クリスティン・シュルンプフは、戦術について話すなと言われた。ロンドンのパブで、アメリカ人の彼女がバイエルン・ミュンヘンの試合について意見を述べていたときのことだ。近くには女性が数人と、腹を立てた男性たちの大きな集団がいた。シュルンプフはサッカーファンなら誰もがするように、バイエルンのシステムにおける戦術上の欠点を指摘した。すると、男性の一人が怒って言い返した。
「ある男性に『男のことでもググっていろ。戦術は男たちに任せておけ』と言われたんです」とシュルンプフは語った。
その言葉が、彼女自身の居場所をつくるきっかけになった。シュルンプフは以前から、もっと誰もが参加しやすいサッカーの場をつくれないかと考えていた。ポーランドにルーツを持ち、ロベルト・レヴァンドフスキをきっかけにバイエルンのファンになった彼女は、長年クラブを応援してきた。女性には、見下すような男性に口を挟まれたり、黙れと言われたりせず、自分たちのやり方でサッカーについて話せる場所が必要だと考えた。
こうして、バイエルン・レッド・レディースの歩みが始まった。彼女たちは、女性だけで構成されるバイエルン唯一の国際サポーターズクラブだと、誇りを持って、そしてもっともな理由で掲げている。当初、シュルムフは会員集めに奔走した。公式ファンクラブに必要な11人に達するため、母親にも入会してもらわなければならなかった。現在は40カ国に300人以上の会員がおり、アメリカでも確かな存在感を示している。
さまざまな意味で、レッド・レディースはブンデスリーガがアメリカで存在感を高めようとする取り組みを象徴している。
世界のサッカーにおいて、国内リーグとして最も大きな財力を持つプレミアリーグは圧倒的な存在だ。MLSもこの地域で独自の、拡大を続ける大きなファン層を持つ。ドイツのリーグは注目を集めようと奮闘しているが、新たなテレビ放映契約とバイエルンのスター選手たちの力だけでは限界がある。ファンに、繰り返し足を運びたいと思ってもらう必要がある。そこで役割を果たすのが、レッド・レディースのような草の根のグループだ。既存のファンには居場所を、新たなファンには参加するきっかけを提供する。ブンデスリーガにとって、こうしたコミュニティーを育てることは、アメリカで築いた足がかりを長く続くものにするために欠かせない。




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