イングランドサッカー協会(FA)は、どうやら失敗から学んでいないようだ。2010年ワールドカップでは、開幕直前にファビオ・カペッロと新契約を結んだ末にラウンド16で敗退。カペッロはその19カ月後に辞任したが、その時点ではすでにサポーターの信頼も熱も完全に失っていた。
そんなカペッロと同じく、トーマス・トゥヘル体制の船出も順調だった。2026年ワールドカップ予選を全勝で終えると、FAは2月に契約を2028年まで延長している。その背景には、マンチェスター・ユナイテッドなど強豪クラブへ引き抜かれる可能性を恐れたことがあったとみられる。その決断に一定の理屈はあった。しかし、彼はその新契約を自ら「勝ち取った」とは言えなかった。イングランド代表監督は、当然ながら主要大会で何を成し遂げたかだけで評価されるべきだからだ。
イングランドは最終的にワールドカップを3位で終え、1966年以降では最高成績の結果を残した。それでも、国全体を覆った感情は「失望」だった。宿敵アルゼンチンとの準決勝で喫した1-2の敗戦は、何としてでも避けなければいけなかった。しかし大会後初のメンバー発表の場で、トゥヘルはこう語っている。
「私は一度も大きな成功だったとは言っていない。ポジティブな点がたくさんあったと言っただけだ。不完全燃焼だった。だが、なぜ期待値はそんなに高いのか……最後に優勝したのは一体いつだ? そもそも、これまでにいつ優勝した? なぜ期待値がそこまで高く、メダルを持ち帰ったことすら認めてもらえないのか」
この発言は、イングランドサポーターの信頼を取り戻す助けにはならないだろう。アルゼンチンという相手に敗れたこと、その責任を引き受けて教訓を得なければ、自国開催のEURO2028を前に、カペッロと同じ運命を辿ってしまうかもしれない。







