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ERLING HAALAND NORWAY Getty Images

ハーランドはノルウェーの育成が生んだわけじゃない?Jリーグが世界的スーパースターを輩出するには…【しゃべGOAL】

『GOAL Japan』のYoutube番組「しゃべGOAL」。元・浦和レッズコーチでサッカー指導者の林舞輝氏とサッカージャーナリストの川端暁彦氏が様々なテーマで徹底討論する。

Ryo Mika
  • ついに開幕した2026-27シーズンの明治安田生命Jリーグ。今季から「秋春制」を導入して新たな時代を迎えた日本トップリーグだが、今夏に行われたFIFAワールドカップ2026の日本代表の結果を受けて、改めてその立ち位置や役割についても注目が集まった。

    今回は『GOAL Japan』のYoutube番組「しゃべGOAL」にて、元・浦和レッズコーチでサッカー指導者の林舞輝氏、そして日本代表やユース年代を長年取材してきたジャーナリストである川端暁彦氏が、Jリーグと日本代表の関係性、特に世界的なスーパースターの育成について語っていく。

    撮影日=7月21日

  • Jリーグからスーパースターを生むには?

    messi
    (C)Getty Images

    林:意図的に育てるのは無理だと思っています。では、ノルウェーのアーリング・ハーランド、ポルトガルのクリスティアーノ・ロナウド、ポーランドのロベルト・レヴァンドフスキは、それぞれの国の育成システムが意図的に生んだと言えるでしょうか? 当該国の関係者もそうは言っていません。スウェーデンの育成が成功したからズラタン・イブラヒモヴィッチが誕生したかというと、そうでもない。そうであれば、彼のような選手たちが量産されているはずです。リオネル・メッシがラ・マシア(バルセロナ育成組織)から量産されているかというと、そうじゃないんです。

    一番大切なのは、そうした特別な才能を持つ選手が出てくることを想定しつつ、国内リーグや育成年代など、あらゆる意味でのベースを整えておくことですね。

    川端:もちろん、特別な選手を生むために努力することも同時に必要ですが、重要なのは「ハーランドが埋もれない世界」にしておくことです。

  • ノルウェー躍進のヒミツ

    norway

    林:今回のワールドカップで躍進したノルウェーですが、「なぜあれほど一気に良い選手が出てきのか?」と問われると、一番は「国が豊かだから」です。経済的な豊かさが環境に影響を与えました。それはノルウェーの育成関係者も言っています。

    例えば、オスカー・ボブ。幼い頃からヨーロッパのチームの練習に参加しまくるとか、そういうことができた。なぜかというと、国の経済力が高まったから。ヨーロッパ中の名門クラブにとにかく派遣し続けるなんて、日本ではできません。ボブの場合は18歳未満の選手の国際移籍に関するFIFA(国際サッカー連盟)の規定に引っかかってしまいましたが(笑)。

    何が言いたいかというと、(スーパースターの育成は)コントロールできるものではないんです。

    川端:唯一の正解があるわけではなくて、ノルウェーは国としての力があったけど、ノルウェーリーグが世界最高に近づいているから代表チームが世界トップレベルに近づいたかというと、そういうわけではない。逆に言うと、アルゼンチンは国が非常に厳しい状況で経済的にも苦しい。「だからいい」とか「だからダメ」という話ではない。

    唯一無二の答えはないんです。ワールドカップのたびに「どの国を目指せばいいですか? 真似すればいいですか?」と話題になりますが、「なぜ真似することが前提なんだ?」と思います。ノルウェーも「まさかこうなるとは」と思っていた部分があるはず。そもそも、北海油田が見つかることがイレギュラーですからね(笑)。1人あたりのGDPで言えばアメリカより高い。そういう状況が来るかもしれないし、来ないかもしれない。

    林:選手の育成に関しては、コントロールできないものが多すぎる。一方で、ノルウェーはボデ/グリムトがチャンピオンズリーグで結果を残したからこそ、国内で選手が育つという面もあります。Jリーグも同じように、ある選手が欧州に挑戦して別の選手が帰ってきて、を繰り返して着実に力を伸ばしていると思いますよ。

    また別の視点になりますが、例えば経済的に豊かなサウジアラビアリーグを見てみると、ベンチに自国の代表選手がずらっと座り、ピッチには世界各国の選手がスタメンで出場している。しかし、Jリーグのクラブに代表選手はいないけど、毎年のようにAFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)で決勝にも進出しているし、何年かに一度は優勝もしています。そうしたクラブチームが結果を出すことを目指すのは大切なことですね。

  • サウジアラビアの熱狂とJリーグ

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    (C)Getty Images

    川端:サウジアラビアに関してですが、まだスター選手が何人もプレーするリーグになって日が浅い。だからうまくいっていない部分もたくさんあります。でも、サウジアラビアのサッカー人気、国内リーグに対する熱は非常に高まっています。「国内リーグ大好き」な人が増えれば増えるほど、その国の代表チームは強くなっていきます。

    現時点でサウジアラビア代表チームがうまくいっているわけではないですし、リーグ特性の悪影響も出てしまっていますが、長い目で見れば確実にプラスになっていく。この熱狂をサウジアラビアが維持できれば、代表チームも強くなるはずです。自分は取材で色々な国に行きますが、サウジアラビアほど町中で国内リーグの話を振られる国はありません(笑)

    「サウジリーグはこれだからダメなんだ」とおっしゃる人もいますが、Jリーグも発足当初は主要なポジションが外国人選手ばかりで「だからダメだ」と言われていました。でも、ダメではなかった。もうちょっと長い目で見ることができれば、着実に力を伸ばしていくと思います。

    林:ACLでアル・ヒラルと対戦する時(2022年)にサウジリーグをたくさん見ましたが、あの熱狂とエネルギーは凄まじいですからね。

    川端:アルゼンチンの人も自国リーグが大好きです。本当の意味で日常の中にサッカーがある。代表チームの強化ばかりに話が集結していくのは良くないですが、その源泉になるのはやはりそうした部分なんです。だからこそ、Jリーグの発展は重要です。

    Jリーグが明日プレミアリーグになれるかというと、なれません。でも「面白いリーグだね」、「週末が楽しみだね」と言わせることはできるはずです。そういうリーグにはなっていけると思います。