2018-12-25-ESF-kazama©Goal

サッカーを伝えるにしても、監督目線、解説者目線。まったく違う/風間八宏監督インタビュー【前編】

現役サッカー選手・監督が欧州サッカーを解説するDAZNの「EURO SOCCER FREAKS(ESF)」。今年も多くの現役選手・監督が現場目線での解説を披露している。Goalでは欧州CLモナコvsドルトムントを担当した名古屋グランパスの風間八宏監督に話を聞いた。第1回はサッカーの見方について。

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■一番大切なのは「プレーの邪魔をしない」こと

――普段海外サッカーをご覧になっていますか?

以下に続く

一試合一試合じっくり90分を必ず見るか? と言われれば見られていないけど、とにかくいろんなものを見ていますよ。DAZNができて良いなって思うのは、見たいときに見たいものが見られることだと思っています。

――監督として海外サッカーを参考にされることはありますか?

ほとんどないです。監督だったら余計そうじゃないかな。なぜかと言うと、人のチームの真似は必要ないということがまず一つ。それ以外にも例えば選手であったりクラブの規模であったり、そういう違いがあるから。どうしたらこのチームに勝てるかな? とちょっと見るくらいで。「自分たちの目線」のほうが重要です。

――解説担当のチームの試合をほぼ見ていないのに、解説できるんですね。

何をしているかぐらいは見たら分かるもの。そういう“見る”じゃなくて、選手の質といったものは見ますね。いろんなチームの選手の質を見る。でも、その見方も「誰がすごいか」っていうサッカーファンの見方ではないから。

――質を見るっていうのは具体的にどういう見方なのですか?

例えばこの選手はどんな狭い中でもフリーになるし、そういうプレーをいつもやっているな、といったところ。(そしてこのクラブは)こういう選手を見つけてくるんだな、っていうところ。ただ僕らは見つけるだけじゃなくて、教えることも必要なので。あとはいくらかな、ぐらいです(笑)。

本来、自分たちがすべて。例えば(自分たちの目標が)お客さんを満員にすることだったらその理由を探す。このクラブはいつもなぜ8万人埋まっているんだろう? そのために何をしているんだろう? というところを見る。そういったほうをいろいろ考える。

――一方、解説者としては視聴者にここを見て欲しい、という目線はありますか?

解説をするときは監督目線ではないからそれは意識しています。ただ解説でも自分目線でも一緒なのは「プレーの邪魔をしない」というところ。本当にそう(解説のとおりに)なっているのかもそうだし、視聴者が見たいように見るのが一番いいと思うので。だから邪魔をしたり、自分自身の考えを言うことはほぼない。

――起こっている現象の説明ですね。

そうそう。見えるものを普通に言ってあげる。何か教えるものじゃないし、作るものでもない。だから(視聴者にも)それが見えれば、少しは試合が面白くなると思うので。邪魔しないのが一番。それはずっと昔から変わらないところ。まあ、今は解説はそんなにやらないですが。どんなものでも“楽しむ”が一番だと思います。自分の見たいものを見つけるのが一番なので。90分の中でいろんなことが起こりますからね。

■海外、日本分けてないからなあ、頭を

――では海外のサッカーと日本サッカーの顕著な違いってありますか?

分けてないからなあ、頭を。全部サッカーだから。ヨーロッパとひとくくりにしてもそれぞれの国でリーグも背景も違う。日本でも今いろいろ動いている。そういう意味ではそれぞれの国で個性があるリーグのほうが面白いとは思う。逆に言うと「海外サッカー=上」って言ってしまうのもアバウトだと思う。

例えば今はチャンピオンズリーグでもそうだけど、強いチームは結構固まっている。その違いは、クラブ運営に寄るところも大きい。クラブが運営ですごく努力をしているってことだろうし。そこに魅力があるから選手も来るだろうし。それが結局、その国のリーグ(のスタイル)になっている。そういう意味ではJリーグもJリーグでいろんなことを考えてやっているわけだから。「海外サッカー」って言葉自体がもうどうなのかな? って思います。「サッカー」ですよね。

ましてや今DAZNでこんなに見られるようになったわけだから。つまり自分たちだって(海外から見ようとすれば)見られるわけだから。向こうからすれば我らも海外サッカーだから。「海外」っていうのはもうなくて、どこにいても「サッカー」だと思います。

――では、実際Jリーグで指導をされている風間さんが解説を務められることの面白さや意義は?

意義は分からないけど、監督それぞれの考え方が出るのは面白いかもしれないですね。監督ごとに何が見えているかを比較したり。もちろん、解説をやっている自分と、監督をやってる自分は違うんだけど、見えているものを少しでも表現できればと思ってやっています。

■普段はできるだけ横文字は使わない

――今回欧州CLをご担当されますが、特に欧州では戦術の移り変わりが激しいと思います。そういった潮流は、監督としての風間さんに影響を与えていますか?

欧州でも日本でもどちらにしろ組織を作る上で“戦術”は必ずあります。それをどう考えるかっていうことなんです。何か枠を作ってその中にあてはめていくのかそうではないのか。日本で“戦術”というとどちらかというと将棋、パズルみたいなことが多い。ではなくて、例えば「一人で10メートル守れる選手」と「一人で30メートル守れる選手」だったらそこで全部変わってくるということ。

そういった部分での戦術を見ていないから、パズルだけの話をしがちになる。でも、そこ(個人の能力)を大きくしていかなかったら、全体が変わらない。例えば欧州CLなんていう大会は、「一人で30メートル守れる選手」がいなければ、多分トップのほうにいけない。では、そういった選手をどう獲得してくるのか、そういうことになってくると思うので。本当の戦術はそこから始まっているということ。システムの話、3-4-3だ4-4-2だ、そういうのではなくてね。

例えば「止める蹴る」。止めてから15メートルのパスをして次の選手が同じように15メートルのパスをするとする。これが3秒以内でいくチームと、3秒以上かかるチームと、2秒かからないチームがあったとしたら、それだけでもう戦術は違ってくる。今、広く言われているのはまだパズルやシステム、“枠組み”の話だと思うんです。でも、戦術は一人ひとりの選手が持っているものであって、それを組み合わせていくのがチーム戦術になるだけなんです。どちらか片方では無理だし、両方なければダメです。そこをどう考えるか。逆にそういうことも見えるようになれば、さらに面白いかもしれない。

――“枠組み”の話に似ているのですが、以前風間さんに“ボランチ”といった言葉が嫌いなんだ、って言われたことを思い出しました。何か一つの言葉に当てはめてしまっては分からないと。

偉そうに言うわけじゃないけど、サッカーは抽象的だと伝わらないし分からないんです。例えばボランチと言っても描く像は同じではない。すごく守る人のことを言っているかもしれないし、ゲームを作る人を言っているかもしれない。あるいは、上がり目の選手のこと言っているかもしれない。受け手によっていろいろ取れてしまう。だから、そういう言葉はあまり使わないし好きじゃないということです。

――伝えるシチュエーションや相手によって言葉を選んでいるんですか?

だから普段はできるだけ横文字は使わない。横文字は抽象的な大きな意味で取られてしまうものが多いから。例えばバイタルエリアと言ってもいろいろありますよね? 自分は「一番ゴールに近い人間を崩せ」って言う。やってほしいことをどう伝えるかでだいぶ違ってくる。何かをしたい、そのために何をしなきゃいけないかを例えば秒数や、言葉でも通じやすい具体的な言葉で表してかなきゃいけない。そういう作業をずっとやっています。

◎ゴールをたくさん挙げる。お客さんを満員にする。そればかり考えていた/インタビュー【中編】はこちら!
◎今季のグランパス、一番うまくなった選手は…/インタビュー【後編】はこちら! 

★★EURO SECCER FREAKSまだま続きます★★

12月27日の夜は名古屋の中谷進之介選手が登場!

【谷口彰悟選手】12/26 23:00~セリエA第18節アタランタvsユヴェントス
【曹貴裁監督】12/27 0:00~プレミアリーグ第19節リヴァプールvsニューカッスル
【中谷進之介選手】12/27 0:00~プレミアリーグ第19節レスターvsマンチェスターU

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