主将降格＆退団寸前から救世主へ。復調のマグワイア、ダービーは最大の試練にして絶好機に

多くの誹謗中傷を浴びてきた男は苦境を乗り越えて復調気配を示している。マンチェスター・ダービーは彼にとっての最大の試練となるだろう。

マンチェスター・ユナイテッドは低調なシーズンスタートを切った中、救援に駆けつけるヒーローを必要としていた。

夏の間にキャプテンの座を剥奪され、クラブがウェストハムに売却しようとしていたセンターバックは、かつての調子を取り戻し、ユナイテッドに活力を与える存在となった。マグワイアは直近で3連勝したチームにおいて重要な役割を果たしている。

一時は戦力外に近い存在となり、SNSとスタジアムの両方で雪崩のような罵倒に耐えなければならなかった選手にとっては、まさにセンセーショナルな復活だった。しかし、彼の本当の試練は、日曜日のマンチェスター・シティとのダービーとなるだろう。

宿敵を相手に好パフォーマンスを残せれば、彼の自信と信頼度は大いに高まるはずだ。残るシーズンのチーム内での地位も確固たるものになるかもしれない。しかし、もしも大敗を喫し、その責任を背負うことになれば、ここまでの復活劇が忘れ去られ、振り出しに戻ることになりかねない。

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4度の先発で4勝
マグワイアはチームの物事がうまくいかないときに矢面に立たされることに慣れているが、先発メンバーにすら入れない状況が続いていた。そのため、今季のチームの惨憺たる結果に対する非難については免れてきた。マグワイアが先発したのは全コンペティションで4試合だけ。そして、ユナイテッドはそのすべてに勝利している。
初めての先発はクリスタル・パレスとのカラバオ・カップ。3-0で完勝した試合において、彼は傑出していた。次のブレントフォード戦での先発は2週間待たねばならなかったが、アディショナルタイムにスコット・マクトミネイの劇的なヘディングシュートを導き、オールド・トラフォードに歓喜をもたらす一翼を担った。
少年時代を過ごしたシェフィールド・ユナイテッドを相手に2-1で勝利した試合では、マン・オブ・ザ・マッチに。ユナイテッドのキャプテンだった頃を振り返り、試合後にはサー・ボビー・チャールトンを悼んだ。

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コペンハーゲン戦では救世主に
コペンハーゲン戦でのマグワイアは、ジキルとハイドのような二面性を見せた。だが、最終的にはアンドレ・オナナと共に新聞の一面を飾っている。
自陣での軽率なボール扱いからポスト直撃のピンチを招いたものの、決定的なブロックで挽回。後半にはキャプテンらしい振る舞いで、ポゼッションしつつチームを前進させた。ラスムス・ホイルンド、アレハンドロ・ガルナチョ、マーカス・ラッシュフォードがチャンスをものにできなかった後、このディフェンダーはクリスティアン・エリクセンのクロスから見事なヘディングシュートでネットを揺らし、この試合唯一のゴールを決めてみせた。
ここ数年、屈辱を味わってきた彼に対し、オールド・トラッフォードの観衆は一転して彼の名前を歌い始めたのだ…。
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過去1年でわずか1敗
マグワイアの最近の上向き調子とユナイテッドの成績への影響は、それほど驚くべきものではない。ユナイテッドが8000万ポンドを支払って獲得した大柄の男は好調時、マンマークと空中戦、ロングパスに秀でた有能なセンターバックだった。
2021-22シーズンのユナイテッドの惨めな戦いではスケープゴートの一人となり、決定的なミスもいくつか犯した。それでも、レッド・デビルズがトップ4入りを果たしたそれまでの2シーズンは中心選手の一人として最終ラインを支えてきた。
昨季、マグワイアが先発した16試合のうち、ユナイテッドは12勝4敗。そして、彼が先発した過去1年における唯一の敗戦は、今年4月のセビージャ戦だけだ。

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欠場中のチームの低調ぶり
マグワイアがテン・ハーグの下で示している高い勝率を説明するのには注釈もある。一つは、ユナイテッドが有利と目される比較的与しやすい相手との試合にしか先発に選ばれていないということ。
一方で、0-7で大敗したリヴァプール戦や3-6で大敗したマン・シティ戦、FAカップ敗退の試合など、テン・ハーグは大一番で彼を見過ごしてきた。今シーズンのユナイテッドは、マグワイアの経験をもっと頼りにしても良かったのかもしれない。
ノッティンガム・フォレスト戦では開始4分で2失点し、ガラタサライ戦では終盤に2ゴールを与えてしまった。離脱したリサンドロ・マルティネスは昨シーズンの面影がまるでなく低調続きで、ヴィクトル・リンデロフには一貫性がない。マグワイアが復帰して以来、ユナイテッドはよりソリッドになった。
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積極性と推進力
このセンターバックの資質は、シェフィールド・ユナイテッド戦でも発揮された。ユナイテッドが全体的にだらしなく見える中、マグワイアはチームをまとめ上げた。
このイングランド代表DFは、ブラモール・レーンで76本の正確なパスを供給。空中戦での勝利数も5回と、この夜の最多記録を更新した。コペンハーゲン戦では、積極的にボールを奪いにいき、ピッチの両サイドでアグレッシブなプレーを見せた。
マグワイアの顔にしばしば見られた破滅的な表情は、目的と自信を表す集中した眼差しに変わった。今のユナイテッドがマグワイアの変化の恩恵を享受しているのは間違いない。
コペンハーゲン戦の勝利後、テン・ハーグは「彼はポゼッションに貢献し、推進力と縦パスでチームに積極性を与えている。前方へのディフェンス、デュエルでの自信もそうだ。もちろん、彼のヘディングは特長で、とても良いフィニッシュだった」と称賛した。
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試練にして好機のダービーへ
しかしコペンハーゲン、ブレントフォード、シェフィールド・ユナイテッド相手に好パフォーマンスを披露するのと、ダービーというプレッシャーのかかる雰囲気の中で昨季の3冠チームを相手にそれを披露するのはまったく別のことだ。
シティ戦は完全復活を印象づけたいマグワイアにとって最大の試金石となるだろう。彼のパフォーマンスが上がっているとはいえ、日曜日のオールド・トラッフォードで影響をもたらせるかはわからない。フリアン・アルバレス、フィル・フォーデン、ジェレミー・ドクのような選手たちは十分なスペースがあれば、マグワイアを翻弄することができるクオリティを有している。
重要なのは、マグワイアが不用意なボールロストをせず、断固たるポジショニングと判断力で最終ラインを牽引することだ。もし、マグワイアが冷静さとソリッドさを維持し、危険察知能力を存分に発揮できれば、アーリング・ハーランドらをシャットアウトし、ユナイテッドの勝利に貢献できる可能性は高くなる。
常にプレッシャーにさらされるとはいえ、マグワイアはファンからの信頼を取り戻してきたところで、期待感とサポートを受けてダービーに臨める状況だ。彼はクラブを去る瀬戸際から、救世主となるために戦ってきた。今、彼はユナイテッドに必要な存在であることを示す最大の試練にして絶好のチャンスを得ているのだ。