ただ、デ・シエルヴォが指摘したように、セリエA上位クラブの半数以上が新スタジアムを建設しても、その恩恵が現れるのはずっと先になる。「新たな経済モデルが完全に機能するまでには、少なくとも6~7年はかかる。そして、その間にも他のリーグとの差は広がり続けるだろう」と同氏は認めている。
セリエAは移籍市場でプレミアリーグと競争できる状況にないだけに、競技面でも差が広がり続ける可能性がある。しかし、一部のイタリアのクラブは、重要なのは資金よりも「使い方」だと証明しているのだ。インテルが3シーズンで2度チャンピオンズリーグ決勝に進出したのは、主としてベッペ・マロッタによる強化戦略のおかげだ。さらに賢明なチームづくりという点では、コモの躍進は無視できない。
もちろん、コモの目覚ましい躍進はジャルム・グループの資金援助なしには実現しなかっただろう。それでも、セスク・ファブレガス監督率いるチームがマンチェスター・ユナイテッドに快勝できたのは、高額補強によるものではない。巧みな選手獲得と明確なチームの方向性によって、過去10年間で世界最高額を補強に投じてきたクラブの1つを圧倒したのだ。コモは、かつてのアタランタと同じように、若手や過小評価されている選手を獲得し、明確なアイディアの下に攻撃的なサッカーを展開すれば欧州最高峰の舞台でも存在感を示せるとすべてのクラブに示したのだった。
そして、彼らに続こうとするクラブも存在する。フロジノーネの躍進は大きなサプライズだ。今季昇格したばかりのフロジノーネは、開幕前は降格候補の筆頭だった。だが実際には、10節を終えた段階で6位につけている。その順位に見合う、実に伸び伸びとしたプレースタイルで戦っているのだ。10試合で24ゴールを奪った彼らは、イタリアのトップリーグにおけるアプローチの大きな変化を物語っている。
今季開幕前、『ガゼッタ・デッロ・スポルト』など主要メディアは、セリエAの20チームの多くが攻撃的な布陣で臨む可能性を指摘していた。それでも、守備的なサッカーのイメージが強いリーグで、これほど得点が量産されるとは誰も予想していなかっただろう。新シーズン開幕から3カ月弱が経過した現在、欧州5大リーグの最多得点チームのうち、なんと4チームをイタリア勢が占めているのだ。
フロジノーネに加え、予想外に首位に立つラツィオはともに24得点。昨季王者インテルは26得点を挙げ、今季リーグ戦でローマ(28得点)を上回るのはバルセロナだけだ。ローマを率いるのは、アタランタの元指揮官ジャン・ピエロ・ガスペリーニ。セリエAは長年、他の欧州トップクラブ、特にプレミアリーグ勢の強度に対抗できずにきたが、ようやく、より縦に速く攻撃的な戦い方を取り入れつつあると言えそうだ。
元イタリア代表ダニエレ・アダーニによれば、このサッカー哲学の変化こそが、昨季終了時にミランを解任されたマッシミリアーノ・アッレグリが、現在ナポリで苦戦している理由である。アダーニは『ラ・ドメニカ・スポルティーバ』で「彼のサッカーのやり方は、もう通用しない」と断言した。守備の良さがイタリアで時代遅れになるとは考えにくいし、この見解には議論の余地はある。それでも、セリエAが非常に見応えのあるリーグになりつつあることは明らかだ。
今季の1試合平均得点は3ゴールに達し、すでに9試合で6ゴールが生まれている。そして今季は、その予測不可能性がさらにリーグを面白くしているのだ。
第10節で行われた今季最初のミラノダービー。ホーム扱いのミランは立ち上がりから王者インテルを圧倒し、開始10分で2ゴールをリード。最終的に3-1の快勝を収めた。しかし、そのミランは3日前、同じサン・シーロでボローニャに2-4で敗れている。そして前述のように、現在の首位チームはジェンナーロ・ガットゥーゾ率いるラツィオだ。上位陣の顔ぶれも、ラツィオやコモ、フロジノーネを筆頭に非常に興味深い顔ぶれが並んでいる。
現時点で、上位4チームの勝ち点差はわずか「5」。シーズンを通してこれほど魅力的な展開が続くかどうかは予想し難いが、イタリアサッカーは遅く、退屈で、若々しい熱気に欠けるという一般的に否定的なイメージを変える可能性は、間違いなくある。