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ito(C)Getty Images

4年後のW杯、37歳の伊東純也はさらに輝いている?スポーツ科学が変える“選手寿命”【しゃべGOAL】

『GOAL Japan』のYoutube番組「しゃべGOAL」。元・浦和レッズコーチでサッカー指導者の林舞輝氏とサッカージャーナリストの川端暁彦氏が様々なテーマで徹底討論する。

Ryo Mika
  • FIFAワールドカップ2026が終わった今、当然「次回大会(2030年)の日本代表メンバーには誰が選ばれるのか?」にも大きな注目が集まっている。

    今回は『GOAL Japan』のYoutube番組「しゃべGOAL」にて、元・浦和レッズコーチでサッカー指導者の林舞輝氏、そして日本代表やユース年代を長年取材してきたジャーナリストである川端暁彦氏が、4年後のワールドカップメンバーについて徹底討論。しかし、日本特有の育成環境の進化に加え、スポーツ科学の進化によってこれまで以上に予想は難しいものになっている。

    撮影日=7月6日


  • 日本特有の育成環境

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    (C)Getty Images

    ――4年後のワールドカップに挑む日本代表メンバーを予想してください。

    川端:「無理じゃないですか?(笑)」

    林:「ブラジル戦でゴールを挙げた佐野海舟選手は、4年前はFC町田ゼルビアにいました。オランダ戦でゴールを挙げた小川航基選手も横浜FC。どちらも当時はJ2です。また、4年前の鈴木淳之介選手を知っている人はどれだけいましたか、と(笑)。知っていた人ですら4年後にワールドカップメンバーになっているとは予想できなかったかもしれません。4年あれば選手は急激に成長しますし、そういう選手はたくさんいますよ」

    川端:「4年前のカタール大会は東京五輪世代も多く、相対的に若かった。当時は『次の大会もメンバーは変わらないのでは?』と言われていました。しかし、それから13人変わっています。日本サッカーのパイ多さだけでなく、本気でトップレベルを目指す選手がたくさんいます。そうしたことも考慮すると、予想は無理だと思っています」

    林:「予想できない・難しいことは良いことですからね。高体連、クラブユース、大学サッカー、U-21リーグもできて、もちろんJリーグや海外リーグに挑戦する選手もいる。色々な環境で成長できるのは素晴らしいことなんです」

    川端:「プロクラブのセレクションに落ちたから『もう諦めます』ではなくて、その先にも色々な選択肢があって、再びトップレベルを目指せるというのは、すごく幸せなことですよ」

    林:「他の国には真似ができないことですよ。例えば、大学に進学するという人生におけるセーフティネットを持ちながら、18歳~22歳まで真剣にサッカーに打ち込むことができる。逆にヨーロッパとかでは、この年齢層の選手がクラブでチャンスを掴めずに辞めてしまうことがたくさんあるんです。実際、ここから伊東純也選手などは出てきました。日本はこうしたシステムで最適化されています」

    川端:「ユース年代を長年取材してきて、『代表に選ばれる』までは予想できたとしても、『ワールドカップメンバーに入る』までは当たりません(笑)。狭き門だし、巡り合わせやタイミングもあります」

  • 選手寿命が伸びている理由

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    (C)Getty Images

    川端:「今回のメンバーで、主力として活躍した選手の中で最年少は鈴木彩艶(23歳)です。フィールドプレイヤーで言えば、佐野海舟選手や久保建英選手、中村敬斗選手、菅原由勢選手、瀬古歩夢選手の2000年組が最年少ゾーン。少し高齢化してきた印象もあります。その下の世代では、鈴木唯人選手や塩貝健人選手、後藤啓介選手、鈴木淳之介選手たちでしたが、彼らは当然期待されるでしょう。だからといって『4年後は彼らが中心だ』と言えるかというと、そんな甘い世界ではない。なぜなら、今回のメンバーに入らなかった選手が急激に成長する可能性もありますし、今も主力を務めている選手たちがさらに成長するかもしれません」

    「例えば、伊東純也選手。今は33歳です。4年前のワールドカップが終わった後、当時29歳の彼について『33歳では、スピードが売りの選手だから厳しいだろう』と言われていました。ですが、今大会も素晴らしかった。37歳となる次の大会、伊東純也選手はより輝いているかもしれません」

    林:「アルゼンチン代表のあのスーパースターは、39歳でも圧倒的でした(笑)。テクノロジーやスポーツ科学の進化によって、選手寿命が確実に伸びています。これには良い面も悪い面もある。悪い面で言えば、寿命が伸びている分、若手選手は出場機会を確保しづらくなっていることも言えます」

    「今の選手はケガをしにくくなっているし、コンディションもキープできるようになった。スポーツ科学の進化により、コンディション管理も進化しましたからね。では、同じレベルのベテランと若手がいたらどうなるか。監督は経験豊富なベテランを選んでしまうもの。アルゼンチンに“次のメッシ”が現れない最大の理由は、今もメッシがいるから。メッシがいる間は、“次のメッシ”は出てこないと思います」

    「確実に選手寿命は伸びているので、これまでのように『30代になったから…』というのは考えなくていいと思います。今大会でも35歳前後の選手が世界トップレベルの強度で戦っていました。リーグ戦で1年間戦うのは厳しいかもしれませんが、ワールドカップ期間中の1カ月やポイントポイントで起用するのであれば、活躍できる寿命は伸びていると思います」

  • もしロナウドが現代にいれば…

    Ronaldo Brazil 2002
    Getty

    林:「例えば、元ブラジル代表のロナウド選手は特別な才能を持っていましたが、とにかくケガが多かった。そんな彼に似ているのが、キリアン・エンバペです。では、なぜエンバペの方は大きなケガもなくずっと活躍できているかと言うと、明らかにスポーツ科学のおかげです。体重管理と食事管理に加え、身体内部の状態を常に把握できるし、時にはプライベートに入り込んでまで管理することもできる。もしロナウド選手が現代にいれば、あれほどケガをしなかった可能性が非常に高い。今後を見ていくうえで、こうしたスポーツ科学による寿命の変化は見ていたほうがいいと思います」

    川端:「今大会でワールドカップ通算得点記録が更新されて話題になりましたが、記録を見ていると、昔は3大会連続出場でも十分に素晴らしいことでした。4大会連続はレジェンド級。しかし、今は当たり前になってきました。どの国にも長友佑都選手のような存在がいます。だからこそ、同時に若手選手が出てきにくいということも言えるかもしれません」

    「しかし、こうした環境の中だからこそ、若いときから経験を積んでいる選手は大きなアドバンテージを持つことができます。今30歳前後で歴史に名を残すような選手たちは、軒並み20代前半でワールドカップを経験していますしね」

  • 期待する選手は?

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    (C)Getty Images

    林:「こうした環境面の変化を考慮しつつ、4年後に期待したいのは、やはりGKとストライカー。さらにパワーアップしてほしい。どんなに戦術が進化しようが、トレンドがあろうが、最後に『ゴールが入るか入らないか』という本質は変わりません。今大会で躍進したノルウェーには、重要な局面でPKをストップするGK(エルヤン・ニーラン)がいて、理不尽に点を取るストライカー(アーリング・ハーランド)がいました」

    「そういった選手を育てることを諦めてはいけないし、逃げてもいけないと。点を取る力、取られない力の部分は、さらなる成長に期待しなければいけない部分だと思っています」

    川端:「上田綺世選手がすごく成長して、日本サッカー史に名を残す選手になりかけていますが、もっと上のステージを見せてほしいし、彼以外の選手もそうなってくれたらいいなと思いますね。それは鈴木彩艶選手や他のGKについても同じです」

    「1月にアジアカップがやってきますが、このワールドカップメンバーをベースにするのか、4年前に鈴木彩艶選手を抜擢したように新しい選手をどんどん入れていくのか、これは日本代表監督が直面する大きなテーマの1つです」