マンチェスター・ユナイテッドで苦境に立つブルーノ・フェルナンデスの現状は、『ダークナイト』でハービー・デントが口にした「英雄として死ぬか、生き長らえて自分が悪役になる姿を見るか」という有名な台詞を思い起こさせる。クリストファー・ノーラン監督による2008年公開の大ヒット・バットマン映画で、ゴッサム・シティの理想主義的な地方検事は自らの転落を予見する。やがて人生の苦難と警察内部の腐敗によって、道徳心を失っていくのだ。
デントが復讐に燃える殺人者トゥーフェイスへと変貌する姿は、善良さの頂点にいるうちに死ぬか、新天地へ移ることだけが、傷のない名声を残す道だという点を強調している。その時期を過ぎても人々の目にさらされながらとどまろうとすれば、落とし穴は避けられないものとして描かれている。
6年間にわたってユナイテッドファンの期待を背負ってきたフェルナンデスは、オールド・トラッフォードを去る理想的な時期を逃したように見える。このポルトガル代表選手は、2020年1月にスポルティングCPから移籍して以来、クラブ最高の選手であり続けてきた。昨季はプレミアリーグ全体でも最高の選手だった。その事実はPFA年間最優秀選手賞の受賞によって裏付けられている。
主将フェルナンデスの記録破りの21アシストと献身的な働きがなければ、ユナイテッドの3位フィニッシュはなかっただろう。彼はマイケル・キャリックの下でチームが向上する原動力となり、2026-27シーズンの優勝争いに向けた土台を築いた。
だが、新シーズンはまだ7試合を終えたばかりだというのに、ユナイテッドは振り出しに戻ってしまった。オーナーであるINEOSは夏の移籍市場でキャリックを十分に支援できず、その結果、チャンピオンズリーグ参戦による大幅な試合数の増加にチームは苦しんでいる。
7試合で勝ち点はわずか7。ユナイテッドは優勝候補というより、降格候補に見える。一方、フェルナンデスは攻撃の最終局面での影響力をほぼ完全に失い、急速に悪役になりつつある。さらに悪いことに、その振る舞いからは、我慢の限界に達した様子がうかがえる。
今やフェルナンデスがピッチにいることは、プラスよりもマイナスに働いている。キャリックが彼を批判の矢面から外さなければ、苦境にある指揮官自身への重圧が増すだけでなく、ユナイテッドのシーズンも間もなく立て直しが利かなくなるだろう。






