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nagai kengo(C)Getty Images

31歳の今だからこそ見えている景色。柏GK永井堅梧、勝利まで「下を向いている暇もない」

昨季J1で躍進した柏は今季わずか3勝で苦しんでいるなか、この日の柏のゴールマウスを守ったのは、今季2度目の先発出場となったGK永井堅梧だった。連敗脱出を目指した試合でホームに迎えたのは王者・鹿島。ここまで10試合に先発フル出場していた守護神のGK小島亨介がコンディション不良によって欠場となったなか、永井のプレーは日々の努力を証明するものだった。

■柏のために何を与えられるか

ベンチにいたときも、人一倍の声でチームを盛り上げ、出番がない間もコーチ陣と5人のGKファミリーで備えてきた。迎えた今季2度目の先発のチャンス。連敗という状況を好転させるために自分はこの試合で何ができるか。相手は昨季J1王者かつ現在首位の鹿島だ。

試合開始直前、背番号29の永井はサポーターを盛り上げるようにゴール裏へ雄たけびをあげて、会場のボルテージを引き上げた。

「スタジアムを含めて全体で、チャンピオンチームに負けていないというところを示したかった。自分たちがチャレンジャーだということは変わらない。勝ちに行くぞ」というメッセージを込めた。

「自分が(試合に)出たときに、何をチームに与えられるか考えてきました。まずは熱量。出るからには、みんなのテンションをもう一個、二個上げるじゃないけど、自分から発信できたらと思っていた」

試合はキックオフから拮抗した。

後方からのビルドアップで前進を試みる柏に対して、鹿島は[4-2-4]のような形で構えつつ、鋭いカウンターで応戦した。一つのミスがピンチに直結してしまうような緊迫感のある展開が続く。

0-0で迎えた前半終了間際。鹿島は一瞬のチャンスを見逃さなかった。右サイドでボールを奪ったDF濃野公人がぐんぐんとボックス内に侵入していく。キーパーの永井も距離を詰めていたが、最後はゴール前で待ち構えていたFW鈴木優磨に押し込まれた。

後半、1点を追う柏は果敢にゴールへ迫り、惜しくもオフサイドだったが、ネットを揺らす場面もあった。そのなかで、永井自身のプレーも安定していた。鹿島対策はもちろん、普段からリカルド・ロドリゲス監督の戦術でプレーするイメージトレーニングを欠かさなかったこともあって、ビルドアップでは落ち着いてボールをさばき、シュートストップでチームを助けた。

「準備してきたので」と永井は自信を持って言い切る。その“準備”こそが、一人しかスタメンに選ばれないGKにとっては難しいはずだが、この日のプレーこそが“準備”の証明だった。だが、背番号29自身は「この立場上、勝たないと何も残らない」と厳しい評価を下した。

■「勝ちたいっすね」

日々の努力のすえにつかんだ先発であり、チームにコミットできる永井だからこそ、この日の試合にかける想いも強かった。しかし、結果は0-1の敗戦。失点シーンに「もう一回映像を見返さなきゃいけない」と悔しさをにじませる。

「このチャンスがまたあるかどうか分からない世界です。でも、チャンスがあったときにつかむのは自分だし、そこを絶対に逃しちゃいけないという気持ちで準備していました」

2013年に三菱養和SCから松本山雅FCに加入し、プロキャリアをスタートさせた。サッカー選手として順調なスタートを切った一方で、リーグ戦出場ゼロに終わったシーズンも少なくない。直近5シーズンでのリーグ戦の出番は18試合にとどまる。

だが、「そういう経験がいまのメンタリティにつながっている」と語る。31歳のいま、自分よりもチームを優先できるようになったという。

「年齢ですよね。ずっとコンスタントに出られているキャリアではないから、こういう立場になることも多かった。自分が20歳だったら違うかもしれないけど、高卒プロから14年やっているので。自分もアピールしなければいけない立場だけど、いまはそこじゃない。チームを第一に考えていますし、日ごろベンチから見ていても、チームがどうなっているかの流れをつかめるように見ています」

個人としては、柏で出場した試合でいまだに勝利を挙げられていないが、何よりも“チームとして”勝てなかったことに唇をかむ。

「勝ちたいっすね。でも、またすぐにゲームがありますから、下を向いている暇もない。自分もまだまだ成長できるし、ああいう失点があるからこそできることはある。伸びしろだと思います。チームに貢献できるようにまた一から練習を頑張りたいです」

限られた出番のなかで何を残せるか。永井は“熱量”とともに、チームのために戦い続ける。

取材・文=浅野凜太郎

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