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「チャンスのない選手はいない」森保一監督が語る日本代表監督としての思考、選手選考の裏側

今回の『Jリーグラボ』では、日本代表を率いる森保一監督にMC野々村チェアマンと、ゲスト研修員の元日本代表・水沼貴史氏、福田正博氏が質問攻めした。

テーマは「日本代表監督」。日本代表監督として、歴代最多となる100試合を指揮した男の原点はどこにあるのか。

森保監督は2018年から代表監督を務め、スペイン代表やドイツ代表を破った2022年ワールドカップカタール大会を指揮した。2026年大会に向かう第2次森保ジャパンでは、アジア予選で圧倒的な強さを誇り、8大会連続・史上最速(ホスト国以外)で今夏のW杯出場を決めている。

ゲストの面々とも旧知の仲の森保監督は、照れくさそうにはにかみながらスタジオ入り。「仲が良い」と自称する福田氏の最初の質問は思いがけないものだった。

「ピングのポルシェの17番に乗っていたよね?」

野々村氏と水沼氏が真偽を疑うと、森保監督は「いえ、乗っていません」と即答。福田氏が「ウソをついた」と責められるなか、スタジオトークのエンジンがかかり出す。

話題は車つながりで、日本代表監督としての視察の話に。

「自分のタイミングで動けるので」と監督就任時は、J開幕前に行われる各クラブのキャンプを、自身でレンタカーを運転して回っていたという。しかし現在は運転を任せているとのこと、その理由は「1試合でも多くの試合を観たいから」だと説明した。

「例えば、J1に限定しても10試合観ますし、いまはヨーロッパに行っている選手が100人を超えています。彼らのフルマッチの映像を見ないといけないので、本当に時間が足りないんです」

試合映像の視聴は代表のスタッフで分担しているというが、基本的には日本人選手の全試合を観戦するという森保監督。時には睡魔に襲われることもあるというが、寝る間も惜しんでいる。休みの時間はほとんどなく、特に代表期間中は24時間体制で、試合への準備を進めるようだ。

それでも森保監督は「ストレスはない」と言い切る。スタジオが驚きに包まれるなか、代表活動への熱い想いを語った。

「ストレスがあるとすれば、時間が足りなくて、試合を観られないことがストレス。代表を目指してやっている選手たちに申し訳ないですし、試合を観て、選手を知った上で選ぶことが最低限の義務だと思う。そのなかで活動したい」

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    代表離脱しても選手はクラブで試合に出ている

    森保監督がサンフレッチェ広島で監督を始めた2012年シーズンから、サッカー界も大きく変容した。

    欧州で活躍する日本人選手が増えたことはもちろん、選手たちのメンタリティも変化していると、現場で選手たちを指導してきた森保監督も実感している。

    「選手たちは同じ目線で世界を見ています。ワールドカップに出てくるような世界でもトップ・オブ・トップの選手に対して、『彼らはすごい。モンスターだ』と認めながらも、『でも、彼らにも弱点はあります』と言えるんです。選手たちは相手をリスペクトしながらも、世界を相手に勝っていくことができるようになった」

    水沼氏はうなずきながら、ここで一つの疑問をぶつけた。では、日本代表は4年前と変わっているのかーー。

    森保監督は、代表戦士たちのたくましさを強調する。

    「自分たちがいろいろな経験をして、自国のリーグでも主力になっていって、やれる自信や落ち着きをすごく感じます。というのも、前回のカタールW杯のときは代表戦でアジアや日本に来て、代表ウィーク後に自チームへ戻ると、試合に出られなくなってしまうケースも多かったんですよね。

    でも、いまは試合直前に帰っても、試合に出られる選手がすごく多い。あくまで私の主観ですが、チームに必要とされているのはもちろん、中心になっている部分が大きいと思います」

    世界トップレベルの選手たちをリスペクトしすぎることなく、同等に戦えるようになった現在のサムライブルー。

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    カタール大会後の日本代表の変化

    2022年の前回大会でPK戦の末に敗れたクロアチア代表戦後、日本代表の選手たちは「もっとやれる。勝てたのに」と悔しさを口にしていた。その姿を間近で見た森保監督は、勝つ確率をさらに上げるためにできることは何なのかと、アップデートを意識するようになったという。

    W杯後にクラブチームの監督に就く考えもあったというが、代表監督のオファーをもらったことで、すぐさま視線を次のW杯に向けた。

    「積み上げていって、やれることを増やしていく」とミーティングやトレーニングにおける、スタッフの仕事をより分業的にした。攻撃と守備はもちろん、セットプレーの攻守でも役割を各スタッフに与えた。

    「自分がやると、これまでやってきたことが続いてしまう。約10日間の代表の活動のなかで、監督がいろいろなことをやりすぎると、結局は全部が薄まっていく。だからコーチ陣には選手に対して、チーム戦術やグループ戦術、個人戦術をより深く伝えてもらえるようにしました。そのほうが選手の能力もより発揮できるし、チーム全体もよりパワーアップできる」

    各コーチたちが各々の意見を出し合い、日本代表にとっての最適解を見つけようとしているいまの日本代表。最適解を見つけようとするのは選手選考も同じで、招集選手を決める際の議論は白熱する。

    「(代表監督の)1期目に選んでいた選手に偏らないように、裏の方々とかコーチの方に意見を聞いています。だからチャンスのない選手はいなくて、視察のなかで『この選手が良かった』ということがあれば、全員で考え直しています。そのなかでコーチ陣の違うサッカー観とかを擦り合わせていく。でも選ぶのは楽しくないですね」

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    カタールからアメリカへ。森保監督の持つ巡り合わせ

    番組では日本代表監督という仕事の裏側や苦労が明かされた。

    収録中も真摯にいろいろな質問に答えていた森保監督。試合中から喜怒哀楽を純粋に表現する指揮官は自分自身を「ブッキー(不器用)」と謙そん。そんな代表監督の姿を見た野々村氏からは「いろいろと言われて腹立つことはないですか?」と質問されるも、「言うよねー、くらいで終わりますね」と再び笑顔で返した。

    福田氏はすぐさま「森保監督は人間的だからいいんですよ!」とフォロー。森保監督の人柄の良さが分かるエピソードを紹介する。

    「広島でJリーグを優勝したときに、森保監督にインタビューしたんです。そのときに森保監督は、『紅白戦に出られないような選手たちが、誰かがケガをしたときとかに、すごく生き生きとやってくれた。そういう選手たちが離れずにやってくれたのが、すごくうれしかった』と言っていました。そのときに、いい監督だなと思いましたね」

    そしていよいよ、話題は次のカナダ、アメリカ、メキシコの3カ国で開催されるワールドカップへ。なかでも、アメリカは森保監督ともつながりのある場所だ。

    1993年にカタール・ドーハで行われたイラク代表戦で起こった「ドーハの悲劇」。森保監督も選手として出場していた当時の日本代表は、1994年のアメリカ大会への出場に王手をかけていたが、試合終了間際の失点で引き分けた。この結果、日本代表にとって初のW杯出場の夢は潰えた。

    あれから33年。因縁の場所であるカタールで行われたW杯を経験した森保監督率いるサムライブルーが、いよいよアメリカに乗り込む。

    選手として立つことができなかったアメリカでのW杯に、森保監督は指揮官として立つことになる。これも何かの巡り合わせかもしれない。四半世紀以上の時を経て、森保監督が決戦の地に乗り込む。

    (取材・文=浅野凜太郎)

    ■放送・配信概要

    ・番組名 :Jリーグラボ#154(前編)

    ・放送配信日時 :2026 年 2 月 27 日(金)9:30-10:00

    ・番組名 :Jリーグラボ#155(後編)

    ・放送配信日時 :2026 年 3 月 27 日(金)10:00-10:30

    ・放送チャンネル:スポーツライブ+(Ch.580)

    ※スカパー! 番組配信でも視聴可能

    ・配信 :スカパー! 動画ストア SPOOX「サッカーLIVE」

    Amazon Prime Video チャンネル「サッカーLIVE ライト」

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