明治安田生命J2・J3百年構想リーグの地域リーグラウンドで7得点を決めてEAST-Aの得点王となった湘南FW山田寛人が、注目の上位対決で貴重な先制点とアシストを記録した。
30分に前線で相手のパスをカットした湘南は左サイドから鋭いクロスボールを供給。勢い良く飛び込んできたMF加瀬直輝が頭で落とすと、山田は冷静にトラップしてから、ゴール右上に狙いすました一撃を放ち、今季2得点目となった。
「うまいこと前で追いながら、後ろも固く守れていて、そのなかで得点を取れた」と連動した好守から生まれたゴールだった。百年構想リーグに続き好調を維持しているストライカーは、湘南の長澤徹監督から伝えられた言葉を胸に刻んでいた。
「徹さんは、タスクを任せているという責任感を与えてくれている。ハードワークしながらでキツいですが、『最後は自分で仕留めてこい。頑張っていたやつにボールがこぼれてくるから』と言われているんです。徹さんの言葉を信じて、百年構想リーグの半年をやっていた。まだまだ足りませんが、結果につながっているから、『あと一歩だ』と頑張れる要因になっています」
得点以外にも、前線からのプレッシングといった守備面の貢献も求められている。役割が多くなってしまうことでストライカーとして最も重要なゴールが遠のいてしまう選手もいるが、山田にとっては逆のようだ。
「今まではあまり長い時間(試合に)出られていなかった。60分とかでの交代が多かったんです。だけど湘南では、90分を通してチームを勝たせられる選手として、本当に任されているんだなと感じる。それが個人的にうれしいですし、(得点できている要因は)そこもあるかな」
指揮官からのオーダーに応えた上で、結果を積み重ねてきた。それによって自信もつき、ゴール前でも落ち着いて状況を判断できるようになった。この日のゴールが、まさにそうだった。
勢いに乗った湘南は37分に追加点。再び敵陣深くでボールを奪取すると、ボックス内にいた山田にパスが入った。背番号34はこれを倒れこみながら味方のFW西野太陽につなげ、アシストも記録した。
このまま逃げ切りたかったが、後半にPK弾で失点すると、83分に退場者を出してしまった。一人少ないなかでもギリギリまで粘ったものの、90+1分に追いつかれて悔しい引き分けとなった。
この日は痛みもあって65分にベンチへ下がっていた山田は「勝ち切れなかったのが課題」と反省しつつ、すぐさま前を向いた。
「いいチームにまとまってきていると、試合を積み重ねて感じている。ホームで大宮を倒せばいいだけですし、そんなに悲観することないかなと思っています。難しい試合を勝ち切るのが、ポイントを積み重ねるうえで大事だと、改めて確認できました」
ゴールだけでなく、あらゆるプレーでチームを勝たせられる選手へ。26歳の山田にエースとしての風格が漂い始めた。
取材・文=浅野凜太郎



