福岡MF見木友哉は「感慨深い気持ちになりました」と古巣の千葉戦に臨んだ。移籍後も千葉の試合を見ていたという見木はこの試合で躍動。2得点に絡む活躍を見せて、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出された。
■2年ぶりとなるフクアリでの試合
見木がフクアリのピッチに帰って来た。J1の舞台でーー。
「ジェフにいたときは、自分がJ1に上げてやるぞという気持ちだったけど上げられなかった。年齢やJ1にチャレンジしたい想いから移籍しましたが、 ここはプロ入りしたクラブなので感慨深い気持ちになりました」
2020年より関東学院大から当時J2の千葉に加入して、プロキャリアをスタートさせた。初年度から30試合以上に出場して中盤の要として頭角を現すと、2022年からは背番号10を背負ってジェフのために戦い続けた。
2023年には「自分を評価してくれる監督ですし、ちょくちょく連絡も取っている」という千葉の現指揮官の小林慶行監督と共闘した。チームはJ1昇格プレーオフまで進むも、東京ヴェルディに敗戦。「J1で自分の力を証明する」と同年に志半ばでクラブを去った。
それでも見木のなかで千葉への愛が冷めることはなかった。
移籍後も多忙なスケジュールの合間を縫って、千葉の結果をチェックしていた。また、17季ぶりのJ1復帰を決めた昨シーズンの終盤戦では、自らフクアリに足を運んで試合を観戦。「J1に上がってほしいと、ずっと思っていました」と昇格の瞬間は自分事のように喜んだ。
「(J1復帰は)ここにいたメンバーが頑張ってくれたからだと思いますし、上げてくれた人たちに『ありがとう』と言いたいです。自分も所属していた身として非常にうれしいです」
そんな見木にとって、この日は約2年ぶりとなるフクアリでの試合だった。とはいえ、感傷に浸る余裕もあまりなかった。明治安田J1百年構想リーグの地域リーグラウンドで最下位同士の一戦であり、プライドを懸けた試合だったからだ。
福岡は「負けてしまえば最下位になってしまう。絶対に勝って終わろう」と意思を統一。第1戦は2-2の引き分けに終わり勝利が必須だったなかで、主導権を握ったのはホームチームだった。
立ち上がりから千葉にセカンドボールを回収された福岡は、耐える時間が続いた。すると32分に自陣ボックス内でのハンドによって与えてしまったPKのチャンスを決められてしまい、先制を許した。
見木が「前半はひどすぎた 」と振り返る。
「知っている選手もたくさん出ていてやりづらさもあったし、前半は相手のペースで思うようにいきませんでした。このスタジアムは反響もスゴイですし、ファンとサポーターの熱量もすごいとやっていて知っていました。やりづらさを感じていた(福岡の)選手もいたと思います」
馴染みの場所で、思わぬ苦戦を強いられた。だが、見木は慌てなかった。
■福岡と千葉。下位の両者に「次が本番」
福岡は前半を最少失点で抑えると、後半から巻き返す。「ビハインドがあったので自分たちも前から行くしかなかった。前に前にという気持ちがピッチに現れるので、後半は攻勢に出られた」と前線からのプレッシングが機能すると、マイボールの時間を増やした。そして背番号11が逆転に導く。
57分にボックス内左でボールを受けた見木は、そのまま相手DFを抜き切らずにグラウンダークロスを供給。これが勢い良く逆サイドに流れると、最後はファーに飛び込んでいたMF橋本悠が押し込み同点にした。
見木の勢いは止まらない。
68分にはピッチ中央から右サイドに大きく展開。これがDF山脇樺織につながると、ボールはゴール前に折り返されて、MF前嶋洋太が逆転弾を沈めた。
試合はそのまま2-1で終了し、福岡が今季最終戦を白星で終えた。1アシストと決勝点の起点になった見木はプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出。「素直にうれしい」とほほえんだが、チームの順位を考えれば手放しには喜べなかった。
福岡は千葉に2戦合計4-3で勝利し、19位でシーズンを終えた。見木は来季に向けて「全体を通して難しい順位なので、そこは反省しかない」と唇をかんだ。また、その視線は最下位となった古巣の千葉にも向けられた。
千葉にとっての百年構想リーグは、福岡と同等かそれ以上の悔しい結果となった。見木は両チームへの想いを込めて、“来シーズンこそは”と力強く言葉を残す。
「僕らも百年構想リーグは結果が出なかったけど、次が本番というか。千葉もJ1を体験できたと思うし、できることや手ごたえもたくさんあったはず。僕らも、この経験を次につないでいきたいと思います」
試合後、見木は同じく千葉が古巣のGK藤田和輝とともにサポーターのもとへ挨拶に訪れ、大きな拍手とともにフクアリを後にした。
取材・文=浅野凜太郎




