覚悟の移籍だった。9月4日、J2のジュビロ磐田からG大阪への完全移籍が発表されたMF角昂志郎は、その2日後に早くも新天地でのデビューを果たした。果敢なドリブル突破で持ち味を示したが、「それだけじゃ意味がない」と言い切る。愛するクラブを離れた24歳は、新天地でさらなる活躍を誓った。
■「ジュビロを愛していた」角の移籍を後押しした仲間たち
愛するクラブを去る決断は簡単ではない。それは24歳の角にとっても同じだった。
「初めての移籍だったので、抵抗がありました。メンタル的にもきつかった」
FC東京の下部組織から筑波大に進学した角は、特別指定選手を経て2025年シーズンに磐田へ加入した。身長166センチと小柄ながら、キレのあるドリブルと力強いシュートを武器として、プロ初年度にJ2・34試合4得点を記録。ユーティリティ性にも富んだ期待のアタッカーだ。
今季もサックスブルーのユニフォームをまとってリーグ戦2試合に出場していたなか、西の名門からのオファーが舞い込んだ。「まったく予想していなかった。すごくバタバタで怒涛の一週間」と振り返る。
「正直、(G大阪に)行かない理由がなかった。J1で戦っているビッグクラブが自分と一緒に戦いたいと言ってくれた」
伸び盛りの若武者にとって、J1のビッグクラブから届いたオファーはステップアップの大きなチャンスだった。しかし同時に、ジュビロへの熱い想いも心の大きな部分を占めていた。
「大学を卒業してジュビロに入って、すごく愛を感じたクラブでした。そして自分もジュビロを愛していた」
魅力的なオファーであることに間違いなかった。しかし、明治安田J2・J3百年構想リーグではキャプテンも任され、J1復帰に向かって心血を注いでいたからこそ、後ろ髪を引かれた。
そんな悩める男の背中を押したのは、ほかでもない磐田の仲間たちだった。
「ステップアップすることはいいことなんだし、そんなにお前が悲しむ必要はない」
浮かない顔を見せていた角を笑い飛ばすように励ましたのは、同じくチームキャプテンを務めた元日本代表GK川島永嗣だった。今季より就任した秋葉忠宏監督も「頑張ってこいよ。むしろJ1で活躍してくれたら、いまのジュビロにいる若い選手の目標にもなれる。どんどん背中で見せてほしい」と激励。J1復帰の重要なピースを失ったがチームは、角を快く送り出した。
「思い切って臨めるように声をかけてくれた」
「もちろん離れるのは悲しい決断でしたが、ガンバでプレーするチャンスが次にいつくるかは分からない。素直に自分の意思に従って決めました」と、感謝を口にし、愛するクラブに別れを告げた。






