試合後にMF福田湧矢が発したのは怒りにも近い、切迫した危機感だった。批判を覚悟してでも、あえて具体的な選手名を出してチームの問題点を指摘する。リーグ戦7試合未勝利となった東京ヴェルディに必要なものとは。
■「谷口だったら守れていた」福田が口にした危機感
「こんなことを言ったらそれまでですけど、谷口栄斗だったらあんなの守れていた」
耳を疑った。昨シーズン限りで東京Vから川崎フロンターレに移籍したセンターバックの名前を、劇的ドローゲーム直後の福田が口にしたからだ。
これまでさまざまな試合を取材してきたが、どんなにショッキングな敗戦を喫したチームからも、退団した選手の名前が出てくることは、ほとんどなかった。こうした発言は、ファン・サポーターやチームメイトの反感を買う恐れがある。それほどまでに踏み込んだ言葉を、7節という早い段階で聞くとは思わなかった。
福田は真っ直ぐにこちらを見つめながら言葉を続けた。その目からは「ヴェルディがJ1に残っていくために」できることを、自身が批判の矢面に立ってでも今のうちから訴えなければいけないという強い危機感が伝わってきた。
「絶対に勝たないといけない試合でした。勝ち点1を取れたというよりも、2ポイントを落としたという試合という考えなので悔しいです。ずっと応援してくれているサポーターにも本当に申し訳ない気持ちでいっぱいですし、早く笑顔を届けたい」
ここまでリーグ戦6試合を戦いながらも未勝利だった19位の東京Vは、ホームに最下位の千葉を迎えた。負ければ順位が入れ替わる大一番で、一瞬の隙を突かれてしまった。
千葉に目立ったチャンスを作らせていなかった東京Vだったが、58分に一本の縦パスから千葉FW矢村健にポケットを攻略された。寄せも甘く、そのままシュートを打たれてしまうと、GKマテウスはキャッチし切れず。こぼれ球に反応したFWエリソンがフリーの状態で、難なく無人のゴールに流し込んだ。
福田が問題視したのは、この失点シーンだった。「自分たちFWが得点を決められないのが一番の課題」とした上で振り返る。
「本当にあの一本しか(相手のチャンスは)なかったと思うので、あれでやられてしまう後ろだと厳しい。もちろん、得点を取れない前の責任はある。でも、あの一本で集中が切れてしまう、あれを打たせてしまうのは何でなのか」
福田と谷口は同じ1999年生まれで、J1残留圏ギリギリの17位でフィニッシュした2025年に共闘した。かつてのチームメイトの名前を口にすることで、死に物狂いでJ1残留を勝ち取った当時の記憶を掘り起こしているようだった。
福田は73分の交代後も、ベンチから食い入るように戦況を見つめていた。ボールがタッチラインを割れば、誰よりも早く飛び出して、すぐさまボールを回収し、味方にリスタートを促していた。鬼気迫るものがあった。
「J1に残るためには絶対に勝ちが必要。だから自分にも、もっと言ってほしい。毎試合俺がこういうことを一番言っている。危機感を訴えています。でも、もっと後ろがリーダーシップを持ってやってくれないと厳しいんです。チームでやらないといけない」




