レアル・マドリーの背番号7、クリスティアーノ・ロナウドが通算5度目のバロンドールを獲得し、ここ最近5年間ではバロンドール4回、チャンピオンズリーグを3度制覇している。
まさに前人未到の偉業である。彼の胸の内に秘めた自信、野望が桁外れだったからこそ、達成できたのだろう。また、今回5度目のバロンドールは今までの受賞とは一味違い、ロナウドの選手としての偉大さを物語る受賞となっている。初めてバロンドール受賞の喜びを味わった2008年から、2017年までに幾多の年月が経ったが、これほどの時が経過してから再び手にしたものは彼以外にいない。カムバックでなく、10年にも渡り、世界最高レベルでプレーし続けてきたというわけだ。“赤い悪魔”でチャンピオンズリーグ(CL)初優勝の喜びを味わっていた若者がこれほど長きに渡ってフットボール界をけん引するとは誰も思わなかっただろう。
これまでのキャリアで、練習、チーム、試合、さらには歴史そのものという大きな枠組みの中で常に注目を浴び、常にナンバーワンとして振る舞ってきた。例え困難な状況を目の当たりにしても、彼は妥協や努力を惜しまない。だからこそ、レアル・マドリーの歴史に名を刻んだレジェンドの一人となり、世界最高の選手にまで上り詰めた。しかし5年前、彼には最大の困難が立ちはだかっていた。
そう、リオネル・メッシとの比較だ。2008年以来、2012年までロナウドはバロンドールをメッシに譲り続け、“2位”が定位置となってしまっていた。しかし、その屈辱から5年後、彼は自身のキャリアでチャンピオンズリーグ通算4度制覇、バロンドール5度受賞、さらにはユーロ制覇という前人未到の偉業を成し遂げた。一度は敗北を経験してから、これらのタイトル獲得は大きなインパクトを与え、メッシですら肩を並べることのできない偉業と言えよう。
この2人のプレースタイルは全く別物だ。メッシは球際のテクニックでピッチを支配し、彼自身で試合の勝敗を決めることができる。まさにフットボールの歴史を変える存在で、しばしば“宇宙人”と形容されることも納得してしまうほどのクオリティを持った選手だ。だがC・ロナウドはさらに一味違う。彼のプロフェッショナリティー、フィジカル、ゴール、成功、成績などすべてのフットボールに必要な要素や運をも味方にしている。彼のたゆまぬ努力が幸運を呼び込み、キャリアをこれ以上ないほどまでに輝かしいものとしているのだ。
今回の受賞で彼が世界最高の選手であることを再び全世界に証明して見せた。一部の人々は、今回のバロンドールで「彼が世界最高の選手ではない」ということや、「何らかの恣意的な力によって受賞した」などと言っているかもしれない。しかし、そんなことは全くナンセンスで愚かなことだ。常に輝かしい栄光の裏には彼の類まれなる努力と素晴らしい功績が物語っているということを忘れてはいけない。
文=アルベルト・ピニェイロ/Alberto Pinero