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ルヴァンカップ準々決勝、各クラブで勝利の鍵を握る存在は? 現役高校生からベテラン、夏の新戦力ら8選手

 9月6日にプライムステージ準々決勝第1戦が行われるJリーグYBCルヴァンカップ。タイトルに向けて正念場となる夏場の対戦にて、各チームの勝利の鍵を握る選手たちを紹介する。【文=河治良幸】

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    FC東京 vs アビスパ福岡

    ■MF原川力(FC東京)

     夏に加入したMFの活躍に、チームの命運はかかっている。グループステージではセレッソ大阪の選手として対戦。4-3-3のアンカーを担い、サイドアタックの起点として東京のディフェンスを苦しめたが、ノックアウトステージでは心強い味方となる。松木玖生がU-23アジアカップ予選でチームを離れることもあり、原川が東慶悟とともに中盤を仕切っていくはずだが、とりわけ長短の正確なパスによる展開力は勝利の鍵になりそうだ。ルヴァン準々決勝に先立つ9月3日の福岡戦では後半途中から東に代わって投入されたが、CKから熊田直紀のリーグ戦初ゴールをアシストした。福岡のような堅守速攻スタイルのチームに対して、セットプレーのキッカーとしても重要な役割を果たすことになりそうだ。


    ■FW山岸祐也(福岡)

     リーグ戦8得点、山岸は今Jリーグで最も勢いに乗っているアタッカーの一人だ。ルヴァン杯のグループステージは1得点だが、タイトル獲得に向けて重要性が増してくるノックアウトステージで、エースらしい活躍が期待される。5月3日にあったホームのリーグ戦ではヘディングの繋ぎから佐藤凌我の折り返しを受けて、左足でゴールを突き刺す。FC東京戦で唯一のゴールをこじ開けて、1-0の勝利の立役者に。そして異例の同一カード三連戦の初戦となる9月3日のアウェーゲームで、スローインの流れから紺野和也の折り返しに左足で合わせて、2-1勝利の立役者となった。すでに30歳だが、大卒からJ2を渡り歩いて、2020年に途中加入した福岡でJ1昇格に貢献。昨年は初めて二桁得点を記録した。まさしく叩き上げのタレントで、ここからさらなる飛躍も期待できる。

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    ガンバ大阪 vs 浦和レッズ

    ■MF山本悠樹(G大阪)

     ガンバ加入4年目のMFはダニエル・ポヤトス監督のもと、最も欠かせない選手の一人になっている。ここまでリーグ戦は4アシストを記録したが、多くのチャンスに起点として絡んでいる。関西大学時代、2019年のユニバーシアードで三笘薫など、現在A代表や欧州クラブで活躍する選手たちと金メダルを獲得したが、昨年の大きなケガを乗り越えて、個人としても手応えをつかんでいるシーズンで、慌てる様子はない。グループステージでは第6節の大阪ダービーで、半田陸の決勝ゴールをお膳立てした。5月14日に行われた浦和とのリーグ戦は1−3と敗れたが、山本は欠場しており、ポヤトス監督が思考の早さを賞賛するゲームメイカーの存在が、ルヴァン杯の舞台で大きなプラスをもたらすことは間違いない。


    ■FWホセ・カンテ(浦和)

     苦しみながらもグループステージを突破したが、得点はB組で最も少ない「5」だった。アレクサンダー・ショルツとマリウス・ホイブラーテンというJリーグ最高峰のセンターバックコンビと37歳になっても成長を止めないGK西川周作の存在は頼もしいが、点が取れなければノックアウトステージを駆け上がることは難しい。そこで期待したいのがFWカンテだ。9月2日の新潟戦は無得点だったが、それまでリーグ戦で3試合連続ゴールを記録しており、どれも高度なシュート技術が無ければ生まれなかったゴールだ。守備やオフの動きも献身的で、2列目の前を向かせるプレーも目立ってきている。ギニア代表の活動による離脱も予想されたが、すでに突破を確定させているアフリカネイションズカップ予選のメンバー外となり、ルヴァン準々決勝の出場は可能となった。G大阪を相手に、浦和を勝利に導くゴールを決められるか。

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    北海道コンサドーレ札幌 vs 横浜F・マリノス

    ■DF岡村大八(札幌)

     札幌といえば攻撃力だが、その背後でリスクマネージメントするバックラインこそが、それを支える生命線だ。オールコートのマンツーマンという日本でも異例の守備戦術をベースにするが、岡村が3バックの中央から状況に応じた受け渡しを統率しながら、隙間に入り込んでくるアタッカーにも柔軟なカバーリングで対応する。2019年に立正大から当時J3だったザスパクサツ群馬に加入し、期限付き移籍でJFL(現在J3の宮崎)も経験した岡村は札幌に来て3年目で、すっかりディフェンスリーダーに定着した。8月26日の川崎フロンターレ戦で議論も巻き起こった退場を命じられ、週末のG大阪戦は出場停止だったが、前向きにルヴァン杯準々決勝の2試合に備えており、グループステージでも2回戦った横浜FMの強力なアタッカー陣に挑む。


    ■MF山根陸(横浜FM)

     バーレーンでアジアカップ予選を戦うU-22日本代表、そしてアジア大会のメンバーにも山根陸の名前は無かった。ただ、前向きに捉えれば、U-20W杯などで代表活動に多くの時間を取られてきた中で、マリノスに集中できる時間が与えられたとも言える。グループステージも2試合の出場、うちスタメンは1試合に止まっており、大会で最も活躍が目立った21歳以下の選手に贈られる「ニューヒーロー賞」の中間発表で、トップ10にも入っていない。しかし、投票上位者には敗退チームの選手も多く、ここから目覚ましい活躍でチームを躍進に導ければ逆転は十分に可能だ。中盤でボールを動かし、相手のプレスを剥がしながら、チャンスの起点となるプレーは目を見張るレベルにある。あとはいかなる状況でも、自信を持って前向きなプレーを選択していけるか。ルヴァン杯準々決勝での山根の活躍が、連覇がかかるリーグ戦の終盤にも影響しそうだ。

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    名古屋グランパス vs 鹿島アントラーズ

    ■貴田遼河(名古屋)

     常に彼の矢印はゴールに伸びている。日本にはなかなかいない正真正銘のストライカーだ。4月19日に行われたグループステージ第4節の横浜FC戦で2得点を記録し、一躍ヒーローとなった。そこから1カ月と待たずに正式契約を果たし、高校生Jリーガーに。「ニューヒーロー賞」の中間発表でもトップ10に名を連ねており、チームの勝利を目指しながら、同年代の早川隼平(浦和)や19歳の俵積田晃太(FC東京)などと争う構図となっている。キャスパー・ユンカーなど強力なアタッカー陣に割り込む形で、リーグ戦でも出場時間を増やしている貴田。2年後には早川や後藤啓介(ジュビロ磐田)らとU-20W杯の中心選手として期待されるが、来年の夏にあるパリ五輪に飛び級で選ばれるポテンシャルもある。


    ■溝口修平(鹿島)

     19歳の左サイドバックはグループステージ4試合に出場し、着実に経験を積んできた。そこからリーグ戦でもスタメン4試合と出番を増やしており、粘り強い守備とアグレッシブなオーバーラップで存在感も高まってきた。今年5月から6月にかけて行われたU-20W杯のメンバーからは外れたが、鹿島の環境でしっかりとプレー強度や戦術理解をレベルアップさせている。準々決勝の相手は名古屋。リーグ戦でスタメン起用されたが、対面の野上結貴にゴールを許し、ハーフタイムで交代となった苦い思い出がある。攻撃面の期待はもちろんだが、デュエルで相手にやらせない守備をしっかりと見せつけて、ポジション奪取を確かなものにしていけるか。「ニューヒーロー賞」の中間発表でトップ10には入らなかったが、ここから勝ち上がれば逆転は射程圏内だ。

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  • ルヴァン杯準々決勝 日程

    ■第1戦

    9月6日(水)

    • 19:00 FC東京 vs アビスパ福岡
    • 19:00 ガンバ大阪 vs 浦和レッズ
    • 19:00 北海道コンサドーレ札幌 vs 横浜F・マリノス
    • 19:30 名古屋グランパス vs 鹿島アントラーズ

    ■第2戦

    9月10日(日)

    • 18:00 鹿島アントラーズ vs 名古屋グランパス
    • 18:00 横浜F・マリノス vs 北海道コンサドーレ札幌
    • 19:00 アビスパ福岡 vs FC東京
    • 19:00 浦和レッズ vs ガンバ大阪

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