目覚めの一撃か。
千葉はスコアレスで迎えた後半から、今季より川崎フロンターレより完全移籍したFWエリソンを投入。9日のJリーグヤマザキビスケットルヴァンカップ1回戦のカマタマーレ讃岐戦でも得点していた背番号99が、ついに火を吹いた。
「ストライカーらしいゴールだったと思います。ストライカーたるものは、あそこにいなければいけない」
58分に相手ボックス内の右ポケットを取った千葉FW矢村健が勢いよく右足シュートを放つと、相手GKはキャッチし切れなかった。「あそこでキーパーが弾くなり、こぼれてくることが多いので、入っていくことを心がけていた」とゴール前で待ち構えていたエリソンは、落ち着いて無人のゴールに流し込んだ。
千葉の目玉補強にとって、待望の今季リーグ戦初ゴールとなった。
小林慶行監督は「ストライカーにとって、シーズンの初めてのゴールが取れるまで(の気持ち)は、みなさんにも当然分からないと思いますし、僕自身もポジションが違うので分からない。それはストライカーにしか分からないことですが、相当なプレッシャーがあったと思う。そのなかでリーグ戦としては初めてのゴールを彼が決めてくれたのは、ポジティブに感じています」と、背番号99の心情を察していた。
そしてエリソン自身も、「さまざまなメディアにもコメントしていたように、ゴールはとても大事なことです。きょうは自分にとっても大事なゴールになりました。ああいうふうにゴールが決まると努力が報われるというか、肩の荷が下りたような気持ちになりました」と安堵(あんど)した。
千葉イレブンは、先制点を奪ったエリソンとともにコーナーフラッグ付近に一直線。闘牛のようにCKフラッグへ突進し、キックするモーションを行い、歓喜の輪を作った。讃岐戦ではエリソン一人で行った通称“エル・トウロ”のパフォーマンスを今度は大勢で行った。
「特に打ち合わせはなかったです。フロンターレのときも、仲間とあのようにセレブレーションをしていましたし、フロンターレのときも打ち合わせはありませんでした。うれしい驚きでしたが、あのような瞬間をみんなで味わうことができてうれしかったです」
また千葉の得点者がサポーターとともに拳を3回突き上げるジェフ三唱も完璧に披露。ファブリシオ通訳に教えてもらった恒例のセレブレーションを行い、「ジェフの一つの伝統を教わりました。サポーターの方々と一緒になってあのような場面を迎えることは大事だと思います。サポーターと一緒にお祝いすることは、僕たちも一緒に戦っているというメッセージ性のあるセレブレーションだった」と、黄色のゴール裏とともに喜びを爆発させた。
千葉はストライカーの一撃を守りたかったが、試合終盤間際の90+2分にヘディング弾を決められた。そのまま1-1で引き分け、最下位脱出のチャンスを逃した。
「ああいうミスを二度と起こしてはいけない。今シーズンはセットプレーで苦しんでいるので、見つめ直さないといけない。非常に苦い味のする引き分けでした」
この試合で刻んだ「1」の価値はこれから分かる。
取材・文=浅野凜太郎



