日本サッカー協会(JFA)が、9月と10月の活動に臨む日本代表メンバーを発表した。会見に出席した日本代表の森保一監督は自身に課された困難なミッションを明らかにした。
日本代表は今夏に北中米で開催されたFIFAワールドカップ2026(W杯)を終えてから、初の国際試合に臨む。来年1月のAFCアジアカップまでという異例の半年間をスタートさせた森保監督は「すべてが含まれている」と、今後の代表活動における自身のスタンスを説明した。
「今回、協会からいただいたミッションはアジアカップ優勝。それが、いまのチームの目指すべきところだと思いますが、長い時間軸でいうと、日本サッカーの発展のために先人の方々から、バトンを受け継いでいる。いまの日本代表の勝利と発展のために全力を尽くし、また未来にバトンタッチしていくと考えてます」
この日のメンバー発表では計31名の選手がリストに名を連ねたなか、初招集は4名となった。W杯メンバーからは20名が選出され、“新生日本代表”と呼ぶのは難しい顔ぶれとなった。
一方で、現在愛知県で開催されているアジア競技大会でU-21日本代表を指揮し、来年1月のアジア杯以降は日本代表監督に就任する大岩剛監督に、森保監督は今回のメンバー選考を行う上で頻繫にやり取りをしていたとしつつ、本来であればアジア競技大会に帯同中の若手からも選ぶ予定だったと明かした。
そうした事情も踏まえつつ、森保監督は今回のメンバー選考について次のように語った。
「(私の)役割としてはアジアカップ優勝に向けてメンバー選考を考えたときに、W杯から約2カ月ということで実力も大きく変わることはない。そのなかでチームを解体して、新しいチームを作り直すよりも、継続路線でいったほうがよりアジアカップへの積み上げと、優勝の可能性が高いと、私自身は認識しています」
「ただ、これまでどおり選手間やチームには常に競争がある。成長曲線にも違いがある。基本的にはW杯のメンバー中心でベースを作りながら、W杯で選びたくても選べなかった選手であったり、いま存在感を放って成長の期待を感じさせているメンバーで構成させていただきました」
森保監督がこれからの半年間をどのような認識で過ごすのかに注目が集まっていたなか、この日の会見で強調されたのは「過去といまと未来を掛け合わせてチームを作っている」という言葉。アジア杯優勝を本気で目指しつつも、今後に向けた種まきも行う。半年間で“成果”を見出すのは難しいミッションだろう。
森保監督は「バトンタッチ、バトンタッチということで、もしも試合に負けたら、みなさんは許してくださいますか」という一言で、会場を沈黙させた。指揮官が覚悟の半年間に向けて言葉を切り出す。
「バトンタッチすることはありますが、次にバトンタッチするためにある活動ではない。そうすると、選手たちの競争のテーブルがおかしくなってしまう。ので、常に次につながることも含まれている」
「選手たちは賢いので、いまのためにやっているのか、違うためにやっているのかを絶対に気づく。ポジティブに気づいてもらえればいいですが、それが選手の集中力をそぎ、パフォーマンスに影響することや、ケガにつながることがある。目の前の勝利に向かっていくという軸は持ちながら、戦術的なチャレンジや、選手起用のチャレンジをしたい。
「いまの勝利と未来に向けてはちゃんとさせてもらっている。見方によってはチャレンジが足りないと言われるかもしれないが、未来を入れている。自然に大岩監督にいいバトンタッチができるかは分かりませんが、できるだけいいバトンタッチをしたい」
森保体制の集大成となる半年間が始まる。
取材・文・写真=浅野凜太郎



