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doan(C)Rintaro Asano

サウジ移籍報道で「お前が日本を背負うな」の声…葛藤を経た日本代表MF堂安律の覚悟「逆に全部を背負ってやろう」

今夏にサウジアラビアのアル・イテハドから年俸約16億円とも報道された巨額オファーを受けたMF堂安律が、フランクフルト(ブンデスリーガ)に残る決断をした経緯などについて語った。

日本代表の背番号10として臨んだFIFAワールドカップ2026を終えた堂安の下にも、“オイルマネー”で知られるサウジ・プロリーグから魅力的なオファーが舞い込んだ。報道された年俸が事実であれば、不自由のない暮らしが手に入る。ただ一方で、世界最高峰の舞台であるUEFAチャンピオンズリーグをはじめとする欧州の戦いからは距離を置くことになってしまう。

28歳を迎えた堂安は「いろいろ考えました」と打ち明ける。普段はあまり相談するタイプではないというが、今回ばかりはいろいろな人に話を聞いてもらった。

一時は移籍間近とも報道され、SNSを中心に心ない声が飛んだ。「お前が日本を背負うな」「10番を背負うな」と。だが、結果的にフランクフルトに残る決断をした。堂安は「(サウジアラビアに)行ってもいないのに、叩かれた」と苦笑いを見せつつ、今回の移籍報道について振り返った。

「叩いている人たちの100倍くらい考えている。自分の人生なので。そんな人たちが思いつくことなんて、僕の頭の中にもあった。そこは僕のなかで全部整理したつもりです」

そして、“らしい”言葉が飛び出した。

「逆に全部を背負ってやろうかなって。真逆を行ってやろう」

今季はフランクフルトでリーグ戦3試合に出場し、すでに1アシストを記録している。W杯では葛藤を抱えながらも口に出さず、チーム第一の精神で右ウィングバックに徹して、守備に重きを置く役割も担ったなかで、「いまはシャドーというか、中の(ポジションで)プレーをやっていて非常に楽しく生き生きとできている。いい感覚はあります」と好調をキープしている。

「一ついえるのは、この決断をした後に自分の頭の中がすごくスッキリした。W杯が終わって、ちょっと頭の中でギアが入らないな、プレシーズンでも何かスイッチが入らないなと思って悩んだ時期があったなかで、決断した後はすごくスッキリしました。いまは楽しくやっている」

  • doan(C)Rintaro Asano

    心機一転の堂安は来年1月に迫るAFCアジアカップに目を向ける。自身にとって初参加となった2019年大会は準優勝で、主力として挑んだ前回大会はベスト8でイランに敗れた。2大会ぶんの悔しさを知るからこそ、今大会への警戒心も強い。

    「本当に難しいのは(W杯と)戦い方が変わるということ。W杯優勝という目標を僕は変えていないですし、選手たちも変えていないと思う。でも、その戦い方とアジアカップの戦い方はまた違うと、選手も認識している。僕は2大会に出ていますが、痛い目を見ている。うまくいった大会はないので、頭の切り替えは非常に重要。難しくなるという経験があるので、いい準備が必要だと思う。経験値としては、言い訳の利かないメンタリティなのかなと思います」

    今回の活動では初戦のウルグアイ代表戦をはじめ南米勢との戦いが続くが、アジア杯を想定した戦い方もチームとして準備していると明かした。アジア勢との戦いに備えて、手堅く勝利を目指す意義も強調する。

    「単純に相手を圧倒しなくちゃいけないみたいなメンタリティが出てくるなかで、アジアの相手もレベルは上がっている。3-0で勝たなくてもいい試合でも、1-0でハーフタイムが終わったらどうしても空気が重たいみたいな。簡単な試合になると頭の中で思いすぎているといか。前半0-0でもいいじゃんという感覚」

    「それは前回大会くらいから感じていて、途中からチーム内でも話していた。結果的に負けてはしまいましたが、その心構えを全員が持っている。前回の(W杯)アジア予選のときもそういうメンタルだったので、アジアでの勝ち方は上手くなっていると思う」

    紆余曲折を経て、堂安はどんな姿を見せるのか。「自然体」と話す男は今回の活動でも背番号10を背負う。

    取材・文=浅野凜太郎

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