』(FC東京アドバンススクールと川崎F U-12の対戦)、その下の年代の『“ココ”ラシコ』(U-10年代)という形で対戦をしてきています。育成・普及、その年代からライバルなんですよね。

以前は『多摩川“エコ”ラシコ』と称して多摩川の河川敷を一緒に清掃する企画もありました。さまざまな面でライバルであり、切磋琢磨し合う仲間でもあります。トップチームだけではなく、チーム・クラブ全体として良い関係を築けていると思います。

■忘れられない試合も思い出したくない試合も

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―——ご自身がプレーされた印象に残っている試合は?

石川: いっぱいあります。特に2006年の5-4の大逆転(※)は、忘れられない試合の一つですね。

※2006年11月11日J1第30節、味の素スタジアム。川崎Fが先制、FC東京が追いつくと、その後川崎Fが3点を加点、49分までのスコアは1-4、その後FC東京が4点を奪い(うち2点は後半AT)、5-4で勝利した。

――そういった劇的な試合は会場の雰囲気が「そうさせた」みたいなところも?

石川: そうなんですよね。最後は今野(泰幸/現ガンバ大阪)が決めたんですが、「まだ行ける、まだ行ける」という雰囲気を自分たちが出すと、応援してくれるファン・サポーターがまた選手を後押しする。本当に「一体感」という点では忘れられない試合です。

その翌年の2007年が散々な試合だったので。忘れられないですが、思い出したくもないですね。試合の途中に「やめてくれ!」と正直思いました。7点取られましたからね。自分のサッカー人生の中でも一番点を取られた試合です(※)。

※2007年のFC東京は、5月6日第10節・等々力での対戦を5-2で敗れ、10月28日第30節のホームゲームでは0-7の惨敗を喫した。この試合では川崎Fのカウンターがさく裂、及び腰になったFC東京は全く反撃できなかった。得点者は次のとおり。25' 29’ 42’ 鄭大世 40’ 箕輪義信 74' マギヌン 79' 寺田周平 85' ジュニーニョ。

矢島: その試合は、僕がフロンターレに入る前でした(当時は清水エスパルス所属)。7-0の試合は映像で見ましたが、「フロンターレ、強いなあ」ってすごく衝撃的でした。自分がプレーした中では…そんなに活躍できなかったという印象です。モチベーションはすごくあって「ここで勝てば」という試合も多かったんですが、なんというかうまくいかなかった、すごく抑えられたという印象のほうが強いですね。

■ともに今、良い状態にある

2019_07_11_tokyo_kawasaki©J.LEAGUE

――—それでは今回の対戦について展望を。

石川: 川崎フロンターレはベースがハッキリしているので、その中での「個」の部分がカギになると思います。ウチと比べると真逆とまではいかないですが、しっかりボールポゼッションしながら、例えば速い選手が入って来てスイッチを入れて決め切ってくる。ベースがあってその上に個が乗っていく。特に攻撃に迫力があります。

あとは、選手の距離、ポジショニングが非常にいい。ボールを持って仕掛けにいって、たとえ取られてもすぐにカバーが入る。人数を掛けてボールを奪い切ると、高い位置でもう一度仕掛けていく。そういうイメージはずっとありましたが、その精度がさらに高まっている印象があります。

矢島: 僕から見るFC東京は、一人ひとりの技術が高くて、いい選手がハードワークしている。そして、組織としてすごく守備も堅い。特長ある2トップがいて、そこを活かすサッカーをやっています。メンバーをある程度固定していると思うので、選手間のコミュニケーションもどんどん良くなっていると思います。

――通算対戦成績はFC東京から見て10勝9分12敗です。

石川: そういった部分、過去の勝敗も含めての歴史ですから。今の東京は今までで一番良い状態にあって、素晴らしい相手と戦える。非常に楽しみです。ここまで負け越していますが、これから積み上げていけば、その歴史は変えていける。そういうきっかけになる一戦になるんじゃないかと思っています。

矢島: 今までの通算成績よりも、今の順位を選手は見ていると思います。1試合(消化数が)少ないのですが、勝てば4差になります。そこでまた差が広がるのと、縮めるのと、変わらないのと。勝ち、引き分け、負け、結果ですごく大きな差がつきますから、かなり迫力が出る試合になると思います。

石川: 開幕戦の等々力での対戦はスコアレスでしたね。

矢島: ある意味不完全燃焼でした。今回は絶対に先制されたくないですね。先制点が大切になると思います。今のFC東京の2トップは強烈ですから。

石川: それに、守備に関してもスライドがかなりうまくいっていますからね。あえてボールを持たせるという。

矢島: やはりフロンターレにとって苦手なタイプのチームだと思います。でも、とにかく選手たちには思い切りプレーしてほしいです。

石川: 選手、スタッフ、クラブ、ファン・サポーターそれぞれに歴史があります。ともに今、良い状態です。選手たちにはクラブを背負ってピッチに立つ責任感を持って、正々堂々と戦ってほしいと思います。

◎あとがき

この対談後に、DAZNの企画として「ウイイレによる多摩川クラシコ前哨戦」を戦った二人。気になるウイイレでの対戦結果は、19日に配信されるDAZN「Jリーグプレビューショー#19」でどうぞ!

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「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です

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