A代表初招集となったMF松木玖生(サウサンプトン/イングランド2部)はアピールに燃えていた。
まずは「自分を知ってもらえたら」。ウォーミングアップのロンドではMF久保建英やMF鎌田大地ら今夏のFIFAワールドカップ2026を経験した常連組のグループにあえて飛び込み、「いい吸収ができれば」と積極的にコミュニケーションを取った。
名門の青森山田高で1年時から3年連続で全国高校サッカー選手権に出場していた。当時から見せていた物怖じしない姿勢は、この日も健在だった。
「ピッチに入ったら年齢どうこうではない。まずはこの4試合で全部勝てるようにやっていきたい」
育成年代のときから発揮していた人一倍のメンタリティが今回のA代表にもつながった。2024年の夏にFC東京からサウサンプトンに移籍するも出場機会に恵まれず、トルコのギョズテペにローン移籍。2025年にサウサンプトン復帰を果たしたが、なかなかチャンスをもらえなかった。
今夏のW杯も落選し、「応援していましたが、率直に悔しい想いがありました」と打ち明けたなか、今季はすでにリーグ戦8試合に出場して1得点1アシストを記録。「本当にいろいろな経験をした。サウサンプトンで出られない時期もあったけど、それがエネルギーだったし、それで今の自分がある。すごく難しい2年でしたが、それが生きている。けっこうつらい時期でしたが、練習中に手を抜くことはなかった」と振り返った。
「自分のほかに2人くらいメンバー外の選手がいたんですけど、その選手たちとコミュニケーションを取って、『ここで落ちたら、俺たちは何もできない』みたいな雰囲気でいた。実際にその選手も今のサウサンプトンで試合に出ている。そういうメンタリティがあった」
「チームメイトのみんなにも練習ですごくいいのに、なんで試合に使われていないんだと言われていました。自分も練習で一番いいのに、なんで使ってもらえないんだと前の監督にも言っていたので、そういったことも支えになった」
日本では主に中盤の選手としてプレーしていたなか、トルコではFWも経験。また今季はサウサンプトンで右ウィングを主戦場にプレーしており、この日のトレーニングでは右サイドバックを任される場面もあった。
「自分のなかではちゃんとステップを踏めてきたという思いがある。こうやって選ばれたのもいろいろなポジションをやって、いろいろな経験を培ってきたからだと思うし、森保(一)さんもそこを評価してくれていると思う。感覚的には『やっとだな』というのはもちろんありますが、自分のなかではちゃんとステップを踏めたと思う」
「自分は地道に地に足を着けてやっていくタイプ」とうなずく23歳が、日本代表としての一歩目を踏み出した。
取材・文=浅野凜太郎



