等々力のスタジアムが川崎Fの背番号11を大歓声で迎え入れた。
FW小林悠は先月23日に2027年1月1日限りでの現役引退を発表していたなか、トップチームの試合では昨年10月18日の清水エスパルス戦以来約1年ぶりに、等々力で行われたホームゲームに出場した。
「ただチームが勝つためにプレーしたいと思った。自分のこともありますが、こういう1点差の緊迫した状況でチームが勝つために何ができるかを考えて、やりました」
2-1でリードしていた82分にセンターフォワード投入されると、前線からプレッシングをかけ続けた。もちろん「ワンチャスあれば(得点を)狙っていこう」としていたが、チームの勝利が第一。アディショナルタイムには右サイド深くでボールを受けると、仲間と細かくパスをつなぎながら時計の針を進めた。
試合はそのまま2-1で終了し、川崎Fは公式戦3連勝を飾った。小林はゴールこそ奪えなかったが、変わらぬ献身性でチームの勝利に貢献。「すごくいい雰囲気で、サポーターが勝たせてくれた」と感謝するとともに、「試合の本数も増えてきて試合勘も良くなってきた。すごく楽しくやれている」と、前節セレッソ大阪戦に続く出番に手ごたえ口にした。
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そして、この日の神戸のベンチには2013年から2019年まで川崎Fに在籍したGK新井章太の姿があった。試合後には言葉も交わしたという小林は「エネルギッシュで会うと元気をもらえるし、会いたい人でした」と笑顔を見せた。前節のC大阪戦では、同じく元川崎FのDF登里享平とも旧交を温めるなど、うれしい再会が続いている。
ただ、一方の新井は「悠が引退するのは気持ち的にキツい」と浮かない顔だ。チームメイトやファン・サポーターだけでなく対戦相手も、背番号11がピッチ上で走る姿を噛みしめている。そしてもちろん小林自身にとっても1分1秒が、かけがえのない時間だ。
「引退を発表してから会うと、より彼らが貴重な感じというか…。自分は本当にアイツらがいたからここまでやれていたんだなというか、優勝したときとか、いろいろなことが思い出されます。これからも頑張ってほしいですし、章太くんとはオフに入ったら酒を飲もうねって話していました」と、ストライカーは感慨深げだった。
引退まで、残り約2カ月間。Jリーグが背番号11の勇姿を目に焼き付けている。
取材・文=浅野凜太郎



