2017-08-13-dortmund-shinji-kagawa(C)Getty Images

完全復活なるか?ドルトムント香川真司に求められる“直接的な結果”【海外日本人展望】

チーム内序列:レギュラー候補

ノルマ:シーズン30試合出場

目標:リーグ2桁得点

文=山口裕平

■激変した立場

2018年に開催されるロシア・ワールドカップに向けた重要な1年を、香川真司はドルトムントで戦う。

当初、彼の周辺では今夏に何らかの動きがあるのではないかと見られていた。昨シーズンが終わった段階でドルトムントとの契約が2018年夏までだっただめだ。

加えて昨シーズンは対戦相手や試合展開によってメンバーとシステムを変えて戦うことを好むトーマス・トゥヘル監督の下で突然スタメンから外れることも少なくなかった。これらが重なったことで現地では移籍も噂され、本人も去就に関して何かを匂わせる発言をしていた。

しかし、シーズン終了後に事態は急転する。上層部との確執からトゥヘルがクラブを去り、ピーター・ボス新監督が就任したのだ。レギュラー争いは白紙となり、香川はドルトムントとの契約延長を決めた。この夏は移籍市場で活発な動きを見せていないドルトムントにとっては、重要な”補強”となった。

今回の契約延長で、香川の待遇はアップした。28歳という中堅と呼べる年齢になっただけでなく、在籍年数も長くなり、チームを引っ張るような働きにも期待を寄せられているからだ。

■新体制におけるライバルは?

開幕前の段階でボス監督の香川に対する評価は未知数だ。6月の代表戦で負った肩のケガが長引き、プレシーズンの練習試合で一度もプレーできなかった。

焦りは禁物だが、出遅れた分を取り戻していく必要があるだろう。

もっとも、マイナス要素ばかりが目立つわけではない。結果的に試合に出場することはなかったが、7月中旬からチーム練習に部分合流していた。さらにシーズン最初の公式戦となったDFBポカール1回戦の6部リーラジンゲン・アーレン戦で突如メンバー入りすると、勝負が決まった61分から途中出場を果たした。ブンデスリーガ開幕までに急ピッチで状態を上げたい監督の意図も見えた。週末にメンバー入りすることも、間違いないだろう。

新監督の採用する基本フォーメーションは4-3-3で、トゥヘル前監督も頻繁に用いていたため、大きな混乱はない。これまでと同じく、香川は2枚のインサイドハーフのうちの一角と位置付けられている。1枚はより攻撃的な選手、もう1人は攻守のバランスを取れる選手が起用されることになりそうだ。

このポジションを争うことになるのが、代謝障害からの復帰を目指すマリオ・ゲッツェ、ゴンサロ・カストロ、セバスティアン・ローデ、そして新戦力のマハムード・ダフードだ。他の攻撃的なポジションもこなせるゲッツェにはドリブルでの仕掛けや狭いエリアの突破を、カストロとダフードには中盤での展開や散らしを、ローデにはバランサーとしてより守備的な役割が期待されている。

この中で比較的、香川と似た特徴を持っているのがゲッツェだろう。ゲッツェは昨季、ほとんど1シーズン欠場したため、長いブランクがある。現在は徐々に状態を上げている段階だ。香川には狭いエリアでボールを引き出す動き、素早いターン、ゴール前への飛び込みに一日の長がある。自分の強みを出すことでアピールしていきたいところだ。

■覇権奪還のために求められる結果

そして今季の香川に求められるのが、6シーズンぶりのリーグ戦2桁得点だろう。

香川について語る際に必ずついて回るのが、ユルゲン・クロップ体制時代との比較だ。2010-11シーズンには半年で8ゴール(以降、負傷により戦線離脱)、翌シーズンには13ゴールをマークし、リーグ優勝に大きく貢献した。彼に当時の輝きを求めている人は決して少なくない。マルコ・ロイスが長期欠場する今季は、香川にもより直接的な結果が求められる。

一昨シーズンは9ゴール9アシストを記録してあと一歩に迫ったが、昨季は負傷離脱の影響もあってわずか1ゴール6アシストに留まった。

もっとも、終盤戦では重要な役割を担い、ほぼすべてのチャンスが香川経由で生まれるような試合もあった。現地メディアもその視野の広さとパスセンスを高く評価し「かつてのフォームを取り戻しつつある」という論調になっていた。

今季はそのパフォーマンスを継続的に発揮していくことが求められる。それができれば、リーグ2桁得点という結果は自然とついてくるはずだ。

文=山口裕平

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