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Erling Haaland Cristiano Ronaldo GFX HIC 1-1GOAL

なぜハーランドは“世界で最も価値のあるサッカー選手”になれたのか?「CR7」を抜いた「時の人」のSNS戦略

Krishan Davis
翻訳者:
  • アーリング・ハーランドの躍進が止まらない。それはピッチ上に限った話ではない。このマンチェスター・シティのストライカーは、初めて“世界で最も価値のあるサッカー選手”に輝いたのだ。

    スポーツビジネスメディア企業『SportsPro』は毎年、「世界で最も商業的影響力の高いアスリート50人」を発表している。順位は100点満点の評価に基づき、ブランド価値(45点)、勢い(40点)、商業的な成長見通し(15点)の3項目で決定。つまり、選手が築いてきたブランド価値、現在の勢い、そして今後の成長余地を評価することになる。今年度は、2025年7月1日から2026年6月30日までの1年間に収集されたデータを基に、70の競技から1202選手が対象に。首位に立ったのは、女子テニスのアリーナ・サバレンカ。2位には中国のスキー選手アイリーン・グー、3位にNBAのヤニス・アデトクンボが続いている。

    そして4位に入ったのが、アーリング・ハーランドだ。2026年のトップ10に入ったサッカー選手は、ハーランドただ1人。これまでこのランキングで常連だったクリスティアーノ・ロナウドは、昨年の5位から14位に転落。このノルウェー代表ストライカーは、“CR7”を上回り、この1年で商業的価値を大幅に伸ばしている。

  • SNSで大バズリ

    Erling Haaland haircut
    Erling Haaland YouTube

    その理由の1つは、ハーランドが急速に世界的な知名度を獲得していること。特に2025年10月に開設したYouTubeチャンネルの成功は注目すべきだ。すでに登録者数は460万人に達し、動画の総再生回数は2億5000万回に迫っている。『SportsPro』のコマーシャルコンテンツ責任者、マイケル・ロング氏は『GOAL』にこう語っている。

    「スポーツコンテンツを見る場として、YouTubeの重要性は全般的に増している。特に、自身のメディアでの存在感を高め、自分についてどう伝えるかを自ら決めたいアスリートにとって重要なことだ」

    「ハーランドは、個人チャンネルを通じて自分の言葉で発信し、ファンと直接つながることができる。日常を追った動画も安定して質が高く、多くの視聴と反応を集めている状況だ」

    特に話題を呼んだのは今季開幕前夜、自身のトレードマークでもあったバイキング風の髪を刈り上げる動画を公開したこと。7分間のVlogは現在までに約1000万回再生されている。また、インスタグラムやTikTokなどのSNSを使った予告動画も大きな影響を及ぼした。

    そしてこの動画に出演する顔ぶれからも、ハーランドの影響力は感じられる。ノエル・ギャラガー、ズラタン・イブラヒモヴィッチ、ジャック・グリーリッシュ、ペップ・グアルディオラ……次々に世界的なスーパースターが登場するのだ。また別の動画では、大人気YoutuberのKSIやSidemenともコラボレーション。SNSで人気のビッグネームとも交流しているのだ。

    そんなハーランドは先週、2026年の「Instagram Rings」を受賞した。これは同プラットフォーム上で創造性を発揮し、影響を与えている人々をたたえる賞だ。「インスタグラム上で、彼はその並外れて大きな存在感をさらに際立たせている。サッカー、ユーモア、そして際立った個性が一体となり、スポーツ界の内外にある他のアカウントとは一線を画している」と評価された。

  • 全米が虜に

    Erling Haaland Norway
    Getty

    そしてこのYoutubeの成功は、今夏に彼がアメリカで大ブレイクするきっかけにもなった。彼のカリスマ性と親しみやすい人柄に、アメリカはすっかり魅了されている。

    もちろん、これはノルウェー代表のワールドカップ躍進があってこそだ。今大会屈指の“ダークホース”は、ノックアウトステージでブラジル代表を破って準々決勝に進出。28年ぶりの大舞台で見事な活躍を見せた。ハーランドはこの大会中、5試合で7得点。ブラジル代表戦では2ゴールも奪った。そして、サポーターと一緒に披露した「バイキング・ロウ」は、サッカー界に一大ムーブメントを引き起こしている。

    さらにハーランドは、アメリカは滞在中のVlogを何本も投稿。ダラスでカウボーイ文化に触れ、ニューヨークでは名物料理を試すなど、アメリカ文化を存分に楽しんでいる。また、お土産として750ドルのアライグマの剥製を持ち帰ったことも世界中で大バズリ。すると、ハーランドを題材としたAI制作の“ネットミーム”が何本も生まれ、この1カ月間で話題を席巻し続けたのだ。

    こうして、ハーランドの知名度は飛躍的に高まった。大会期間中にインスタグラムでは新たに3200万人のフォロワーを獲得。これは他のどの選手よりも多く、ノルウェーの人口の5倍を超える数だった。勢いがストップすることはなく、大会後もさらに数百万人を集めている。そんなハーランドは先日、ノルウェーのメディア『VG』にこう語っている。

    「人生で経験した中で、最も素晴らしい数週間であり、旅だったね。本当に現実とは思えなかったし、今も受け止めるのは難しいよ。少し気が抜けたような感じになるんだ。この40日間をざっと振り返っても、まったく信じられないような日々だったね」

    アメリカの老舗報道機関『ABC』は、ハーランドを「ピッチ内外で世界的なサッカー界のセンセーション」と評し、「独特の人柄によって大会の枠を超えた」と伝えた。さらに『NBC』も、このストライカーを「小さな画面のMVP」と評している。

    「ピッチ外に目を向ければ、今年はハーランドが真に世界的な存在となった年だった。その大きな要因はワールドカップだ。重圧の中で素晴らしいプレーを見せ、トップストライカーとしての地位を確かなものにするとともに、北米という彼にとって比較的新しく、まだ開拓されていない市場でも人々の心をつかんでいる」

  • “時の人”

    Manchester City v Brighton & Hove Albion - Carabao Cup Fourth Round
    Getty Images Sport

    ハーランドが昨季掲げたトロフィーは、国内カップ戦の2つだけ。プレミアリーグやチャンピオンズリーグは逃しており、彼にしては成功した1年ではなかっただろう。それでも、単にゴールを量産しただけでなく、飾らない人柄やネット上での急速な発信力の拡大、私生活の公開など、様々な形でファンを拡大していった。

    そして、彼のアンバサダー契約も非常に高価なものばかりだ。スパイクのサプライヤーである「Nike」との契約は、スパイク契約として史上最高額の1つ。さらにヘッドホンの「Beats by Dre」、高級時計「BREITLING」、ワールドカップのスポンサーの1つであった「Budweiser」とも契約している。マイケル・ロング氏はこう指摘する。

    「ハーランドは世界で最も人気のあるスポーツと、その主要大会の最前線にいる。そのため、年間を通じて自然と高頻度で露出することができる。クラブと代表で記録を塗り替え続けていることももちろんだが、彼独自の個性やユーモアセンス、親しみやすさは、サッカー界の内外で人々の心をつかんでいる」

    「SNSも引き続き効果的に活用している。アカウントを運営する有能なチームの支えもあり、定期的に発信するコンテンツに関しては、アスリートの中でも際立った存在だ。こうしたすべてが、彼の市場価値をさらに高めている」

    「私たちの評価モデルでは、アスリートが築いてきたブランド資産と、直近の勢いを評価する。ハーランドは両方で高い評価を得ている。急速に誰もが知る存在になりつつあり、なおも大きな成長の余地がある。ブランドのマーケティング担当者にとって、非常に魅力的な組み合わせだろう」

  • C・ロナウドは殿堂入り?

    FBL-KSA-NASSR-NEOM
    AFP

    前述の通り、2026年のランキングでトップ10入りしたサッカー選手はアーリング・ハーランドだけだ。レアル・マドリーのスター、キリアン・エンバペとヴィニシウス・ジュニオールはそれぞれ19位と20位。バルセロナの逸材ラミン・ヤマルは23位で、偉大なるリオネル・メッシはさらに下の27位となった。女子選手でトップ50に入ったのは、アーセナルのアレッシア・ルッソ(29位)と、3度目のバロンドールを受賞したアレクシア・プテジャス(47位)だけである。

    一方で、やはり注目はC・ロナウドだ。2025年の5位から4位に順位を落としている。41歳を迎え、輝かしいキャリアもいよいよ終盤に差しかかり、成長余地の部分で難しくなっているのだ。ロング氏は指摘する。

    「サウジアラビアへの移籍を経て、キャリアの晩年に入ったロナウドの市場価値は、低下しつつあると言えるかもしれない。しかし、我々のランキングで順位を落としたのは、必ずしも市場価値の低下が原因ではない。主な理由は、ランキングを決めるために用いた評価モデルが進化したことにある。そのため、前年との単純比較は少し誤解を招く」

    「今年のモデルでは、蓄積されたブランド価値よりも、現在の勢いや商業的な成長の見通しを重視している。つまり、すでに地位を確立したスターや、今後の競技人生が比較的短い年長の選手の多くが、ロナウドを含め、2025年より順位を落としているのだ」

    この将来的な成長余地を考慮すると、C・ロナウドやメッシ、ネイマール(24位)の順位にも説明がつく。

    一方で、26歳のハーランドはまだ選手としての全盛期にさえ達していない。比較的短い期間で自身のYouTubeチャンネルに膨大な数字を生み出したことを考えても、キャリアのあらゆる面で今の勢いを維持できれば、その可能性は計り知れない。ロング氏は語る。

    「ハーランドは商業面で大きな勢いを持つ、台頭中のスターだ。一方のロナウドは、確立された価値を持つ世界的なアイコンであり、個人ブランドは高度に商業化され、幅広いパートナーシップを築いている。だからこそ、今後の成長の余地は比較的小さいと言える」

    しかし、“CR7”が作り上げた自身のイメージ価値は、今でも世界最高レベルだという。そしてロング氏は、それが「史上最高」だと評価している。

    「我々の評価モデルでは、ハーランドがロナウドを上回る。しかし実際のところ、それは『市場価値』をどう定義し、個人の商業的価値を高める上で何を最も重要と考えるかによるのだ。今まさに注目を集めているのはハーランドだが、キャリア全体を考えれば、ロナウドの総合的な市場価値は史上最高と言えるかもしれない」

  • 開かれたレース

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    AFP

    一見すると、エンバペやヤマルらの順位に驚く人もいるだろう。両選手は世界最高峰の選手と広く見なされており、今年のバロンドール投票でも2位と3位に入った。特にまだ19歳のヤマルは、将来バロンドールを複数回受賞するとも期待されている。しかしロング氏は、現在においては競技面の成功だけでは足りないと指摘する。

    「成功を重ね、ピッチ上で優れた個人パフォーマンスを見せ続けることは、間違いなくプラスになる。だが、SNSでの発信を続け、増え続ける視聴者や読者と交流することも必要だ。現在集まっている大きな注目を、規模が大きく、活発に反応する個人のフォロワー層へとつなげられれば、彼のマーケティング価値はさらに高まるだろう。ブランドとの提携やその他の収益化の機会は、その後に続いてくるものだ」

    「少なくとも私たちのモデルで定義するマーケティング価値には、ほかの要素も影響する。彼はすでに、プレーする競技と所属クラブのおかげで、国際的に広く知られ、アプローチできる市場も非常に大きい。公の場で自分をどう見せるか、私たち一般人が彼のSNS上のプロフィールをどう育てるか、どのブランドと提携するか、どのような文化的話題に関わることを選ぶか、スポーツ以外の分野にどこまで進出するか……こうした要素すべてが、今後の彼のマーケティング価値と、私たちのランキングでの順位に影響する」

    一方でロング氏は、レアル・マドリーの2大スターも将来的にハーランドに対抗する選手になると予想している。

    「エンバペは2018年以降、毎年ランキングに入り、4度トップ10に入っている。ヴィニシウスは2度ランクインし、2024年には2位だった。世界中の全アスリートの中でトップ20に入るということは、今年評価した何百人ものアスリートと比較しても、両選手が依然として非常に高いマーケティング価値を持つことを示している」

    2026年度の“世界で最も価値のあるサッカー選手”は、アーリング・ハーランドが輝いた。しかし、来年度に彼に追いつきそうな選手は多い。エンバペ、ヤマル、ヴィニシウスらは、その地位を淡々と狙っているだろう(それだけにエンバペの中国問題は行方を注意深く見守るべきだ)。

    メッシ&ロナウド時代が終焉に入り、開かれたレースは競技面だけではない。ピッチ内外での競争は熾烈を極めている。