レアル・マドリーFWキリアン・エンバペの発言を巡る中国との問題について、専門家が分析している。
先日フランスのテレビ番組に出演したエンバペは、自身を扱った“ネットミーム”でお気に入りのものを問われると、「ある人物、確か中国の独裁者だったと思うんだけど……の動画があって、そこに僕の顔がね」と返答。本人は具体的な名前を出さなかったものの、番組では中華人民共和国の初代最高指導者とされる毛沢東氏の写真にエンバペの顔を合成した画像が表示されていた。
これに対し、中国側は反発。中国の企業である蒙牛や東鵬はエンバペとのパートナーシップ契約を打ち切り、中国サッカー協会もレアル・マドリーに対して謝罪を求めた。また、国営放送機構である中央広播電視総台(CMG)がラ・リーガの試合中継を停止する事態に発展している。
その後、エンバペやレアル・マドリー、そしてラ・リーガも謝罪の声明を発表したが、中国に20年以上在住しているキャメロン・ウィルソン記者は『The Athletic』で今回の問題を分析した。
「中国では、指導者を批判したり敬意を欠いたりすること、あるいはそう見なされかねない振る舞いをすることは、社会的、文化的、そして政治的なタブーとされている。一部の中国人にとって、毛沢東を批判することは、中国そのものを批判することと同義と受け取られる」
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「とはいえ、今回の反応にはある種“パフォーマンス”の側面もある。中国において“ポリティカル・コレクトネス”は非常に強力な動機付けとなるからだ。これは問題を引き起こした人物と何らかの関わりを持つ組織において、特に顕著である」
■問題は長期化する可能性も?
また、EMリヨン・ビジネス・スクールでアフリカ・ユーラシア・スポーツを専門とするサイモン・チャドウィック教授は、エンバペやラ・リーガ、レアル・マドリーにとって「非常に大きな結果をもたらしてしまう可能性もある」と指摘した。
「エンバペは最近『On』と大型契約を結んだばかり。『On』は急速な拡大を目指す中で、中国を極めて重要な市場と位置づけている。そして今年はじめに中国が発表したスポーツ戦略では、マラソンやトライアスロンといった大勢が参加するイベントが中核に据えられた。『On』はまさに、そうした層をターゲットにしている。彼らもエンバペが論争に巻き込まれることは最も避けたかったはずだ」
「また、中国の国営放送局が今後もラ・リーガの試合を(一部)放送しなくなる、という話も出ている。ラ・リーガが過去5年間、中国市場でどのような取り組みを行ってきたかを見れば、中国がいかに重要な市場であるかは明白である。レアル・マドリーも中国で非常に積極的に活動しており、国内各地にいくつものスクールを展開している状況だ」
「つまり、これは単に中国の企業2~3社が『気に入らない』と言っている、といったレベルの話ではない。非常に深刻な問題だ。影響は広範囲かつ深部にまで及び、しかも長期間にわたる可能性もある」
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