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松本を支えたキャプテン橋内優也。苦しんだ序盤戦と自身4度目のJ1挑戦に懸ける思い

■序盤戦、勝てなかった苦しい時期

最後までドキドキの2018シーズン最終節だった。

ここまで首位につけている松本は、この徳島ヴォルティス戦に勝てば自動でJ2優勝となる。しかし引き分け以下であれば、他のライバルチームの結果次第。果たして松本はポゼッションに長けた徳島の攻撃をシュート4本に抑え込む堅守を見せたが、幾つかあった好機を活かせないままスコアレスのまま試合終了となった。

しかし大分トリニータとFC町田ゼルビアも引き分けたことで松本の首位は動かず。ほぼ満員となったサンプロアルウィンに、歓喜の瞬間が訪れた。例年にない混戦となった今季のJ2リーグは松本が制し、キャプテンマークを袖に巻いた橋内優也が誇らしげにシャーレを高々と宙に掲げる。長く苦しいシーズンを勝ち抜いた者だけが辿り着ける、最高のグランド・フィナーレだった。

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「今季ここまで本当に長かったし、序盤は勝てる試合が少なかったので、正直すごく苦しい思いがあった」と今季を振り返る橋内の言葉は、まさしく事実だろう。序盤は勝利がどこまでも遠く、負傷者の頻発し、苦しんだ時期もある。最後の最後まで続いた僅差の上位争いにも心身ともに疲弊したに違いない。

「松本はずっと結果を残してきたチームでしたが、僕がゲームキャプテンを務める今季が、もしかしたら一番勝てないシーズンになるのかもという思いも少しあった。だけど今、こうして大きな目標を達成することが出来て、すごくうれしいです」

■徳島から移籍、2年目の決意

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▲第6節レノファ山口戦(1-1)。開幕から2敗4分と松本は勝てず20位に沈んでいた

長らく主力としてプレーしてきた徳島から、さらなる成長を期して松本に新天地を求めたのは昨季のこと。早々に反町康治監督からの信頼を得て、定位置を確保すると、キャリアハイとなるリーグ戦41試合に出場するなど大きな足跡を残した。一方でチームは最終順位8位に終わり、J1昇格プレーオフ出場も逃している。

だからこそ今季は、表には出さなかったものの開幕前から雪辱に燃えていた。移籍初年度では言いにくかったことも、2年目ともなれば遠慮なく口に出した。「これまでは選手同士でのコミュニケーションが少ない気がした」、「開幕直後になかなか結果がついてこなかったのは、チーム全体に甘さがあったからだと思う」といった発言も、全ては目標達成のため。

もちろん強い言葉を口にする以上は、パフォーマンスやコンディションも高いレベルを保たなければ説得力に欠ける。もともと「ケガがちな選手」と自己認識するようにシーズンの出場数が30試合を超えることがなかったが、松本に来てからは昨季41試合、今季も34試合に出場するなどピッチに立ち続けている。もっとも身近のサポーターである家族の支えも大きいと語るが、この地においては『無事是名馬』の格言を実践してきた。

今季の松本のチーム総失点数は、リーグ最少となる34失点だった。J2の全22チームのなかで唯一の30点台は誇るべき数字だろう。もちろんチームとしての守備意識の賜物だが、最終ラインで体を張った橋内の貢献度も特筆すべきものだった。

■自身のJ1は苦い経験しかなかった

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身体能力の高さによるスピードや空中戦の強さは、かねてより高く評価されてきた。くわえて松本に移籍してから、「今までは個人能力まかせで守ってきた部分もあったが、ポジショニングの取り方などを反町監督に教えてもらった」。心身ともにセンターバックとして一回り成長できたという自信が、今季の橋内のパフォーマンスにもよく表れている。

それでも、トップカテゴリーの厳しさは知っているだけに楽観視は断じてしない。むしろ「前回(2015シーズン)は1年でJ2に降格してしまったが、来季も厳しいシーズンになるのは間違いないと思う」と厳しい戦いを予見する。橋内個人としてもサンフレッチェ広島所属時は出場機会が限られ、徳島所属時には浮上のきっかけがつかめないままに早々と最下位が確定してしまった。その苦さを知るからこそ冷静にならざるを得ない。

しかし、ことさらに悲観的な見方もしない。事実、今季はチーム全員が一丸となって戦うことで、強豪との厳しい優勝争いを勝ち抜いている。

「戦力的にも厳しいかも知れないが、自分たちのやるべきことをやりきることで他のJ1チームと渡り合っていきたい。少しでも勝ち試合を増やして、少しでも負け試合を減らすことで勝ち点を積み上げていきたい」

広島のときは若過ぎた。徳島のときは何かが足りなかった。松本で迎える3度目のJ1挑戦で、橋内はチームと共にどのような爪跡を残すのか。

文=多岐太宿

■DF 31 橋内 優也(はしうち・ゆうや)
1987年7月13日生まれ、31歳。175cm/72kg。滋賀県出身。栗東西中→東海大第五高を経て2006年サンフレッチェ広島加入。ガイナーレ鳥取(当時J2)への期限付き移籍を経て2010年徳島ヴォルティス、17年松本に移籍。J1通算25試合出場2得点、J2通算178試合出場7得点(18/11/17時点)。松本では3バックの左右をこなす。

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