チャンピオンズリーグの夜、北ロンドンには独特の熱気が走る。強豪バイエルンが乗り込んでくるとなれば、なおさらだ。2015年10月のエミレーツ・スタジアムでは、戦術的な駆け引きが繰り広げられ、やがてアーセナルの語り草となる一夜へと変わった。当時、ペップ率いるバイエルンは難攻不落とみられていた。それでもアーセン・ヴェンゲル率いる選手たちは隙を見いだし、正確無比な一撃を加えた。
AFP北ロンドンでの戦術的な膠着状態
試合の大半は、両チームが緊迫したにらみ合いを続けた。バイエルンは持ち前の流動的なプレーでボールを支配したが、ペトル・チェフが幾度も世界屈指のセーブを見せ、アーセナルは同点を保った。一方、マヌエル・ノイアーも、セオ・ウォルコットが至近距離から放ったヘディングシュートを驚異的なセーブで阻止。GKの最高峰と称される理由を示し、ホームのサポーターを信じられないという様子で頭を抱えさせた。緊張感が高まり、ミスの許されない展開が続くなか、試合が残り4分の1に入ると、スコアレスドローが最も可能性の高い結末に思われた。
AFPジルーがバイエルンの抵抗を打ち破る
均衡が破れたのは、ついに迎えた77分だった。きっかけは、バイエルンの最終ラインに生じた普段は見られない一瞬のためらい。高く弧を描くフリーキックがペナルティーエリア中央に送られると、いつもは隙を見せないノイアーが、この時ばかりはボールの軌道を見誤った。後半から投入され、前線で体を張る役割を担っていたジルーは、GKのまれなミスを逃さない。ボールに触れてゴールへ押し込むと、ついにバイエルンの堅守が崩れ、エミレーツ・スタジアムは熱狂の渦に包まれた。
最後の数分間の緊張感
先制を許したバイエルンは同点を狙って攻勢に出たが、その分、カウンターを受けやすくなった。第4審判がアディショナルタイム3分を示すと、スタジアムは不安と期待が入り交じる空気に包まれた。アーセナルは規律を保ち、コンパクトな陣形で守りながら、試合を決定づける最後のチャンスを待った。ファンは立ち上がり、試合終了の笛を求めて口笛を吹いた。現代の欧州の舞台におけるクラブ屈指の結果が、目前に迫っていると感じていた。
AFPエジルが記憶に残る勝利を決定づける
アディショナルタイムも終盤に差しかかったところで、とどめの一撃が生まれた。エクトル・ベジェリンが試合終盤とは思えない運動量で相手のパスをカットし、右サイドを駆け上がる。鋭く低いクロスはエジルに渡り、そのシュートをノイアーが必死にかき出した。ゴールライン・テクノロジー導入前の時代、エミレーツ・スタジアムが息をのむ中、ゴール裏の審判はボールがラインを越えたと正しく判定した。スコアは2-0となり、勝利が決まった。
エミレーツ・スタジアムでの忘れられない一夜
この試合はアーセナルのサポーターにとって、今も大切な思い出だ。何度も行く手を阻んできたバイエルンを相手に、まれな勝利を収めた一戦だった。グループステージで勝ち点3を手にしただけではない。粘り強く、好機を確実に仕留める戦いで、欧州屈指の強豪を抑え込んだ。照明に照らされたピッチで、ヴェンゲル率いるアーセナルは今なお最高峰のチームと渡り合えることを証明した。ドイツの強豪を打ち破った北ロンドンの夜には、勝利の歌が響き渡った。
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