■問われる“個”の力
2026年、日本代表の最初の代表活動は、フットボールの熱狂が渦巻く英国遠征から始まる。今回のスコットランド代表戦、そして続くイングランド代表戦が持つ最大の意味は“チーム強化”と“選手それぞれのラストアピール”。二つの大テーマを踏まえながら、チャレンジングな2試合へ挑む。
森保一監督が今回のシリーズで強調するのは「ワールドカップ(W杯)基準のハイインテンシティ」という言葉だ。欧州の多くの国はプレッシングやカウンターのスピードが速く、簡単に足を止めているようでは一瞬で隙を突いて得点を奪ってくる。スコットランドにしても、森保監督は「攻撃も守備もダイナミックに戦える、W杯基準のハイインテンシティを持ったチーム」と評価し、さらに「そこでクオリティを発揮できるかで自分たちの現在地がわかる」と語った。高い強度の中で自分たちのパフォーマンスをどこまで引き上げられるかは一つのポイントになるだろう。
現在の日本代表は欧州組が主体であり、強度的な面では互角に渡り合える下地はある。そうなると、自然と問われるのは“個”の力になる。
「僕らヨーロッパにいる選手が多いので、移動がなかったり、そこまで(大変さは感じない)。アジアでプレーするよりも、より世界基準に近い相手なので良い挑戦の場になると思います。僕たちが準備して、レベルの高い相手にぶつけるっていうチャンスで言うと、素晴らしい2試合になると思っています」(上田綺世)
欧州組が主体となった今の日本代表にとって、その強度はもはや見知った景色だ。だからこそ、プラスアルファの部分でも相手を上回るところを見せてほしい。
■予想スタメンは?
(C)Taisei Iwamotoしかし、今回の活動では主力の離脱が相次いでいる。南野拓実や久保建英、遠藤航、板倉滉がケガで招集外となり、活動直前には冨安健洋や安藤智哉も負傷離脱。佐藤龍之介もコンディション不良で合流が遅れる台所事情だ。
そうしたチーム事情に加え、今回のスコットランド戦は交代枠11人というレギュレーションだ。中2日でイングランド戦が待っていることを考えると、多くのメンバーが起用される可能性が高い。
そういった状況で気になるのは、どんな新しい組み合わせを試すのか。トレーニングを見ていても、シャドーのポジションで三笘薫と堂安律を一緒に配置する形が見られており、どんな化学変化を起こすかは見どころの一つ。一方、初招集の塩貝健人や調子を上げる佐野航大を試す場面もあり、フレッシュなメンバーを途中から起用することも考えられる。総力戦の中で、誰が誰と組んでも力を発揮できるか。様々なトライを重ねながら、チームの現在地を測っていくことになる。
また、森保監督がキャプテンに堂安律を指名したことも注目ポイント。年齢やキャップ数を踏まえると、伊東純也や谷口彰悟が選ばれることも考えられたが、「東京五輪やA代表で長く共に戦わせてもらった中、律のリーダーシップは見てきた」と指揮官は期待を込めて指名した。この欧州遠征でどれだけチームを引っ張っていけるかは、今後に向けて意味を持つことになるだろう。
▽予想スタメン:3-4-2-1
GK:鈴木彩艶
DF:瀬古歩夢、谷口彰悟、鈴木淳之介
MF:伊東純也、佐野海舟、鎌田大地、中村敬斗
FW:堂安律、上田綺世、三笘薫
■ハイインテンシティな一戦
Getty Images約4カ月前、今回の対戦国であるスコットランドは悲願のW杯出場権を獲得した。欧州予選グループCの最終節に迎えた首位デンマークとの直接対決、後半アディショナルタイムまでもつれた死闘を制し、1998年のフランス大会以来となる28年ぶりのW杯出場を手中に収めた。
スコットランドとしても、久々のW杯で結果を残すために大会前最後のインターナショナルウィークは重要なチャンレンジだ。日本とコートジボワール戦に向け、スティーブ・クラーク監督も「非常に興味深い対戦だ。勝たなければならないが、準備段階として、今の自分たちを客観的に見つめることが重要。1、2個の新しい戦術を試したり、異なる選手を起用したりして、できるだけ多くの選手を使いたいと考えている」と強調。日本同様に様々な組み合わせを試してくるはずだ。
9度目のW杯を見据える古豪には、近年豊富なタレントが揃っている。特に中盤にはナポリで活躍するスコット・マクトミネイやビリー・ギルモア、アストン・ヴィラで異彩をはなつジョン・マッギンらが君臨しており、個性豊かな選手が並ぶ。最終ラインにはリヴァプールで一時代を築いた主将のアンドリュー・ロバートソンやキーラン・ティアニーといった経験豊富な選手もおり、攻守に隙がない布陣だ。チームスタイル的にも伝統的な堅守速攻に加え、フィジカルに技術力が伴う選手も増えてきており、戦術のバリエーションも増加傾向にある。
まさにハイインテンシティな相手に対し、日本がどこまで上回っていくことができるか。W杯に向けた試金石となることは間違いない。
取材・文=林遼平

