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ブラジルに勝つための手段は“堅忍果決”…原口元気が何度も「苦しむ」と口にした理由

「堅忍果決」。強い意志で堪え忍び、いったん決めると思い切って断行すること。また、そのような性質。「堅忍」は意志がきわめて強く、じっと堪え忍ぶこと。我慢強いこと。「果決」は思い切って事を行うこと――。

10日にFIFAランク2位のブラジル代表と対戦する日本代表が“カナリア軍団”に勝つための手段を、この「堅忍果決」という四字熟語のごとく現実的に考えている男がいた。

8日の練習を終えた原口元気は、報道陣の質問に対して「90分間苦しむような展開になると思う」と切り出し、そこから何度も「苦しむ」というフレーズを繰り返した。

■バイエルンと対戦するイメージで

どうすればブラジル代表に勝てるのか――。ヘルタ・ベルリンのメンバーとしてブンデスリーガを戦い抜いてきた彼が出した結論。それが苦しみながら耐えて、ワンチャンスを決めることだった。

「90分間苦しみますからね、間違いなく。でも、苦しまないと勝てない相手なので、苦しみに行く覚悟で。勝つことで唯一楽しめるというか、そこのチャンスをうかがいながらプレーしていきたい」

来年6月のワールドカップ本大会に向けたテストマッチとして、重要な位置づけとされる今回の欧州遠征。ブラジル、ベルギーという本大会で上位進出が期待される2カ国に対して、日本代表がどれだけ力を見せることができるのか。国内組にとっては、いつもテレビで見ているようなスター選手との対戦で、海外組にとっても各国のビッグクラブでエース級の存在感を見せている選手たちの集まりに挑むことになる。今回のゲームを“腕試し”とポジティブに考えた場合、ともすれば“ワクワク感”を持ってキックオフを迎える選手がいるかもしれない。メディアやファン・サポーターも日本代表の現在地を知る上で楽しみな試合だと考えていた人は少なくないだろう。誰が通用して、誰が通用しないのか。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が目指すサッカーが本大会で結果を出せるのかどうか。いろいろな意味で試金石になると思われた。

その状況に原口が一石を投じた。強い相手を本気で倒しに行くための手段として、チームが一丸となって苦しみ抜く覚悟が必要であると説いた。強固な意思で堪え忍び、一瞬のチャンスをいかに決めることができるか。そこにこそ活路が開けると。

「楽をしていたら絶対勝てない相手。全員が苦しみながら少しの可能性を探るというか、やっぱり勝てる可能性は普通の試合よりは低いので、そこを目指してみんなでやっていくしかない。耐えながら何とかボールを前に運んでいきたいし、とにかくあわてないことですね。取ってすぐに取られてしまうとキツいので。ボールを取ることが大変な中、取った時にどれだけ落ち着けるか。ブンデスリーガでバイエルンとやる時、僕はそこが一つのポイントだと思ってるので、今回もバイエルンと対戦するイメージで僕はやるつもりです。ヘルタはバイエルンに勝つところまではいかなかったけど、引き分けに持ち込んだことはある。ホントに全員が精いっぱいやれば、相手も苦しむことになる」

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ヘルタで出番が減少している原口だが、このブラジル、ベルギーとの2連戦が彼のモチベーションを高め続けたという。

「ここに対してモチベーションがあったからヘルタでもいいトレーニングを積んで来れたし、やっと自分を表現できる場があるので、存分に苦しみにいきたい。相手もフワッとする瞬間はあると思うので、その瞬間にいいコンビネーションができれば、点は取れるし、サイドバックと2対1を作れたりするシーンはできると思う。もちろんカウンターもそう。ボールを取った時に一枚はがしたりとか、僕自身の経験上でもボールを持ち運んでいくようなドリブルは必要になると思う。そこで仕留めきれるかどうか」

本大会を見据えた上で真のテストになるのは、ブラジルのような格上相手にどうやって勝利の可能性を高めていくことができるか。全員で耐え抜いて、一瞬のチャンスを決める。世界で結果を出すための一つの答えが、まさに「堅忍果決」。しっかりと足下を見つめ、「苦しむのは好きではないですけど、でも解決策はそこしかない」と現実的に勝利を目指す原口の言葉には、ブラジル戦で見るべきテーマが詰まっているように感じた。

文=青山知雄

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