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大器・鹿島アントラーズMF荒木遼太郎。最優秀若手賞も…今年を象徴する一言は「悔やむ」/インタビュー

東福岡高から鹿島アントラーズに2020年に加入。プロ初年度から多くの出場機会を経て、2年目の2021シーズンにはJリーグ史上2人目となる10代での二桁得点を達成したMF荒木遼太郎。年間表彰「2021Jリーグアウォーズ」では、最も活躍した若手に送られる「ベストヤングプレーヤー賞」を受賞した。(インタビュー日:12月6日 聞き手:上村迪助/GOAL編集部)

■賞のライバルは東京五輪守護神

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――おめでとうございます。受賞に対する自信はどれほどありましたか?
周りの選手も本当に活躍されている方が多くいらっしゃったので、選ばれたいなとは思っていましたが、それほど自信満々ではありませんでした。

――ライバルとして意識していた選手はいますか?
湘南ベルマーレのゴールキーパーを務める谷晃生選手です。(2021年夏に東京で開催した)オリンピックにも出場しましたし、A代表にも選出されているので。谷選手か、自分か、どちらかかなと思っていました。

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――ポジションもまったく違うので比較が難しいですが、荒木選手はリーグ戦36試合出場10得点7アシストと文句なしの結果を残しました。今季の成長や手応えについてお聞かせください。
正直、こんなにゴールしたりアシストしたりできるとは思っていませんでした。想像より良いシーズンになったと思っています。やっぱりシーズン前の準備をしっかりしたおかげでこんなに良いシーズンが送れたと思っています。

――これだけ得点が決められると想像していましたか?
いえ、まったく想像はしていなかったですね。

――リーグ戦で9点目を決めた8月28日の第27節・横浜F・マリノス戦(2○0)から、10点目を決めた11月3日の第34節・サンフレッチェ広島戦(4○1)までやや間が空きました。この間、得点以外でも大きく貢献されていたとは思いますが、どのような心情でしたか?
周りの選手から色々言われたりもしていたので、プレッシャーも少しありました。10点目が取れた時には本当にうれしい思いもありましたが、ホッとしたというほうが大きかったです。

――徐々に期待の新人という枠を脱し、チームを勝たせる中心選手と見られるようになった2021シーズン。周囲の目線や期待が変化していくことをどのように感じていましたか?
背番号も13番になって、去年に比べてチームからの期待を感じました。SNSのメッセージなどを通して、サポーターの方々からの期待も感じることができました。逆にそれがプラスに働いて、自分に良いプレッシャーをかけてやれたから、昨年よりも充実したシーズンを送れたのではないかと感じています。

――ある意味、プレッシャーを受けることを歓迎していますね。
そうですね。それもプラスに働いて。逆にそのほうが良いプレッシャーがかかるので、ありがたいと言えばありがたいですね。

■「もっともっと」「来季こそゴールもアシストも二桁」

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――変化と言えば、監督が代わってから役割が変わっていきました。指揮官交代時、鹿島だからこそ学べたことはありましたか?
監督が途中で交代して、正直戸惑いもチーム内にはありました。けれど、その時こそチームが一丸となり、監督に任せるのではなく『自分たちでやっていこう』というふうになっていきました。そういったチーム力というのは鹿島アントラーズの素晴らしさだと思いましたし、そこであらためて鹿島アントラーズの良さを学びました。

――選手同士で話し合う中で中心になった人物はいましたか?
やはりキャプテンの三竿健斗選手を中心に。結果が出なかったから、あまり勝てなかったから監督交代となって。それは「監督の問題ではなくて自分たちも問題だった」ということで、三竿選手を中心にそういったことを話し、チームを良くしていくために全員で取り組んでいました。

――監督交代後、荒木選手が「鹿島の心臓だ」というような表現も耳にするようになりました。ポジションもトップ下に移りましたが、要求されるプレーはどのように変わっていきましたか?
ポジション変更が一番大きかったです。真ん中のトップ下のポジションになり、自分のところでボールを失うと攻撃にならない。自分のところでスイッチを入れたりしていたので、そこでみんなからの信頼というのも少しずつ得ました。監督が代わる前と比べて、そこで自分のプレーは大きく変わったのかなと思っています。

――理想とするプレースタイルに近づけた1年でしたか?
もっとアシストできれば数字としては本当に理想のシーズンでした。でも、ずいぶん理想に近づくような一年にはなりました。

――アシストも「7」を記録していましたが、得点と両方二桁というイメージで?
そうですね。ゴールもできて、アシストもできるという選手は本当に素晴らしい選手だと思っています。両方二桁に乗ったら、自分が理想とする選手にもっと近づけると思います。

――相手チームからの警戒もさらに強まると思いますが、選手としてステップアップしていくための目標などはありますか?
相手がどんな対策をしてきても自分のプレースタイルを変えず、対策してきたものを上回っていけるような「この選手、何をしてもダメだ」と言われるような選手になりたいです。期待はされるかもしれないですが、自分自身も常にゴールやアシストというのは、どの試合でもしたいと思っています。欲を言えばもっともっと、来シーズンこそ2桁ゴール、2桁アシストを達成したいです。

――今回の賞をきっかけに荒木選手に注目する方々もいらっしゃるかと思います。そういった方々に向けて、ご自身のアピールポイントをお願いします。
自分は、狭いエリアでボールを受けて前線の選手につなぐ、攻撃のスイッチを入れる役割を任せられています。なので、自分にボールが入ってからのプレーを見てほしいです。

――最後となりますが、目まぐるしく変わった2021シーズン。今年を一言で表すとしたらどのような表現になるでしょうか。
難しいですね(笑)。色々あったにしても、やはり、チームタイトルが獲れなかったので、悔しいというのが正直な気持ちです。なので、「悔やむ」でしょうか。

――ご自身はベストヤングプレーヤー賞に輝きましたが、それでも抱えた悔しさ。その意味を教えてください。
やはりチームとして、アントラーズはタイトルが必要なクラブです。そこでタイトルを獲れなかったという悔しさがあります。優勝することによって自分もさらに評価されますし、タイトルへのこだわりというのは常に強く持ちたいと思っています。

■プロフィール
MF 13 荒木 遼太郎 Ryotaro ARAKI
2002年1月29日生まれ、19歳。170cm/60kg、熊本県出身。ロアッソ熊本Jrユース-東福岡高を経て2020年鹿島加入。J1通算62試合出場12得点。高卒ルーキーとして加入初年度開幕戦に交代出場。トップ下、サイドハーフを主戦場とする攻撃的MF。

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