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「ハリー・ケインの“へそ”を見よ」 岩政大樹が語るワールドクラスのディティール【プレミアリーグ~FW、若手編~】

東京ユナイテッドFCの岩政大樹です。第一回では、リヴァプールのアリソンとレスター・シティのハリー・マグワイア、マンチェスター・ユナイテッドのポール・ポグバについて、「ワールドクラスである要因」を述べさせていただきました。今回は、僕が注目しているフォワードと若手選手を紹介させていただきます。

■ハリー・ケインの“へそ”を見ろ 

2018_8_17_kane(C)Getty Images

FWハリー・ケイン(イングランド代表/トッテナム)

FWでは、何と言ってもトッテナムのエースであるケインに注目です。単純に現象の話から始めると、「コンスタントに点を取る」。それができるのが彼の一番の魅力です。ここ4シーズン連続でリーグ戦20得点以上を記録しています。W杯でも得点王になりました。

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なぜいつも点が取れるのか。当然、シュート精度が高く、動き出しや相手との駆け引きもうまい。とはいえ選手も人間で、いろんな浮き沈みや調子の良し悪しがあります。それでも、コンスタントにゴールを奪い続けることができる。「毎シーズン、20得点、30得点を保証してくれるフォワードがいる」というのは、チームにとって戦い方を定めやすくすることができます。そのため、もちろん希少な存在です。

僕はコーチとしてもよくフォワードの選手に言うのですが、ケインのプレーの特徴で見てほしいのが「へそ」です。ゴールへの意識ということにつながりますが、「へそを相手ゴールに向ける」ということです。得点が取れないフォワードの選手たちをよく見てみると、自分の「へそ」が自陣ゴールに向く時間が長いことに気付いていただけると思います。

自チームが中盤でボールを回す際には、どうしても「へそ」が自陣ゴールに向きがちになります。でもその状態だと、ボールが出てきた際に身体を反転させる必要が生じます。反転する、ということはディフェンダーと条件が一緒になります。ディフェンダーは必ずボールを見てアクションを起こす必要がありますからね。ディフェンダーと同じ条件になれば、スペースに出たボールに対しても、先に触ることが難しくなります。

ケインの場合、もちろん直線的な縦パスを受けるポストプレーの際は、「へそ」が自陣ゴールに向きますが、少しでも時間ができれば必ず、「へそ」を相手ゴールに向けています。そして彼は、ボールのもらい方、そのための身体の使い方、角度の付け方、ディフェンダーとの立ち位置の調整が抜群にうまい。ワンタッチ、ツータッチでシュートに持ち込める“画”を描きながら、ボールを待っています。そして、それを継続できるんです。非常に参考になりますね。

選択肢としての一つ目は必ずゴールに向かうこと。それができない時に次をやる。一つ目の選択肢がブレないので、必然的にシュートに持ち込める確率は上がります。そうなると当然、ゴールの確率は増えて、コンスタントにゴールを陥れることにつながります。それが当たり前にできるケインは、「非常に論理的にゴールを奪える選手」と言えるでしょう。ぜひ、彼に注目して試合を観ていただきたいです。

■日本人にも参考になりやすそう

2018_8_17_toreira 若手MFルーカス・トレイラ(ウルグアイ代表/アーセナル)

そしてもう一人、W杯で活躍した若手で注目している選手がいます。サンプドリアからアーセナルに加入したウルグアイ代表のルーカス・トレイラです。W杯でも非常に鮮烈な印象を残して評価を上げた22歳のセントラルMFですね。

なぜ彼を選んだかと言うと、体格面からみて日本人にも参考になるからです。僕はあまり、「日本人と似ている体格」という言い方で物事を語るのは好きではありませんが、参考になる部分があるのは間違いありません。

例えば、「ポグバを参考に」と言われても日本人としては困るでしょうが、トレイラのようなプレースタイルでアーセナルに行く、ということは現実的な目標として捉えられるでしょう。指針にはなると思います。

同じ小さな選手でも、チェルシーに所属するフランス代表MFエンゴロ・カンテのような身体能力があるわけではありません。それでも、守備時にはしっかりとスペースを埋めたり、相手が入れようとするクサビのコースを消したり、センターバックとの連係の中で敵のストライカーをケアしたりなど、気が利く選手です。その中で、ビルドアップの際にもチームのコンダクターとしてボールをさばけるテクニックも備えています。そのような点からも、日本人でもモデルとして参考になりやすそうな選手です。

ウルグアイがベスト8まで進出できたのは、トレイラがアンカーとしての役割を高いレベルでこなせたという点が大きかったと思います。それも、4-3-3のアンカーと、ウルグアイが採用していたような、中盤がダイヤモンド型の4-4-2のアンカーとでは、もちろん後者のほうが負担は大きいです。彼はそれをやり切りました。一つの大きな驚きでしたね。

ですので、ウナイ・エメリ監督が率いる新たなアーセナルの中で、彼がどこまで影響力を持つ選手になれるか、非常に楽しみです。プレミアリーグでは試合のスピード感も速くなりますし、簡単ではないかもしれません。しかし、ペスカーラ、サンプドリアと順序よく階段を上がってきた選手で、下地は整っているのではないかと思います。クレバーさとサッカーインテリジェンスを感じさせる選手なので、彼がプレミアリーグと新チームでどのように適応していくか――。皆さんも、よかったら注目してみてください。

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