今夏に北中米で開催されるFIFAワールドカップ2026に臨む日本代表は28日に、千葉県千葉市内の高円宮記念JFA夢フィールドでトレーニングを実施した。
この日より全体練習に加わったDF冨安健洋(アヤックス)は「いい感じです」と自身の状態に言及。2024年6月以来で約2年ぶりとなる日本代表の場で笑顔を見せた。
「トレーニングに入る前まではちょっとソワソワしてたというか、変わっている部分もありましたし…。でも練習に入っちゃえば、しっかりと集中してみんなと楽しくサッカーができた」
近年、度重なるケガに悩まされてきた冨安は、昨年夏にプレミアリーグの名門アーセナルを退団し、長いリハビリを余儀なくされた。日本代表への復帰についても「正直、そんなに意識していなかったというか、そこまで余裕がなかった。まずは、そもそもサッカーをしていなかったら論外ですし、自分のやることに集中していた」という状況だった。
それでも昨年12月のアヤックス移籍後は徐々にプレータイムを伸ばしていった。今年3月のイングランド遠征は負傷によって無念の辞退となったが、森保一監督の信頼は揺るがず。悲願のW杯メンバー入りを果たした。
「まず、長い道のりだったなと思うところは間違いなくあって、このワールドカップのメンバーに入るまでにいろいろなことがあったといい意味で忘れないようにしたい。ここにいるのは、当たり前じゃないという意識を持って、毎日過ごしたいです」
今月15日の記者会見では森保監督が「練習試合では90分やっている」と伝えていたなか、アヤックスでの直近の試合は途中出場で25分間のプレーにとどまった。冨安の状態に注目が集まるなか、この日は約1時間半のトレーニングを全メニュー消化。ミニゲームでは体を張った守備を披露し、コンディションの良さをうかがわせた。
「こういう状況のなかでも選んでもらったことに責任を感じていますし、しっかりとピッチ上で恩返しができればいい思います」
2大会連続のW杯となる冨安は、ケガなどによって出場時間の限られた前回大会を振り返るつつ、今大会は「終わった後に、『楽しかったな』と思える大会にしたい」と語った。
「(前回は)正直、終わったときに『楽しかったな』と思わなかった。気を使いすぎていたというか、没頭し切れなかった。だから今回は、ちゃんと言いたいことを言って、特に何も考えず無の状態でいられるような大会にしたい」
“楽しかった”と思える大会にするためにも、冨安に求められるタスクは大きい。センターバックの先輩DF吉田麻也が「彼の能力はみなさんもご存じの通り」と笑みを浮かべたように、最終ラインからチームを支えたい。
冨安は「ワールドカップで勝つという意味での戦い方があると思う。そういったところはチーム全体で共有しながら、試合のなかの一個のプレーにおける判断の質も高めていく必要がある。チームでの共通認識も必要だと思うので、チーム内で共有できればいいと思います」
紆余曲折を経て、日本代表に帰って来た。冨安はこれまでの長い道のりを「後から振り返ったときに、あの期間が役に立ったなと思えればいい」と意味のあるものにしていく。
「だから、ここからだと思います」と再び日の丸を背負って歩き始めた。
取材・文=浅野凜太郎
