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FC東京から世界へと旅立つアタッカー、鹿島アントラーズの守備を支えるDFらをピックアップ/今週のヤングガン Vol.7

日本サッカーの未来を担うU-23世代を輝かせるべくスタートした『タグ・ホイヤー ヤングガン アワード』。Goalでは彼らの奮闘に注目し、U-23世代の活躍をピックアップしてお届け。明治安田生命J1リーグ第24節、明治安田生命J2リーグ第30節からは、4名のヤングガンを紹介する。

植田直通 (鹿島アントラーズ)

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セレッソ大阪との首位決戦で、昨季J1王者にとって苦しい戦いを強いられた。鹿島アントラーズは中盤でボールをカットされたところから押し込まれ、C大阪のエース杉本健勇にフリー同然でシュートを許しながら、GK曽ヶ端準の好セーブに救われたシーンが何度もあった。そうした流れの中で奮闘したのが、日本代表に選ばれているセンターバックの植田直通だ。次々と入ってくる縦のボールを跳ね返し、同じく日本代表に選出されたDF昌子源とともに粘り強く耐え、終盤のレアンドロの決勝ゴールにつなげた。

熊本県の大津高から鹿島に加入。中学時にテコンドーの全国大会で優勝したという身体能力と対人プレーのセンスは加入当初から注目されており、さらにクラブとして多くの名センターバックを育ててきた鹿島で戦術眼や判断力に磨きを掛けている。ロシア行きの切符を手にするべく最終予選のラスト2試合に臨む日本代表として、そして鹿島のJ1連覇に向けて、残りシーズンの活躍が期待されている。

中島翔哉(FC東京)

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“惜別弾”になるはずだった。終盤に痛恨の失点を喫して迎えた89分、ピーター・ウタカのパスを受けた中島翔哉は、横浜FM守備陣の寄せをヒラリとかわし、瞬時に右足で絵に描いたようなループシュートを放ったのだ。決まれば起死回生の同点弾。明治安田生命J1リーグ第24節のベストゴールにもノミネートされていたかもしれないほど美しい軌道を描いたボールは、無情にもゴールバーに弾かれてしまった。

80分からの短い出場時間ながらも確かな輝きを放ったテクニシャンは、この試合を最後にポルトガル1部のポルティモネンセへ期限付き移籍することが決定。2014年にアカデミーから育った東京ヴェルディを離れてFC東京に移籍。同時にカターレ富山にレンタルされた当時から、リオデジャネイロ・オリンピックを目指す代表チームの10番を背負っていた。FC東京への復帰後もトップチームで出場機会を得られず、J3リーグを戦うU-23チームを主戦場とした時期もあった。しかし、昨夏のリオ五輪を境にゴールに向かう姿勢を存分に発揮。攻撃のアクセントとなり、出場機会にかかわらずチャンスに絡む機会を増やしていく。そんな中島にポルティモネンセからオファーが届いたのは今年8月。そして23歳の23番は即座に新たな挑戦を決意した。国内ラストマッチでゴールバーに嫌われた悔しさを胸に、ポルトガルの地で大きな活躍を誓う。

丸岡満(V・ファーレン長崎)

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見事なフリーランニング、そして見事な一撃だった。中盤で京都のパスをカットした前田悠佑が左サイドの翁長聖に展開すると、鋭いクロスがゴール前に上がる。これは相手GK菅野孝憲が何とか弾かれたが、ボールを拾った丸岡がグラウンダーの右足シュートを叩き込んだ。前田がボールを持った時点で丸岡はセンターサークル付近に位置していたが、このわずかな時間にペナルティエリア内まで駆け上がっていたのだ。抜群の運動量とダイナミックな動きを特徴とする彼らしさが出たプレー。V・ファーレン長崎は彼が決めたこの試合で唯一のゴールで京都サンガF.C.に勝利を収めた。

7月下旬にセレッソ大阪から期限付き移籍した丸岡にとって、大きなアピールになることは間違いないだろう。中学卒業とともに生まれ故郷の徳島を離れ、C大阪のアカデミー入り。その後、チームの欧州遠征で好評価を受けると、トップチーム昇格と同時にドイツの名門ボルシア・ドルトムントに期限付き移籍を果たすことになる。約2年間の在籍で心身ともに成長を遂げながら、帰国後はスタイルの違いに悩まされて大きな活躍を見せることができていなかった。出場機会を得るために決意した新天地への移籍。J1昇格を目指す長崎で勝利に貢献していくことが、愛する古巣への大きなアピール、そして彼自身の大きな成長につながるはずだ。

喜田拓也 (横浜F・マリノス)

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ボールポゼッションは50パーセント、シュート数も10対11というFC東京との互角の一戦を制したのは横浜FMだった。鮮やかな決勝ゴールはFWウーゴ・ヴィエイラによってもたらされたが、中盤の攻防において日本代表MF高萩洋次郎の起点となるプレーを封じ、ボールを拾っては素早く味方につなげたのが、23歳のボランチ喜田拓也だ。齋藤学が起点となり、扇原貴宏の左クロスにウーゴ・ヴィエイラが会わせた値千金の決勝点は彼のプレーから生まれた。喜田が果敢にプレッシャーをかけ、ボールを拾った扇原がロングパスでウーゴ・ヴィエイラを縦に走らせてFC東京の陣形を間延びさせたことが決定的な効果を生んだ。

横浜FMユース時代は攻撃的なポジションで非凡なセンスを見せていたが、より特徴が生きる場所でスペシャリティを磨いて昨シーズンから憧れのトップチームでレギュラーの座をつかみ取った。プレミアリーグのMVPに輝いたエンゴロ・カンテ(チェルシー)のように169センチの小柄な体を臆することなく相手にぶつけるスタイルが持ち味。これでチームはリーグ戦14試合無敗。ボール奪取で攻守の要となる喜田のプレーが、悲願のタイトルを狙う名門クラブの中盤を活性化させる。

【今週のヤングガン プロフィール】
植田直通(鹿島アントラーズ)
中島翔哉(FC東京)
丸岡満(V・ファーレン長崎)
喜田拓也(横浜F・マリノス) 

【TAG Heuer YOUNG GUNS AWARD】 

Jリーグの次世代を担う若い選手層の育成・Jリーグの発展を目的に、各メディア・著名人など、本企画に賛同するアワード サポーターが、J1、J2、J3のクラブに登録されているU-23選手の中から候補者30名を選出。その後、一般投票を含む最終選考にて11名を選抜、2017年12月に表彰する。

詳しくは こちら から

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