レアルとバルサの時代から、覇権が思わぬ方向へ転がる可能性も【中村憲剛のMSN】

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(C)新井賢一
川崎フロンターレの中村憲剛が海外サッカーについて語る連載インタビュー「中村憲剛のMSN(マジで 好きなヤツ ノミネート)」。まずは愛してやまないスペインのサッカーについて。

みなさん、こんにちは。中村憲剛です。これから2回にわたってヨーロッパのサッカーシーンを深掘りしたいと思います。今回取り上げるのはスペインのラ・リーガです。序盤戦をどう見るか。開幕直後に「今シーズンは全般的に波乱含み」と予想しましたが、実際のところはどうなのか、そのあたりにも目を配りながら、ここまでの戦い模様を振り返ってみましょう。

■レアルの苦戦。ピッチ外のマネジメントの失敗

結論から先に言うと、やはり何かが起きそうな匂いがプンプンする序盤戦でしたね。当初の見立てどおり、至るところで「ワールドカップ疲れ」の影響が色濃く出ているなと。その最たる例がレアル・マドリードでしょうか。モドリッチ(クロアチア代表)しかり、ヴァラン(フランス代表)しかり。それこそ精も魂も尽きるまでワールドカップのファイナルを戦い抜いた選手たちですから。すぐに心と体を切り替えろ、と言っても難しいでしょう。とくにそれを感じさせているのはヴァランですかね。

25歳という若さで、チャンピオンズリーグ(CL)で3連覇、ワールドカップで優勝を成し遂げてしまった。この先、いったい、どこに目標を持っていけばいいのかと本人が思ってしまっても不思議ではありません。心身のコンディションが崩れるのも仕方がないことかなと。実際、ピッチに立ってもクラシコでのPK献上、ハーフタイムでの交代など精彩を欠く試合が例年より多いかなと思います。

モドリッチにしても、明らかに動きが重いように見えます。ワールドカップで見る者のド肝を抜いた鬼神のごときハードワークは序盤戦では望むべくもないかと。

例に出したのは2人ですが、そうした事態を見越して何らかの手を打つ必要があったと思うのですが、現時点でフロント陣が最善の手を尽くしたかどうかは疑問符がつくところです。

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しかも、C・ロナウド(現ユベントス=イタリア)という世界的な大駒を手放しながら、これという補強もないまま。決め手不足にあえぐのも必然かもしれません。いかにC・ロナウドの存在が大きなものか。フロントはそこを見誤りましたね。そもそも戦術を突き詰め、煮詰めて戦うというクラブではないですからね、レアルは。まず人的資本(タレント)の能力をフルにオープンさせるところから始まりますから。

なので、いかに彼らのやる気、その気を引き出せるか。ピッチ内よりもむしろ、ピッチ外のマネジメントがより重要であったと思いますが、そこのマネジメントを失敗したように思います。

ジタンが去り、 C・ロナウドが去った今シーズン、再建には時間がかかる作業になるかもしれません。とはいえ、のんびり待っていられないのがレアルというクラブ。監督就任をめぐって物議を醸したロペテギを更迭し、ソラーリを新監督に迎えましたが、この先、どうなっていくのか。はたからみるとなかなか読めませんが、巻き返しへのビジョン、秘策のようなものがソラーリにそしてクラブにあるのかどうか、大いに気になるところです。

■ビッグ2から覇権が変わってきた兆し

幸い、バルサは「芯」を大事にしています。カンテラ育ちであるメッシとブスケツの2人が健在ですから。イニエスタは去りましたが、バルサ流サッカーの根源はまだ揺らいでいない。レアルとは対照的に補強もうまくいきました。とくにインサイドMFのアルトゥール(ブラジル)とセンターバックのラングレ(フランス)はいいですね。派手さはないですが、簡単ではないバルサのスタイルに早々にフィットした好素材だと思います。

どんなタイプが必要か。強化部門やフロント陣がそれをきちんと把握し監督と密に話をした上で補強策を練り上げている様子が伺えます。その意味で今オフのレアルにはない一体感が感じられます。

ただ、そうは言っても先々を考えると、バルサでも不安要素は少なくない。クラブの「芯」であるメッシ、ブスケツは30代に突入し、カンテラ育ちの選手が年々姿を消しています。ブスケツ以後、スタメンに食い込んできたのはセルジ・ロベルトくらいでしょうか。対照的に生え抜きではない移籍選手が増える一方です。バルサでさえも優秀な人材を下から上へ供給し続けるのは難しいということでしょう。

そして現代サッカー界の凄まじいスピード感を考えると、下から上がってくる選手たちをじっくり育て上げ主力に仕立てていくという作業に使える時間が待てない時代になっているのかなとも感じます。待っていると取り残されていく感覚が各クラブにあるのかもしれません。そういう意味では手元にある莫大な資産(メッシとブスケツ)を使い果たす前に新しい人材が育つかどうか。バルサの未来に光が差し込むかはそれ次第でしょうね。
 

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ここまで話してお分かりかもしれませんが、レアルもバルサも今シーズンは例年ほど盤石ではないかなと感じています。依然としてチーム力は高いですが、ひところの圧倒的な強さはそこまで感じられません。なので、人材を取りそろえ、戦術面も整ったチームがしばしばそのスキを突くようになっている。そうした流れにあるのが、今シーズンのリーガエスパニョーラなのだと思います。レアルとバルサのビッグ2にほぼ独占されてきた覇権の行方が思わぬ方向へ転がっていく可能性も十分にある。それが序盤戦を見たうえでの、僕の見解です。

個人的にはレアルがエイバルに0-3で負けたというのは個人的には大きなトピックでした。というのは敵地(エイバルのホーム戦)ではいつも苦戦するとはいえ、最終的にはなんだかんだで競り勝ってきた。それが今回は完敗。彼らが勝てるなら、俺たちも勝てるのではないか、いや、勝てるはずだ――と、他のクラブも考えるようになりますからね。

こうなると、リーグの戦いの図式そのものが変わっていきます。早い話が「名前負け」しなくなるということ。そもそもリーガの各クラブのレベルは高いですからね。今まではビッグ2の力が異次元に高かった、というだけで。

目下、バルサと首位争いを演じるセビージャは言うに及ばず、アラベスやエスパニョールが今シーズンは上位に顔を出している。バルサが思うように勝ち点を伸ばせず、例年になく上位と下位との差が縮まっていますからね。

バルサが追撃グループの波に呑み込まれたら、まさに戦国乱世。もう、どのクラブが天下を取るかわからなくなる。予定調和ではない新鮮な驚きの連続。そんなリーガエスパニョーラも面白い。いや、すでにそうなっているんじゃないですか。ただ、それを受けたビック2にも新たな化学変化が起こってまた追随を許さない、他を突き放す力が生まれるのか。それも含めてここからの中盤戦を楽しみたいと思います。

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