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Alexander Isak Liverpool GFX 1:1GOAL

アーセナルに欠け続ける「違いを生み出せる本物のクオリティ」…ついに本領発揮のイサクが示す“エース”の価値

Mark Doyle
翻訳者:
  • 現役時代にマンチェスター・ユナイテッドやニューカッスルなどを渡り歩いたアラン・スミス氏は今週初め、リヴァプールvsアーセナルの大一番を前に「リヴァプールの選手でアーセナルの先発11人に入れる選手は?」と問われると、「アレクサンデル・イサクだけ」と主張した。

    この主張が正しいかどうかは、様々な意見があるだろう(少なくとも左ウイングのポジションは議論の余地がある)。それでも、アーセナルのミケル・アルテタ監督が1人を選ぶとしたら、考えるまでもなく、同じ名前になりそうだ。アルテタは本気でイサクの獲得を熱望しており、プレミアリーグ30試合で21ゴールを挙げた2023-24シーズンから動いていたのだ。その翌年のリーグカップ準決勝、エミレーツ・スタジアムで行われた一戦で、イサクは全2得点を演出してアーセナル撃破の立役者に。アルテタ監督は試合後、当時ニューカッスルのエースだったストライカーについて、こう語っている。

    「彼にビッグチャンスがあったとは思わない。だが残念ながら、彼はボックス内でボールを持ったたった2回のチャンスでどちらもゴールに関与した。それが彼の持つ力だ。前線には違いを生み出せる本物のクオリティがある」

    しかし昨夏、イサクが退団希望を明確にした時、アーセナルはリヴァプールとの争奪戦を見送った。その理由は、1つのポジションだけでなく複数ポジションの強化に資金を回す考えからだという。その後、アーセナルが22年ぶり悲願のプレミアリーグ制覇を果たし、一方イギリス史上最高額で移籍したイサクがリヴァプールで悪夢のようなシーズンを送ったことで、この判断は正しかったと言うこともできるはずだ。

    それでも、アーセナルが未だ欠いており、喉から手が出るほど欲しいであろう「違いを生み出せる本物のクオリティ」は、リヴァプールが誇示している。

  • 悪夢のような1年

    Tottenham Hotspur v Liverpool - Premier League
    Getty Images Sport

    当然かも知れないが、今でもリヴァプール加入初年で苦しんだイサクに同情する声は殆ど聞こえない。ニューカッスル退団前の強硬姿勢はイングランドのフットボールファンの反感を買い、まともなプレシーズンを送らなかったことから「自業自得」と考えている人も多い。

    アーリング・ハーランドに並ぶ存在として高い評価を受けていたスウェーデン代表FWだが、昨季はまるで別人のようにパフォーマンスを落とした。そして昨年12月20日のトッテナム戦、フロリアン・ヴィルツのスルーパスを冷静に決めるなど調子を取り戻しつつあった矢先、左腓骨の骨折という重傷で長期離脱。3カ月後に復帰した後も、プレシーズンの準備不足から来る度重なる筋肉系のトラブルに悩まされ続けている。

    イサクが本来の調子と万全のコンディションを取り戻すには、試合に継続して出場しつつ、自身のリズムをもう一度掴む必要があるのは明らかだった。だからこそ、今夏のワールドカップは彼にとって「絶好のタイミング」だったのだ。

  • 転機

    Newcastle United v Liverpool - Premier League 2026/27
    Getty Images Sport

    ワールドカップで4ゴールに直接関与し、自らも1ゴールを奪った。だがそれ以上に重要なのは、ラウンド32まで進んだスウェーデンでほぼ全試合にフル出場したということだ。過去1年間で初めてまともに連続出場し、自らのリズムを取り戻す助けになっている。

    それでも、シーズン開幕前はイサクに疑問を持つ者も多かった。8月29日のノッティンガム・フォレスト戦(2-2)、彼は今季初ゴールを記録したが、リヴァプールOBスティーブン・ウォーノックは当時『GOAL』にこう語っていた。

    「私は現地で見ていた。イサクはゴール以外、まったく何もしなかった。本当にひどい出来だった。意欲があるようにはまったく見えなかったよ。私は『しっかりとプレシーズンを過ごして意欲とコンディションを取り戻し、自分の力を証明するはずの選手なのに……』と思ったね。だが、彼にはそれができるようには見えなかったんだ」

    「あのユニフォームを背負えるようには見えなかった。それは大きな問題だ。移籍金に見合う結果を出さなければならないという期待も重圧になっている。現時点では本来の調子には程遠い。周囲の選手との連係がまだ少し足りないだけなのかもしれない。だが、毎日練習しているのだから、もう試合を理解しているはずだ」

    だが、今の彼はそれを完全に理解している。

  • 得点力

    Alexander Isak Liverpool 2026-27 goal Forest
    Getty

    スウェーデン代表の同選手は、ようやくリヴァプールでもニューカッスル時代のパフォーマンスを見せ始めている

    次節のイプスウィッチ戦、イサクは2ゴールを挙げてリヴァプールに今季初勝利をもたらす。その後もボーンマス、ブレントフォード、ブライトンと勝利した試合では必ず彼がネットを揺らしている。昨季はプレミアリーグ14試合でわずか3得点に終わったが、今季は7試合で6ゴールだ。今季から指揮を執るアンドニ・イラオラ監督は、先週末にこう語っている。

    「適切な位置でボールを受けられるようにして、クロスや良い形でのチャンスを作れれば、必ず得点を決めてくれるストライカーだ」

    「だが、それ以外のことも重要だよ。我々が良いプレーをするために、彼にはほかのことも要求する。良いプレーができれば、良い位置でプレーできるし、彼の得点も生まれるだろう。だからこそ、彼はチーム全体に貢献しなければならないんだ」

    確かに、イサクはイラオラが要求するものすべてをもっているわけではない。前線からの守備や運動量はルイス・クーマスに劣るし、コーディ・ガクポが「今度は自分にもアシストを返してよ」と冗談を飛ばしたように周りを使うプレーも得意ではない(その点は長期離脱中のウーゴ・エキティケに敵わないだろう)。また、試合中に度々姿を消してしまうことも問題だ。

    それでも、彼にはどの指揮官も起用したくなる得点力がある。ニューカッスル時代に見せた圧倒的なプレーを取り戻しつつあるのだ。

  • 「違いを生み出せる本物のクオリティ」

    미켈 아르테타 (Mikel Arteta)
    Getty Images

    そんな復活しつつあるエースを、アルテタはノースロンドンから指をくわえて見ているかもしれない。

    アーセナルは昨夏、より安価で獲得が可能だったFWヴィクトル・ギェケレシュをチームに加えた。イサクの同胞は2024-25シーズンに公式戦52試合で54ゴールと驚異的な得点力を発揮。大きな期待を背負ってエミレーツ・スタジアムに加入した。しかし、プレミアリーグ初年度は36試合で14ゴールを挙げたものの、そのうち3ゴールがPKによるもの。さらに、シーズン終盤のマンチェスター・シティ戦やチャンピオンズリーグ決勝戦など、重要な試合ではほとんどベンチに座っている。得点力溢れる真のストライカーを期待していたアルテタ監督の信頼は掴めていない。

    それは今季の起用法からも明らかだ。ここまでリーグ戦の先発はたった1試合。リーグカップ4回戦でようやく今季初ゴールを奪ったものの(相手は4部フリートウッドだ)、明らかに窮屈そうに、周りとの理解を深められないまま、難しい時期が続いている。

    そしてアルテタ監督は、ギェケレシュよりもカイ・ハヴァーツを優先的に起用し続けている。このドイツ代表MFは、中盤以降の攻撃的ポジションならほぼすべてでプレー可能。高い戦術理解度と長身を活かして、柔軟にポジションを変えていくアーセナルのシステムにおいて重要な存在だ。だがしかし、やはりゴールという部分では物足りない。昨季の得点数は「7」。今季もまだ3ゴールだ。プレミアリーグ連覇、そしてチャンピオンズリーグ初制覇を狙うクラブのストライカーとしては、物足りないと言わざるを得ない。

    だからこそアルテタ監督は今夏、ヴィニシウス・ジュニオールを欲しがった。昨季の決勝戦でパリ・サンジェルマンの圧倒的な攻撃力を見せつけられた指揮官は、悲願のビッグイヤー獲得のために、チームの攻撃を1人で変えてしまう圧倒的なスター選手が必要だと考えたのだ。結局実現はしなかった(その後フリアン・アルバレスも逃している)が、彼が今の攻撃陣に満足していないのは明らかだ。彼の“師匠”であるジョゼップ・グアルディオラがマンチェスター・シティにハーランドを欲しがったように、アルテタ監督もまた、今こそ「違いを生み出せる本物のクオリティ」を必要としている。

    確かにこの1年間で好不調の波があったイサクが、ハーランドのように毎試合1ゴール以上決めてくれるわけではないだろう。それでも、彼は少ないチャンス、少ないボールタッチで試合を決められる存在だ。それは今のアーセナルに最も欠けている部分である。

    アルテタ監督は1日のアンフィールドでの一戦を前に、それを改めて思い知らされるのだけは避けたいと考えているだろう。