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Serie A GFX 1:1GOAL

今、世界一“面白い”リーグ!? 古臭い「カルチョ」を一変させたセリエA、3つの魅力を解剖

Peter McVitie
翻訳者:
  • ちょうど3週間前、「カルチョ(イタリアサッカー)」はどん底に落ちたかのように思われた。代表チームが3大会連続でワールドカップ出場を逃すという屈辱を味わってから約半年余り、セリエAの4チームが史上初めてチャンピオンズリーグの同じ節で敗れたからだ。

    酌むべき事情もあったかもしれない。例えばローマは、レアル・マドリーに劇的な逆転劇を許したものの、最後の10分を除けば素晴らしい戦いを見せていた。新進気鋭のコモは、この欧州最高の舞台でまだ2試合目だった。それでも、16年間も王者を輩出していないこの国にとって、この結果が極めて悪い印象を与えたことは否定できない。

    しかし、イタリアサッカー連盟の監理官となったジョヴァンニ・マラゴは、「乱暴で一括りにするような断定は避けるべきだ。この4敗は、我々の実態を正しく反映したものではない」と主張している。そして、その言葉が正しかったと考える理由も十分にある。

    その翌週、ローマ、コモ、インテル、ナポリはいずれも次のチャンピオンズリーグの試合に勝利した。リーグフェーズ第4節でも、インテルとコモは快勝し、ローマは再び劇的な試合を演じた(ナポリの結果は非常に残念だが…)。もちろん、それが「カルチョ」の実態すべてを意味するわけではない。だが、その衰退を伝える声は大げさだったのかもしれない。

  • 希望が見えるスタジアム事情

    FBL-EUR-2032-UEFA-BID
    AFP

    「カルチョ」の根本的な問題は、主要な関係者の誰もが全体の利益のために協力しようとはしないことだ。ほぼ全員が自らの利益だけを優先するため、全体で前進が不可能な状況に陥っている。イタリア代表がまたもワールドカップ出場権獲得に失敗し、メディアで検証が繰り返される中、アレッサンドロ・デル・ピエロは「結局のところ、我々は自分たちの尻を守ることしか考えていない」と断罪している。

    しかし、誰もが同意することが1つある。セリエAのスタジアムの大半は、トップレベルのスポーツイベントを開催するにふさわしくないということだ。例えば、ナポリは過去3年間で2度のリーグ優勝を果たしたが、アウレリオ・デ・ラウレンティス会長は本拠地を繰り返し「トイレ」と呼んでいる。それは、なぜか。スタディオ・ディエゴ・アルマンド・マラドーナは、ほかの多くのスタジアムと同様、イタリアが最後にワールドカップを開催した1990年以来、大規模な改修や再開発が行われていないからだ。

    だが、そうした状況も変わろうとしている。少なくとも理論上は、だが、

    FIGCが先月、EURO2032の開催候補会場を発表すると、候補に挙がった14会場のうち「現状のままで試合を開催できるのはユヴェントスのアリアンツ・スタジアムだけ」とすぐに指摘された。残る13会場は全面的な再開発がまだ終わっておらず、建設すらされていないものもある。当然、多くの人が疑問を抱いた。

    イタリアで何かを建設しようとした経験がある人なら誰でも言うだろうが、同国の官僚主義の度合いは信じ難い。煩雑な手続きに何年も縛られる事態を避けるのは難しい。昨年にはUEFAのアレクサンデル・チェフェリン会長が「イタリアの政治家は、なぜサッカーインフラが欧州でも最悪レベルなのか自問している」と述べた。EURO2032のイタリア開催を取り消す可能性も示したチェフェリンの批判は、狙いどおりの効果を生んだようだ。

    イタリアのスタジアムには文字どおりまだ多くの工事が必要であり、懸念は拭えない。それでも、明らかな進展はある。フィオレンティーナのスタディオ・アルテミオ・フランキの再開発はすでに本格的に進んでおり、2029年までに完了する見込みだ。ボローニャでは先月、新スタジアムの建設が承認された。そしておそらく最も重要なのは、ACミランとインテルがついに新たな本拠地、ジェネラリ・スタジアムの計画を発表したこと。完成は2031年までを予定している。

    もちろん、何事も確実とは言えない。だが、いら立たしいほどの停滞が何年も続いた末に、EURO2032を失う恐怖と、もはや耐え難いワールドカップを巡る苦境が重なり、長らく待たれていたセリエAの複数のスタジアムの刷新に、少なくとも希望が生まれた。実現すれば、マッチデー収入という点で各クラブに恩恵をもたらすだけでなく、リーグ全体にも利益となるはずだ。セリエAのルイジ・デ・シエルヴォCEOは『Undici』でこう語っている。

    「現在、我々は極めて困難な局面にある。我が国のスタジアムは欧州で最も古く、1会場当たりの平均築年数は70年を超えている。クラブは今もテレビ放映権収入に大きく依存しているのだ。しかし、商業収入は伸びており、近代的な最新鋭のスタジアムがあれば、その面でも大きな後押しになるだろう」

  • カルチョ革命

    AC Milan v FC Internazionale - Serie A 2026/27
    Getty Images Sport

    ただ、デ・シエルヴォが指摘したように、セリエA上位クラブの半数以上が新スタジアムを建設しても、その恩恵が現れるのはずっと先になる。「新たな経済モデルが完全に機能するまでには、少なくとも6~7年はかかる。そして、その間にも他のリーグとの差は広がり続けるだろう」と同氏は認めている。

    セリエAは移籍市場でプレミアリーグと競争できる状況にないだけに、競技面でも差が広がり続ける可能性がある。しかし、一部のイタリアのクラブは、重要なのは資金よりも「使い方」だと証明しているのだ。インテルが3シーズンで2度チャンピオンズリーグ決勝に進出したのは、主としてベッペ・マロッタによる強化戦略のおかげだ。さらに賢明なチームづくりという点では、コモの躍進は無視できない。

    もちろん、コモの目覚ましい躍進はジャルム・グループの資金援助なしには実現しなかっただろう。それでも、セスク・ファブレガス監督率いるチームがマンチェスター・ユナイテッドに快勝できたのは、高額補強によるものではない。巧みな選手獲得と明確なチームの方向性によって、過去10年間で世界最高額を補強に投じてきたクラブの1つを圧倒したのだ。コモは、かつてのアタランタと同じように、若手や過小評価されている選手を獲得し、明確なアイディアの下に攻撃的なサッカーを展開すれば欧州最高峰の舞台でも存在感を示せるとすべてのクラブに示したのだった。

    そして、彼らに続こうとするクラブも存在する。フロジノーネの躍進は大きなサプライズだ。今季昇格したばかりのフロジノーネは、開幕前は降格候補の筆頭だった。だが実際には、10節を終えた段階で6位につけている。その順位に見合う、実に伸び伸びとしたプレースタイルで戦っているのだ。10試合で24ゴールを奪った彼らは、イタリアのトップリーグにおけるアプローチの大きな変化を物語っている。

    今季開幕前、『ガゼッタ・デッロ・スポルト』など主要メディアは、セリエAの20チームの多くが攻撃的な布陣で臨む可能性を指摘していた。それでも、守備的なサッカーのイメージが強いリーグで、これほど得点が量産されるとは誰も予想していなかっただろう。新シーズン開幕から3カ月弱が経過した現在、欧州5大リーグの最多得点チームのうち、なんと4チームをイタリア勢が占めているのだ。

    フロジノーネに加え、予想外に首位に立つラツィオはともに24得点。昨季王者インテルは26得点を挙げ、今季リーグ戦でローマ(28得点)を上回るのはバルセロナだけだ。ローマを率いるのは、アタランタの元指揮官ジャン・ピエロ・ガスペリーニ。セリエAは長年、他の欧州トップクラブ、特にプレミアリーグ勢の強度に対抗できずにきたが、ようやく、より縦に速く攻撃的な戦い方を取り入れつつあると言えそうだ。

    元イタリア代表ダニエレ・アダーニによれば、このサッカー哲学の変化こそが、昨季終了時にミランを解任されたマッシミリアーノ・アッレグリが、現在ナポリで苦戦している理由である。アダーニは『ラ・ドメニカ・スポルティーバ』で「彼のサッカーのやり方は、もう通用しない」と断言した。守備の良さがイタリアで時代遅れになるとは考えにくいし、この見解には議論の余地はある。それでも、セリエAが非常に見応えのあるリーグになりつつあることは明らかだ。

    今季の1試合平均得点は3ゴールに達し、すでに9試合で6ゴールが生まれている。そして今季は、その予測不可能性がさらにリーグを面白くしているのだ。

    第10節で行われた今季最初のミラノダービー。ホーム扱いのミランは立ち上がりから王者インテルを圧倒し、開始10分で2ゴールをリード。最終的に3-1の快勝を収めた。しかし、そのミランは3日前、同じサン・シーロでボローニャに2-4で敗れている。そして前述のように、現在の首位チームはジェンナーロ・ガットゥーゾ率いるラツィオだ。上位陣の顔ぶれも、ラツィオやコモ、フロジノーネを筆頭に非常に興味深い顔ぶれが並んでいる。

    現時点で、上位4チームの勝ち点差はわずか「5」。シーズンを通してこれほど魅力的な展開が続くかどうかは予想し難いが、イタリアサッカーは遅く、退屈で、若々しい熱気に欠けるという一般的に否定的なイメージを変える可能性は、間違いなくある。

  • 最も“面白い”リーグ

    Frosinone Calcio v US Sassuolo - Serie A 2026/27
    Getty Images Sport

    2025年夏、ケヴィン・デ・ブライネがナポリに、ルカ・モドリッチがミランにそれぞれ移籍したことで、イタリアはベテラン選手の「引退前の行き先」という評判をむしろ強めてしまった。セリエAでは若手が活躍する機会があまりに少なく、特にビッグクラブではその傾向が顕著だ。リーグは依然として、キャリアを始める場所というより、延ばすのに最適な場所に見えた。

    しかし今のセリエAで、最も注目すべき選手たちの顔ぶれを見てほしい。ニコ・パス、ピオ・エスポージト、ケナン・ユルディズだけではない。ケリム・アライベゴヴィッチ、フランコ・マスタントゥオーノ、グスタボ・バレラ、サミュエル・ムバングラ、アリュー・ンジエ……彼らはいずれも22歳以下だ。

    さらに心強いことに、イタリアの若手も存在感を示し始めた。ミランで大ブレイク中のアルファジョ・シセ、パルマの18歳FWシモーネ・ランティーニ、ローマの19歳新星エマヌエーレ・ルッリ、フロジノーネを牽引するアントニオ・ライモンドは、低迷するイタリア代表の若返りを図るロベルト・マンチーニ代表監督の関心を急速に集めている。

    かつてマンチェスター・シティを率いたマンチーニは、イタリアからは「もはやデル・ピエロのようなワールドクラスのアタッカーは生まれない」と主張したことがある。だが、デル・ピエロ本人はこれに異を唱え、問題は選手の質ではなく指導にあると訴えていた。『スカイ・カルチョ・アンプラグド』でこう語っている。

    「我々は、若手に何をすべきかを教えすぎているんだ。それが彼らの創造性を奪っている。彼らは指示を実行するのはうまくなるが、そのシステムから一歩外に出た途端にミスをして、力のない選手として切り捨てられるんだ。だが、それは事実ではない。問題は、一つのやり方しか教わっていないことなんだよ」

    彼の言葉を聞いてか、今のセリエAの複数の指導者は、プレースタイルの面でも若手の起用の面でも、より積極的にリスクを取ろうとしているが見て取れる。これはカルチョ全関係者が歓迎すべき傾向だ。

    セリエAは、今世紀に入ってから非常に多くのファンを失った。あの1990年代の黄金期からは考えられないほどに。しかしようやく、その衰退に終りが見え始めた。その証拠に、プレミアリーグからイタリアに渡る選手も増加している。スコット・マクトミネイらは「美しい国」イタリアの魅力を謳歌し、それを世界に発信し続けている。

    そして本当に注目すべきなのは、イタリアは居住地として魅力的なだけではないということ。サッカーという意味でも、その魅力を再び取り戻しているのだ。実際、今のセリエAは、プレミアリーグよりも面白いはずだ(王者アーセナルのアンフィールドでの戦いぶりを見たばかりであれば、そう感じる人も多いはずだ)。さらに、「公平性」という部分でもプレミアリーグを上回っている。ギャリー・ネヴィルの言葉を借りれば、現在のイングランド・フットボールはマンチェスター・シティによって「傷つけられている」状況である。

    もちろん、すべてが完璧なわけではないし、やるべき課題は山積みだ。内紛と運営能力の欠如は依然として大きな問題であり、カルチョのイメージが改善するのは、EURO2032の会場候補となるスタジアムの建設と同じくらい時間がかかるかもしれない。

    それでも、今の好意的な変化が続いていけば、新スタジアムが開場する頃にはそれらを満員にできるチーム、選手、監督が揃っているかもしれない。なぜなら今、ヨーロッパで最も“面白い”のは、セリエAだからだ。