今季は明治安田J2リーグを2勝2分でスタートしたものの、第5節・ベガルタ仙台戦で初黒星を喫した。続く第6節のヴァンラーレ八戸戦では、アディショナルタイムの直接FKで1-0の勝利を収め、現在、プレーオフ出場圏内の4位につけている。しかし、目指すのは“J2優勝・自動昇格”だ。そのためにチームが徹底すべきこととは何か。指揮官が仙台戦後に問い直した「ベース」を、主将と副主将の言葉から探る。(取材・文=白谷遼)
「ベース」の質を、どこまで突き詰めるか
90+6分、奥埜博亮が右足を振り抜くと鮮やかなFKがゴール右上に吸い込まれた。アウェイ・八戸の地で苦しい展開が続いたなか、土壇場で手にしたリーグ戦4試合ぶりの勝ち点3。この勝利の意味は単なる劇的な決着という点にとどまらない。前節の失意からチームが足元を見つめ直し、原則に立ち返ることでつかみ取ったことにも価値がある。
今月5日にレモンガススタジアム平塚で行われた第5節・仙台戦。9000人以上のサポーターが詰めかけたホームで、湘南は1-3の逆転負けを喫した。試合後、長澤徹監督が悔やんだのはチームの根幹に関わる部分だった。
「結果的には完敗という形ですが、それよりもわれわれのベースに対して、徹底し切れなかったことが非常に課題として残った」
長澤監督によると、チームに求めるいくつかの原則を紙に書き出し、クラブハウスに掲示して日々の意識づけに活用しているという。例えば「手が触れられる距離まで素早く寄せる」といったものだ。サッカーにおいては基本的な要素だが、その細部をどこまで徹底できるかが、結果を左右する。
そういった指揮官の求める「ベース」を選手たちはどう受け止めているのか。主将と副主将を務める2人が、その解釈を語る。
副主将を務める武田将平はこう表現する。
「徹さん(長澤監督)の言う『ベース』というのは、特別難しいことじゃない。サッカーをやる上で当たり前のこと。本当にシンプルなことなんです。球際でしっかり行くとか、誰かがカバーするとか、中学生のころから教わってきたような当たり前の質をしっかり突き詰めることだと思っています。そこを徹底できれば、いろいろなところにつながってくる」
今夏加入し、主将を任された堂鼻起暉は、チームとして徹底すべき姿勢を語る。
「走るとか戦うとか、そういったところはどのチームも基準としてありますが、今のベルマーレでは、攻撃と守備でやらないといけないことを徹底できているか(がベースになっている)。前から行くスタンスを持ち続けることはすごく大事。一つひとつの個のクオリティや強度が高ければ、チームとしても強くなる」
秋田戦で問われる球際と競り合いの強度
八戸戦では、後半に攻勢をかける中でリスクを背負う場面もあったが、チーム全体で意思統一を図り、失点をゼロで抑えた。途中出場の選手たちがゲームの流れを変えるタスクを果たし、勝利をもぎ取った。仙台戦で徹底を欠いた「ベース」を、改めて実践する手応えを得た試合だった。
そして次節、湘南はホームにブラウブリッツ秋田を迎える。秋田も同じく4-4-2のシステムを採用し、局面での球際の激しさとハードワークを前面に押し出してくるタフな相手だ。
堂鼻は、相手のスタイルに敬意を払った上で次節を展望する。
「秋田との試合は、相手のストロングポイントである球際や競り合いの戦いは絶対に避けて通れない。そこでしっかり自分たちがパワーを持って制していくことができれば、必ず自分たちの展開になる。奪った後に自分たちのやってきたサッカーをするためにも、対人の部分は激しくやっていかないといけない」
八戸で得た勝ち点3を、次の勝利につなげられるか。球際や競り合いを避けて通れない秋田戦では、主将と副主将が語る基準を、実際のプレーで示せるかが問われる。





