2018-04-07-cerezo-Kakitani_Yoichiro(C) J.LEAGUE

疲労困憊と不安定な戦いぶり。セレッソ大阪に今こそ問われる総合力

4月17日のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)1次リーグ最終戦・広州恒大戦を1-3で落とし、ラウンド16進出の道を断たれて以来、セレッソ大阪は不安定な戦いを余儀なくされている。それまでは公式戦5連勝と波に乗っていたが、ACLショックが大きかったのか、21日のガンバ大阪とのダービーマッチを0-1で落としてしまう。25日のベガルタ仙台戦は2カ月ぶりに先発復帰した清武弘嗣の2発で2-1と勝利したものの、28日のジュビロ磐田戦は1-1のドロー。11試合終了時点で勝ち点19の5位と足踏み状態が続いている。

磐田戦のセレッソはなかなか攻撃をうまく組み立てることができず、前半シュートゼロという不本意な展開を強いられた。しかも、相手エースFW川又堅碁にゴール前へ飛び込まれ、先制点を食らってしまった。後半に入って杉本健勇がペナルティエリア内でファウルを誘い、PKをゲット。それを彼自身が沈めて、1-1に追いついたものの、追加点を奪うだけのパワーと迫力を示すことができなかった。

4月は公式戦8試合という超過密日程で、磐田戦はそのラスト。疲労困憊の様子が色濃く感じられるのも頷ける。実際、この試合のチーム走行距離は109.524㎞で、磐田の114.254㎞より少なかった。今季J1の走行距離の平均値は115.440㎞で、横浜F・マリノスやV・ファーレン長崎などはそれを大きく超えているが、セレッソは115・493㎞と平均をわずかに下回っている。最近の彼らから昨季のような躍動感やフレッシュさがあまり見られないのも、こうした数字と無関係ではないだろう。

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そもそも今年のセレッソは、元日に天皇杯決勝を戦い、わずか10日程度のオフを取っただけで始動。タイ・宮崎キャンプを経て、2月10日に最初の公式戦・富士ゼロックススーパーカップに挑んでいる。その後はACLとJ1を立て続けに消化しなければならず、尹晶煥監督も遠征負担の大きいタイのブリーラムや中国・広州には柿谷曜一朗や山口蛍、杉本ら主力を派遣しない決断を下した。昨季もJ1組とルヴァン組を分けて戦い、結果を出したことから同じ手法を採ったのだろうが、今季に関しては機能したとは言い切れないところがあった。

結果的にACLを早々と敗退し、J1に専念する形となったが、ソウザや木本恭生、オスマルといったケガ人が続出していることもあって、なかなかスッキリとした戦いができていない。ようやくケガから戻った清武や最近好調の福満隆貴、今季移籍組の高木俊幸、田中亜土夢、片山瑛一らには、何とか再浮上の火付け役になってほしいところ。こういう苦しい時期こそ、チームの総合力や選手層が問われるのだ。

守備の修正も早急に求められる重要テーマ。今季のセレッソはJ1・11試合ですでに13失点と守りの安定感を欠いている。首位・サンフレッチェ広島が5、3位・川崎フロンターレが7と1ケタ失点のチームが上位を占めているのを考えると、彼らの数字はやはり多すぎる。昨年1年間フル稼働したマテイ・ヨニッチがやや調子を落としているうえ、木本の負傷で山下達也や藤本康太がセンターバックコンビを組むことも多く、微妙なズレが生じているのも事実だ。

4月の8試合を見ても、相手を零封したのは14日のFC東京戦だけ。しかも直近の3試合は全て相手に先手を取られる形だ。いい時のセレッソはリードした状況でDFを1人増やして5バックで守りを固め、逃げ切る形を多く作れていた。そういう展開に持ち込めるように、まず失点を極力ゼロに抑えるところから始めたい。

攻撃陣も杉本と柿谷の両エースが目下3ゴールと数字が伸びていない。得点ランキングトップの9得点を決めているディエゴ・オリヴェイラ擁するFC東京、6得点を挙げているパトリック擁する広島に水を開けられているのも、攻めをけん引する傑出した得点源がいないことが大きいのかもしれない。

それをカバーすべく山口が積極的にミドルシュートを打ちに行ったり、サイドアタッカーの水沼宏太や福満、高木といった面々がフィニッシュに持ち込もうという意識を押し出しているが、思うように結果に結びついていない。やはり点を取るべき選手が取ってこそ、チームは優勝争いを演じられる。昨季のセレッソはシーズン22得点の杉本がいたから躍進できた。その杉本がマークされることは想定内。だからこそ、他のアタッカー陣が結果を出さなければならない。ヤン・ドンヒョンや柿谷はもちろんのこと、昨季8ゴールを挙げた山村和也らにもさらなる奮起を求めたい。

それでも、首位・広島とは勝ち点9差まで広がっているが、2位・FC東京とは3差、3位・川崎とは2差と、セレッソはまだまだタイトルを狙える位置をキープできている。シーズンはまだ3分の1を消化したばかり。本当の戦いはこれからだ。2018年ロシアワールドカップの中断期間まであと3試合。まずはこの連休中に対戦する名古屋グランパス、Vファーレン長崎といった下位から確実に白星を挙げること。それが今の彼らに課せられた重要命題と言っていい。

文=元川悦子

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