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Trent & Elliott's struggles.jpgGetty/GOAL

リヴァプールを飛び出した2人の“誤算”:トレント&エリオット、スペインで見失った自らの居場所

Mark Doyle
翻訳者:
  • トレント・アレクサンダー=アーノルドとハーヴェイ・エリオットが最後に同じピッチに立ったのは、昨年5月25日のリヴァプール対クリスタル・パレス戦(1-1)。終了間際の数分間だった。この費は、幼い頃からリヴァプールのファンだった2人にとって、様々な感情が入り交じる一日だった。

    アレクサンダー=アーノルドはすでに、フリーでリヴァプールを離れるという難しい決断を公表していた。一方、スーパーサブとしてシーズンを過ごしたエリオットも、マージーサイドを去る日が近いことは明らかだったのだ。

    それでも、これ以上ない祝福の中でチームを去ることになった。試合後に歓喜に沸くアンフィールドで行われたのは、クラブ史上2度目のプレミアリーグ制覇を称えるセレモニー。歴史的なタイトルを全力で祝う中で、2人は愛するクラブを去っていった。

    そして土曜日(7日)、2人の新天地であるバレンシアとレアル・マドリーが激突する。メスタージャでのこの一戦で再会する両選手は、あの日の喜びについて再び語り合うかもしれない。

    しかし、それがピッチ上で行われる可能性は極めて低いと言わざるを得ない。どちらも、スペインでの日々はまったく計画通りに進んでいないのだ……。

  • ファーストインプレッション

    Real Madrid Unveil New Signing Trent Alexander-Arnold
    Getty Images Sport

    この2人の内、より大きな注目を集めていたのは当然アレクサンダー=アーノルドだ。地元のクラブであるリヴァプールで獲得できるタイトルをほぼすべて手にし、その過程で世界最高レベルの右サイドバックと言える存在にまで成長していた。

    それでも、本人は満足していなかった。フィルジル・ファン・ダイクの後にキャプテンを任されることが確実だったことすらも、彼の考えを変えてアンフィールドにとどまる材料とはならなかった。彼はサッカー界における右サイドバックの役割を再定義したかったのだ。輝かしい歴史にまみれたサンティアゴ・ベルナベウで、自らの最大の武器を発揮して新たな歴史を作りたかったのだ。

    レアル・マドリー側も、そんな彼に大きな期待を寄せていた。契約満了まで残りわずか1カ月だったにもかかわらず、クラブ・ワールドカップで起用するためだけに830万ポンドを支払った事実がそれを物語る。

    さらに、彼のファーストインプレッションは非常に興味深いものだった。マドリー選手として初めてお披露目された記者会見で、流暢なスペイン語を披露している。第1印象はこれ以上ないほど素晴らしかっただろう。同郷の親友でもあるジュード・ベリンガムが今なお言語に苦労している一方で、アレクサンダー=アーノルドはすぐさまスペインの環境に適応できると期待されていたのだ。

  • 同情と真理

    FBL-EUR-C1-REAL MADRID-PRESSER
    AFP

    アレクサンダー=アーノルドはお披露目記者会見で、「(自分のプレーを)見せ、多くのタイトルを獲得し、チャンピオンになる」のが「待ちきれない」と語った。しかし残念なことに、その目標はまだ1つも実現していない。

    もちろん、酌むべき事情はある。スペインでの最初のシーズンは度重なる負傷により、勢いに乗ることができなかった。監督交代も助けにはならなかった。1月にシャビ・アロンソが解任され、後任に就いたのはアルバロ・アルベロア。クラブは混乱したままシーズンを終えている。ようやくチームが安定し始めたのは、今季ジョゼ・モウリーニョが就任してしばらく経ってからである。

    だが、問題はそこにある。“スペシャル・ワン”の就任は、少なくともマドリーにとってはプラスになっているが、アレクサンダー=アーノルドにとってはマイナスにしかなっていない。

    史上最高の右サイドバックであることを証明しようとマドリーに移籍したものの、モウリーニョの下では右サイドバックの2番手にすら入っていない。序列ではデンゼル・ダンフリース、さらに屈辱的なことに本職中盤であるフェデリコ・バルベルデにも後れを取っている現状だ。モウリーニョは彼が厳しい状況に置かれていることに同情を示している。だが、それは窮状から抜け出す手助けをするという意味ではない。記者会見でこう語っている。

    「私もつらい。選手に嫌な思いをさせるのは好きではないし、気分良くいてほしい。各ポジションに2人ずつ選手がいるチームを作りながら、結局3人目の選手(バルベルデ)を起用する。それは私にとって好ましいことではない……」

    「だが、そうした感情よりも重要なこと、その時々でチームにとってより大切なことがある。中盤を変え、フェデをそのポジションで起用する必要があると感じた。個々の選手ではなく、チームのために下した決断だ」

    アレクサンダー=アーノルドは、先週末のラシン・サンタンデール戦(3-0)でフル出場している。しかし、今季ラ・リーガでの先発はこれがわずか4度目。カンプ・ノウでバルセロナに勝利したクラシコでは、出場時間はわずか1分だった。そしてミッドウィーク開催のチャンピオンズリーグでは、3試合連続で出場なし。チームがリーグフェーズ4連勝と波に乗る中で、完全にその波に乗り遅れている。

    このバレンシアとの一戦も、再び出番があるかはわからない。モウリーニョは主力組のコンディションをうまく調整しながら戦っているが、同節に首位バルセロナと2位アトレティコ・マドリーの直接対決があることを考慮すると、メンバーに入る保証はないのだ。

  • “気の毒”

    Aston Villa FC v FC Salzburg - UEFA Europa League 2025/26 League Phase MD8
    Getty Images Sport

    一方でエリオットも、近年は残念な状況が続いてしまっている。

    昨夏にリヴァプールから完全移籍前提に見えたレンタルでアストン・ヴィラに加入した時、全関係者にとって有益な取引に思われた。しかし、結果はその逆だ。とりわけエリオット本人にとってはそうだろう。前SD(スポーツダイレクター)モンチが獲得したこの選手をウナイ・エメリ監督は評価していない。

    エメリ監督は彼の努力やプロ意識を非難することはなかったが、クラブとして3500万ポンドの価値があるとは考えなかった。ヴィラでプレミアリーグ10試合に出場すると買い取り義務が発動するという特殊な条項を考慮し、わずか4試合でしか起用しなかったのだ。

    これはまったくの茶番であり、ヴィラ側の対応も呆れるものである。エメリ監督も「彼が気の毒だ」と認めている。だがその“気の毒”のせいで、エリオットはU-21 EUROを制して迎えた1シーズンを完全に棒に振ってしまった。

    だからこそ、今夏の決断はエリオットにとってより重要だった。フラムで当時のプレミアリーグ史上最年少出場記録を更新してから7年、23歳となった彼はもう「若手有望株」ではない。「1人前の選手」として安定した出場機会を掴む必要があった。しかし、またも決断を間違えてしまったと言わざるを得ない状況だ。

    移籍期限最終日にバレンシアへ加入して以来、エリオットはラ・リーガの6試合に出場したが、先発は一度もない。さらに状況が悪化したのは、10月21日のビジャレアル戦。途中出場してからわずか19分後に退場処分を受けた。それも立て続けの異議による警告での退場だ。バレンシアは1-2で敗戦。前月に就任したばかりのハビエル・アギーレが激怒するのも無理はない。

    「審判に何と言ったのか分からない。彼はスペイン語をほとんど話せないのだからね。だから発言を理由に退場になったことには腹が立つ。不条理でばかげた退場処分だ。本人にもそう伝えたよ」

    この退場によって、エリオットは先週末のエルチェ戦で出場停止となった。そして、19位に沈んでいるチームは9月中旬以来の勝利を挙げた。こうした状況を考えれば、重要なマドリー戦で出番があると考えるのは難しい。

    なおエリオットに関しては、移籍時からフィジカルコンディションに問題を抱えていたことも報じられている。新たな挑戦に準備が出来ていなかったのかもしれない。未だゴールもアシストもないことがそれを裏付けてしまっている。すでに冬の移籍市場でレンタル打ち切りの可能性も伝えられている状況だ。特に彼を獲得したロン・ガーリーSDが、前監督と同じ日に解任されたこともその噂に拍車をかけている。

  • 再会の舞台は…

    そしてエリオットと同じく、アレクサンダー=アーノルドもマドリー退団の噂が流れ始めた。注目すべきなのは、2027年のリヴァプール復帰説だ。本人はマドリーでポジションを争う意向であるようだが、すでに28歳であること、そしてイングランド代表での立場を考えると、この年齢でマドリーの右サイドバック3番手を務めている余裕はないはずである。アンフィールドのサポーターの感情まではコントロールできないが、リヴァプールとしても現状ロナルド・アラウホ1人しかいないポジションに、プレミアリーグで実績のある選手を獲得できるのは悪くない補強であると言えそうだ。

    愛するリヴァプールから飛び出していき、共にスペインの地で苦しみ続けるアレクサンダー=アーノルドとエリオット。そんな2人が同じピッチに立つとすれば、それは土曜日のメスタージャではなく、アンフィールドが他のどの場所よりも可能性が高いのかもしれない。