GOALリヴァプール 2026-27シーズン展望:目標は4位以内?補強の遅れと選手層への懸念は拭えず
リヴァプールは大きな変革の時を迎えている。ディフェンディングチャンピオンとして挑んだ昨季は非常に苦しみ、最終的には前年にタイトルをもたらしたアルネ・スロット監督を解任。ボーンマスで見事な手腕を発揮したアンドニ・イラオラ監督を招聘している。
またピッチ外でも、オーナーであるフェンウェイ・スポーツ・グループは先日、世界3位の大富豪であるAmazonの創業者、ジェフ・ベゾス氏が支援するコンソーシアムにマイノリティ・ステークを売却することで合意したと発表している(1892ホールディングスは今後12カ月以内に株式保有比率を引き上げる権利を取得)。
こうした状況でも、サポーターの注目はもちろんピッチ内での出来事だ。苦しんだシーズンを経て、彼らは再び王座を奪還できるのだろうか。
以下、GOALがリヴァプールの2026-27シーズンを展望する。
文=Mark Doyle
アンフィールドを取り巻く雰囲気
AFP今季からアンドニ・イラオラが指揮を執ることに
慎重ながらも、楽観的な見方は広がっているだろう。サポーターは、イラオラが自身の志向するスタイル(特にプレッシング面)を定着させるには時間がかかることを受け入れている。昨季を通じての課題であった守備面の不安は今季も直面する可能性は高い。それでも、躍進したボーンマスのようなスタイルを実現できれば、サポーターは大いに歓迎するだろう。初期段階での不具合や混乱は許容するはずだ。
一方で監督交代につながった最大の理由は、攻撃面(アタッキングサード)でアイディアを欠いたこと。それが閉塞感を招き、最終的にスロットの信頼を失わせている。こうした意味でも、イラオラのチームは決して退屈させることがない(良い面もあれば悪い面もあるが)。サポーターはどんな結果になろうとも、少なくとも自分たちのチームの試合をワクワクしながら見ることができるだろう。
補強と放出
GOALクラブのレジェンド、サラーは今夏にクラブを去っている
モハメド・サラー、そしてアンドリュー・ロバートソンと、クロップ黄金期を支えてファンに愛された2人のベテランが契約満了をもって退団。指揮官交代で状況が変わる可能性も伝えられたが、これは痛みも伴うが必要な決断だったと言えるだろう。
一方でイブラヒマ・コナテに関しては、状況は全く異なる。トレント・アレクサンダー=アーノルドと不気味なほど似た経緯をたどり、最終的にフリーで退団している。移籍金を得られなかったことは痛恨だ。
それでもリヴァプール強化担当を擁護するのであれば、少なくとも早めに後継者を確保していたこと。1月の段階で、ジェレミー・ジャケの移籍でレンヌと合意に達していたからだ。ケガで出遅れたとはいえ、彼の才能は間違いない。また、複数クラブの注目を集めたスペイン代表FWビクトル・ムニョスを引き抜き、さらに手薄な守備陣にウルグアイ代表DFロナルド・アラウホを迎えることに成功している。加えて、オーストリア・ウィーンから獲得した18歳DFイフェアニ・ヌドゥクウェは、プレシーズンの大きなサプライズとなった。労働許可証の関係で2027年まではプレーできないものの、シーズン後半は重要な戦力となるかもしれない。
しかし、やはり選手層の薄さは否めない。ジョー・ゴメスとジョヴァンニ・レオーニ、コナー・ブラッドリーの復帰時期は不透明で、ウーゴ・エキティケは1シーズンを棒に振る可能性もある。さらに、カーティス・ジョーンズのインテル移籍で中盤も足りていない(同時にトップチームから地元出身選手がいなくなったことを意味する)。
そうした中で現在、リヴァプールはフランス代表FWブラッドリー・バルコラ、そしてセネガル代表FWイブラヒム・エンバイェをパリ・サンジェルマンが引き抜こうと懸命に動いている。彼らの補強は間違いなくプラスだ。しかし、問題のすべてを解決してくれるわけではない。
プレシーズンのパフォーマンス
Getty Images Sportジェレミー・ジャケは希望となるか?
評価はまさに「玉石混交」。リオ・エングモアら若手の活躍でサンダーランドやレクサムに勝利したが、続くリーズとモナコ戦は2点リードを守りきれずに逆転負け。イラオラでさえ、求める強度のフットボールを選手たちが30分以上続けられる状態にないと認めている。フィジカル面はシーズンを追うごとに徐々に上がっていくだろうが、もう1つ心配なのが主力組と控え組のクオリティに歴然たる差があったことだろう。
それでも、16日に行われた最後のプレシーズンマッチ、コモとの2連戦はポジティブに終わっている。アレクシス・マクアリスターが復帰を果たし、さらにジャケが加入後初ゴールを決めるなど大きなインパクトを残している。
上層部の評価
AFP鍵を握る新監督
イラオラの招聘は、ある意味でサプライズだったと言える。リヴァプールが仮にスロットを解任するとしたら、その後任としてまっさきに名前が上がるのは「シャビ・アロンソ」だったからだ。しかし、様々な噂があった中で、スロット解任を決めたタイミングでシャビ・アロンソはすでにチェルシーの指揮官に就任していた。
とはいえ、リヴァプールがイラオラを選んだ理由は十分な説得力がある。第一に、ボーンマスへ彼を連れてきたのはリチャード・ヒューズであり、そのヒューズはリヴァプールの幹部を務めている。そしてボーンマスの歴史に残る快進撃を牽引したイラオラが見せるスタイルは、ダイナミックかつ攻撃的でまさに“ヘヴィメタル”のようなフットボールだ。クラブカラーに完璧に合致するスタイルである。
だが問題は、そのイラオラのスタイルを「シーズン通じて実践できるか」ということ。リヴァプールは3~4日おきに試合をこなし、かつ相手はブロックを固めてスペースを潰しにくる可能性が高いのである……。
キーマン
Getty Images Sportフィルジル・ファン・ダイクは今季も最重要人物だ
依然として、チームの中心はフィルジル・ファン・ダイクだ。サラーやロバートソンの退団により、キャプテンの重要性はますます高まっている。現在35歳の彼は昨季もプレミアリーグ全試合にフル出場しており、今季も同様に並外れた奮闘が求められるだろう。
ピッチレベルで見ても、彼の代わりは存在しない。ジャケとレオーニは非常に有望な選手だが、いずれもファン・ダイクという支柱に支えられてこそ輝けるはずだ。プレミアリーグ初挑戦のアラウホも、彼のサポートが必ず必要になってくる。今季もファン・ダイクは休めない日々が続きそうだ。
ブレイクスター
Getty Images Sport今季は飛躍のシーズンに?
トレイ・ナイオニは、クロップの下で2024年2月に16歳でトップチームデビューを飾った。その後、昨季はプレミアリーグで21分間の出場に留まったものの、今季こそ飛躍の年になるかもしれない。
19歳となった彼はプレシーズンでボールの有無関係なく非常に好印象を与えており、中盤の補強を考えていないことなどから、必ず出番は回ってくる。かつてポール・ポグバとも比較された若き才能だが、ライアン・フラーフェンベルフが休養する時にその代役を務めるだろう。真価が問われるシーズンとなりそうだ。
今季の目標
AFP現実的な目標は4位以内
移籍市場でのバックアップがほとんどなかったにもかかわらず、スロットは1年目でプレミアリーグ制覇を達成した。だが、イラオラに同じことを求めてはいけない。それは彼の手腕と言うよりも、引き継いだチームの状況を反映しての判断である。クロップ最終年とスロット最終年では、状況があまりに違いすぎる。
そういう意味でも、イラオラの目標はまずプレミアリーグトップ4フィニッシュ。そして、チャンピオンズリーグではベスト8に入れれば十分に評価するべきだ。カップ戦で無類の強さを誇る彼らがFAカップ、リーグカップのタイトルを手にする可能性は十分にあるものの、目標はやはり前述の2つだろう。
そして何よりもサポーターが望むのは、リヴァプールが再び魅力的なフットボールを展開すること。今季は何が何でもタイトルを狙いに行くよりも、まだ真価を発揮していないアレクサンデル・イサクとフロリアン・ヴィルツの能力を最大限に引き出すこと、エングモアの才能を開花させることなど、パフォーマンスの改善にフォーカスしていくべきかもしれない。
リヴァプールの今季を予想
Getty Images Sportアレクサンデル・イサクの運命は…
シーズンMVP:ドミニク・ソボスライ(チーム内で群を抜いて最高の選手)
苦しむ選手:ウーゴ・エキティケ(輝きを放つのは来季だろう)
最高の補強:ジェレミー・ジャケ(欧州屈指の若手CBへの期待は大きい)
得点王:アレクサンデル・イサク(コンディションがよければ20ゴールは狙える?)
チャンピオンズリーグ成績:準々決勝(イラオラの戦術がハマれば可能だ)
リーグ戦順位:3位(シーズン序盤で優勝争いを演じるが、終盤で息切れするかもしれない)
