試合後のミックスゾーン、塩貝健人の言葉には悔しさと昂りが入り混じっていた。
ブンデスリーガ第27節・ブレーメン戦。ウォルフスブルクにとっては、降格圏脱出のためにも負けられない大一番だった。だが、チームは無得点のまま敗戦。0-1のビハインド、74分から出場した塩貝は、最後まで得点を奪うことができず、チームに勝ち点をもたらすことができなかった。
決して見どころがなかったわけではない。81分には、対面の2人をドリブルでかわしてペナルティーエリア内に侵入する場面を作った。しかし、「あそこは自分でシュートまで持ち切らないといけなかった」と振り返るように、パスを選択したことで結果につながらず。個人で局面を打開できる能力がありながら、土壇場でエゴを貫ききれなかったことに悔しさが募る。
チームとしても課題が残った。相手が自陣に引いているにもかかわらず、ロングボールを繰り返す結果に。「(自分に)ボールが入ればかわせるけど、ブロックを引かれている中でただ蹴っているだけでは厳しい。コミュニケーションを取って次の試合に生かせれば」と、改善点に目を向けている。
また、試合後の目線はすでに代表に向いていた。発表前は「選考前の最後の(クラブの)試合で出番が来なくて、正直もう無理かもなと思った」。折れかけた、と塩貝は正直に言った。それでも翌朝からハードワークを続け、その数日後、代表スタッフから連絡が入った。3月の欧州遠征で日本代表に初選出――。それはW杯に向けてつかんだチャンスだった。
「やっぱりサッカーをやってる以上、日本代表が一番の夢」と語る塩貝は、その夢が現実になった瞬間、喜びよりも先に「今やらなきゃ」という感覚が走ったという。だからこそ、今回の代表遠征でやらなければいけないことを明確に頭の中に描いている。
「ファーストチャンスがラストチャンスだと思うんですけど、僕だけ初選出というのは期待の裏付けだと思う。その期待に応えられるようにしっかり練習からアピールして、出番を得て、そこで結果を出せればワールドカップにつながってくると思います」
国際親善試合でのスコットランド戦、イングランド戦。強敵相手の真剣勝負の場で、流れを変えられる存在として自分を売り込むことができるか。「ゲームが厳しい時に流れを変えるのは僕だけだと思う」という言葉からは決意が伝わってくる。クラブでの悔しさを燃料に、代表でゴールを奪う。あとは実行あるのみだ。



