川又堅碁の目は死んでいなかった。
新潟、岡山、名古屋、磐田などでプレーし、2020年から千葉で3シーズンを過ごした元日本代表ストライカーは、23年8月に沼津へ加入。J3昇格を目指すなか、天皇杯2回戦を迎えた。昨季の降格について「さすがにショックは、ショックでした」と振り返るが、この古巣との一戦を「チャンス」と捉えていた。
■運が悪い? いや千葉戦は「チャンス」
沼津が新たなスタートを切った。先頭には川又がいた。
JFLは、秋春制への移行を控えた今年前半、昇降格のない特別大会「2026 JFL CUP」を戦った。沼津は東グループを3位で終えている。そして、今月31日から、J3復帰を目指す2026/27シーズンのリーグ戦に臨む。
今回沼津が天皇杯2回戦でぶつかったのはJ1の千葉。普通なら「運が悪い」と思ってしまう組み合わせだが、川又の考えは違った。
「若いチームなので、伸びていくためにはこういう試合をモノにするのが、一番大事だと思う」
まさに“食ってやる”という意思が見えたゲームだった。
立ち上がりから千葉にボールを握られるも、堅守速攻を徹底し、カウンターからの一発を狙い続けた。90分間で16本のシュートを浴びたが、選手たちは体を投げ出し、得点を許さなかった。ボールをはじき返すたびに、雄叫びが聞こえた。
川又は65分からセンターフォワードの位置で出場し、両手両足を目一杯に広げてボールをキープ。追い越してきた味方にパスをつなげると、自身もすぐさまゴール前に駆け上がった。チームを勝たせる1発がほしかった。
「今いる場所で全力を出さないと、サッカーをやる意味がない。どの場所でも常に高みを目指して、その目標に向かっていると全員で実感できるようにするのが、自分の成長にもつながる」
大きな野心を持って千葉に挑んだ。試合は0-0で延長戦に突入。両チームともに疲へいし、こう着状態が続いたなか、117分、先に均衡を破ったのは沼津。FKの流れから、ゴール前の混戦に持ち込むと、最後はDFウエンデルが押し込んだ。
勝負あり…と思われたが、試合は終わらない。 沼津は120+1分にロングスローの流れから、痛恨の同点弾を許した。待望の勝利が両手からこぼれ落ちた。
この時点で、沼津は満身創痍。足をつる選手が続出していた。影響はPK戦にもおよび、当初キッカーを務める予定だった選手が順番を待っている間に足をつってしまうアクシデント発生。9人目の選手が止められてしまい、7-8で敗退となった。
川又は試合後に「今回プレシーズンが2カ月あったんですけど、正直、それがイレギュラーだった。(プレシーズンを含めて今季は)自分はまだ100分くらいしか試合に出ていない。すごく少なくて、徐々に状態を上げていかないといけないなかでも、結果を残せなかったのは悔しいですね」と、この試合に臨む上での難しさを吐露した。


