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kashiwa(C)Getty Images

柏、驚きの戦術。後半戦を支えるのは古賀太陽の“一人CB”と“らしくない”二人

柏のバックラインをDF古賀太陽一人だけで守っている瞬間が何度もあった。スリーセンターバックのもう二人は何をしていたのかというと、果敢に攻撃参加していたのだ。CB陣のパフォーマンスが、シーズン後半戦のカギを握るのかもしれない。

■バックラインに古賀一人?驚きの戦術

柏は古賀の“一人センターバック”で守り切った。

いや、大げさに書き過ぎたかもしれない。実際に、古賀の両脇で先発した右CBの山之内 佑成と、左CB三丸拡も体を張った守備でクリーンシートに大きく貢献したのだから。

だが、古賀自身は“一人CB”と評価されてもいいくらいの活躍を見せていたし、強い覚悟でスリーバックの中央を守っていたことも事実だ。そして両脇の二人は“CBらしくない”プレーを披露していた。

古賀は「 スリーセンターバックに佑成とミツくんのように攻撃的な選手を置いていることについて(リカルド・ロドリゲス)監督も、自分を信頼しているからだと話してくれました。だから僕としては、自分の出来次第でチームの結果も変わってくると思って、やりがいを感じていました」と振り返る。

柏は3-4-2-1の布陣で横浜FMと戦った。昨シーズンと同様に、両ウィングバックの選手が高い位置を取って、相手ゴールに迫る強みを残しつつ、印象的だったのはセンターバックの攻撃参加だ。

山之内はまるで“アタッカー”のように何度も内側のレーンを駆け上がり、シュートも放った。また38分には、ボックス内でボールを受けた山之内の折り返しに対して、大外からゴール前に飛び込んできた三丸がダイレクトで合わせてポスト直撃。CBからCBへのパスでゴールが生まれかけた。

三丸は自身の役割について「いわゆるセンターバックではない」と語る。もちろん守備をおろそかにしているわけではないが、「タイミングを見ながら前に絡んでいくプレーは、やっていて本当に楽しい」と攻撃参加の部分で手ごたえを感じていた。

「後ろから相手の動きを見て、どこが空いてるかを探しています。一番見えるポジションから入っていけるから、すごくやりやすい。恐れずに勇気を持ってトライできれば、どんどん自分が出ていけると思っています」

厚みのある攻撃を繰り返し、シュート15本を放った柏。球際にも強いCB二人が前線に残っていたため、セカンドボールの回収でも相手を上回った。

「レイソルのサッカーは形にとらわれない。誰が攻撃参加していても、後ろがしっかりとリスクマネジメントできていれば、攻撃に絡めるタイミングはどんどん前に出ていくやり方です。だからCBらしくないとは思いますが、あまりポジションにとらわれずにやっています」(三丸)

そしてこのスタイルが実現できたのは、古賀の存在あってこそだろう。

背番号4は後方からの配給やチームメイトへの声掛けに加え、ロングボールの対応、対人守備と競り合いでも存在感を発揮。見事に無失点で勝利し、指揮官からの期待に応えた。柏は新しいオプションを手にしたように見えた。

■勝って反省。古賀は無失点でも問題点を指摘

ただ、横浜FMが12分に退場者を出していたため、柏は試合のほとんどを数的優位で戦えた。その点を考えれば、この日のスタイルが一概に“大成功”だったと評価するにはまだ時期尚早だろう。古賀自身も、CBの攻撃参加について慎重な姿勢だ。

「結果が出ていれば、(CBが)攻撃参加するときのバランスに目を向けなくなってしまう。だけど自分としては、攻めているときはリスク管理の部分で奇麗な形ではなかったと思っています。だから全員が90分間集中力を切らさずに、リスク管理を続けるような環境を整えなきゃいけない」

前述した三丸のポスト直撃シーンについても、背番号4は手放しで称賛しなかった。あの場面における柏のバックラインは、それこそ古賀の一人CB状態だった。

もちろん、山之内と三丸はお互いの状況を確認しながら、駆け上がるタイミングを見計らっているが、リスクを冒した攻撃参加にはデメリットも存在する。古賀が冷静に分析を続けた。

「ハーフコートを一人で守らなければいけない状況もありました。それだと自分も回収しづらくなる。自分からの呼びかけや、他の選手も巻き込みながら、チーム内での(守備)意識のレベルをまだまだ上げなきゃいけません」

勝って反省だ。今季初の3連勝を挙げて勢いに乗るいまだからこそ、わずかなほころびも見逃すべきではない。

とはいえ、CB二人の勇敢な飛び出しが生んだ決定機も忘れたくはない。古賀も「攻撃にあれだけ人数をかけられるのは強み」と理解を示した。

その上で「ただ、必要以上にリスクを負う必要もない。そこのバランス感はいろいろと探りながら最適解を見つけたいです」と今後の発展を予感させている。

昨季J1を2位フィニッシュしながらも、今季はなかなか思うような結果がでていなかったが、折り返し地点でついに本領発揮の気配だ。

一人のCBと、CBらしくない二人のパフォーマンスが、シーズン後半戦のカギを握るかもしれない。

取材・文=浅野凜太郎

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