araki(C)Getty Images

「面倒くさいな」。“気にしない”荒木遼太郎が鹿島復帰後初得点で見せたいい表情

MF荒木遼太郎が鹿島のEAST制覇に導く一発を沈めた。 自身にとっては、リーグ戦で2シーズンぶりとなるゴール。鹿島復帰後初得点でもあったが、その口調は冷静だった。

■確かな自信「いずれ決まるだろう」

先制点直後、アシストしたFW鈴木優磨は「プレゼントだよ」と、2シーズンぶりのゴールを決めた後輩を抱き抱えた。

「最初は優磨くんに打ってもらうようなパスをしたんですけど、(ボールが)返ってきてちょっとびっくりしました。 だけど意外とゴール前で冷静に相手を見られましたし、最後はラッキーな部分もありましたが、気持ちでねじ込んだような形で決まって良かったです」

前半の立ち上がりから主導権を握った鹿島だったが、千葉の好守もあってなかなかネットを揺らせなかった。

それでも43分に、相手のビルドアップの隙を突いた。敵陣深くで鈴木がスライディングタックルからボールを奪うと、ボックス内の荒木にパスを出した。

荒木はディフェンダーを引き付けてから鈴木に戻す。誰もがそのままシュートを打つと思ったが、ボールは再び荒木のもとへ渡り、最後は落ち着いて右足を振った。

鈴木が「太郎ちゃん(荒木)に決めさせてあげたかった」と明かしたように、最高のプレゼントになった。

2020年に東福岡高から高卒プロで鹿島に加入した荒木は、初年度からリーグ戦26試合2得点を記録するなど、期待の星だった。

ところが、2023年シーズンはリーグ戦13試合無得点に終わり、翌年はFC東京に期限付き移籍。武者修行先で29試合7得点を残して、昨季より鹿島に帰還。19試合に出場してクラブの王座奪還に貢献するも、個人としてはノーゴールだった。

周囲は24歳の鹿島復帰後初得点を待ちわびていた。さまざまな声が本人の耳にも届いていた。それでも本人は冷静だった。

「決められたことは素直にうれしく思いますが、(ゴールを取れていないことについて)言われすぎて、ちょっと面倒くさいなと思っていました。あまり考えないようにしていました」

頭をポリポリとかきながら、淡々とした口調で報道陣を笑わせた。

「いずれ決まるだろうという感じでした」

ゴールから遠ざかっていたが、胸を張ってそう言い切れた。それだけのトレーニングを積んできたからだ。

■鬼木監督が先発起用したワケ

「本人にも『やっと決めたな』と話はしました」と、鬼木監督は5試合ぶりに先発起用した荒木の活躍に笑顔を見せた。

「ここ数試合、中盤でキーマンとしていい働きをしていましたし、トレーニングの中でも違いを見せてくれていました。得点を取れるかどうかは分からなかったですが、きょうのスタートで出たメンバーは非常に表情が良かったので、そこは大きいと思います。試合に出ているとき、出ていないときがあるなかでも、意欲的にいい表情で取り組み続けてくれました。そういうことが(きょうの結果に)つながるのかなと思いますし、非常にいい働きをしてくれました」

今季の荒木は主戦場のトップ下ではなく、ボランチやサイドハーフでの出場が多かった。「本当はもっとゴール前に行きたかった」と話すように難しさもあったが、不平不満を言わずに取り組んできた。

千葉戦では本職のトップ下で起用された。相手DFとMFの間にポジションを取りながら、ビルドアップの出口となった。また、果敢にゴール前へ侵入していくなど、その真価を発揮した。

「トップ下は本当にやりやすいですし、ゴールに関わっていくチャンスも増える。やっぱり楽しいです」

一方で、自身と向き合うことも忘れない。

試合は61分に千葉が退場者を出して、鹿島は数的優位に進めた。しかし追加点はなかなか生まれず、荒木は76分に途中交代。その後、鹿島は88分にロングボールの流れから得点を奪って、2-0で勝利した。

荒木は「もうちょっと前進させたりできればよかった」と課題を見据える。鹿島復帰後初得点&EAST制覇という最高のプレゼントをもらったが、これで満足する男ではない。

EASTの首位通過を決めた鹿島は、次節でFC東京と対戦し、地域リーグラウンドを終える。古巣対戦となる荒木は「1位が決まっても次の試合に臨む気持ちは変わらない」と、凛々しかった。

取材・文=浅野凜太郎

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