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注意すべきは序盤の失点。サウジのスピードを封じ、原口、南野らアタッカー陣はサイドと裏を突けるか

■失敗は許されない一発勝負

8年ぶり5度目のアジア制覇を目指す日本代表。メンバーを代えながら、グループステージ3戦全勝で決勝トーナメント進出を決めた。21日のラウンド16・サウジアラビア戦以降は負けたら終わりの一発勝負となる。

昨年9月に発足し、チーム作りの第一段階にいる森保一監督率いる新生ジャパンにとって、このアジアカップを4試合で終えるのと、最大7試合を戦うのでは、今後が大きく変わってくる。この関門を突破して、チームの経験値と成熟度を高めていきたい。

■先発メンバーはオマーン戦ベースの見込み

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▲サウジアラビア戦予想フォーメーション

以下に続く

試合会場のシャルジャ・フットボール・スタジアムで行われた前日調整では、右でん部負傷の大迫勇也(ブレーメン)が全体練習に復帰した。指揮官は「状態は上がってきている。今日の練習後にどういう状態かリバウンドを含めてメディカルと相談していきたい」と強行出場の可能性を示唆した。とはいえ、先発はあまりにもリスクが高い。1トップは17日のウズベキスタン戦で3年3カ月ぶりの代表ゴールを決めた武藤嘉紀(ニューカッスル)が入ると見られる。

それ以外は13日のオマーン戦のスタートメンバーが軸になる可能性が高い。守備陣はGK権田修一(サガン鳥栖)、DFは右から酒井宏樹(マルセイユ)、冨安健洋(シント=トロイデン)、吉田麻也(サウサンプトン)、長友佑都(ガラタサライ)の構成が有力だ。

長友が「スピードモンスター」と称した相手1トップのファハド・アルムワラド(アル・イテハド)の爆発力を封じようと思うなら、吉田と冨安ではやはり多少の不安も伴う。冨安のところに経験豊富な槙野智章(浦和レッズ)を起用することも考えられる。だが、槙野はスピード対応には長けているが、17日のウズベキスタン戦で背後を突かれて1点を失ったばかり。これら長短を勘案しながら、森保監督は最終的は決断を下すだろう。

ボランチは柴崎岳(ヘタフェ)と遠藤航(シントトロイデン)のコンビが濃厚だ。ウズベキスタン戦でスーパーゴールを決めた塩谷司(アルアイン)も使いたいが、彼らとの実戦経験は皆無。青山敏弘(サンフレッチェ広島)が右ひざ負傷で別メニューを強いられている状況だけに、今回はどの穴も埋められる万能型バックアッパーとして控えてもらった方がベターだ。

攻撃陣は2列目右に堂安律(フローニンゲン)、左に原口元気(ハノーファー)、トップ下に南野拓実(ザルツブルク)、1トップに武藤というユニットが濃厚。「(17日の)カタール戦の失点を見たが、サウジのDFは少し問題を抱えていると思う。そこを突いていくことだけは続けていかないといけない」と、2試合連続ゴールを狙う武藤は目をぎらつかせていた。

森保体制発足5試合で4得点を叩き出しながら、今大会突入後はノーゴールにとどまっている南野も「個人としての結果というところではまだまだチームに貢献できていない。ゴールかアシストで貢献したい気持ちがある。そこはこだわっていければいい」と強い気持ちを語っている。彼らタテのラインが機能し、堂安と原口がサイドを有効に使った攻めを繰り出せれば、必ず決定機は作れる。それを仕留めるか否かが、勝負の分かれ目になる。

■過去から続いてきた悪癖

日本のメンバーには、2018年ロシア・ワールドカップ組が7、8人、過去のアジアカップを知る者も5人いる。その経験から彼らはどんな戦いをすべきかよく分かっているはだず。

まずは不用意な失点をしないこと。というのも、日本は初のアジア王者に輝いた1992年広島大会以降、同大会の決勝トーナメント1回戦に相当する全試合で先制を許している。07年東南アジア4カ国共催大会の準々決勝・オーストラリア戦での失点は後半だったが、それ以外は前半20分以内の失点。つまり毎回のように「ふわっとした入り」をしてしまっているのだ。幸いにして92年と2000年レバノン大会、2004年中国大会、2011年カタール大会と優勝した4試合は逆転勝利に持ち込んでいるが、早い時間帯のビハインドは心身両面の消耗を高めてしまう。今大会でも9日のグループステージ初戦・トルクメニスタン戦と17日の第3節・ウズベキスタン戦で先制を許した。

「今は予選リーグ(グループステージ)のときとは比べ物にならないくらいチームが引き締まっているけど、それでもやられてしまうのがアジアの怖さ」。過去2回のアジアカップに参戦している長友もと警鐘を鳴らす。

■まずは守備、そのうえでカウンター

2019-01-21-Salem Al Dawsari©Getty Images

▲サレム・アルダウサリは左右をこなせるウインガ―だ

対戦するサウジアラビアはFIFAランク69位、昨年のロシア・ワールドカップにも出場した。アルゼンチン出身でスペインでキャリアを過ごしたフアン・アントニオ・ピッツィ監督が17年11月から指揮を執る。

今大会グループステージを2勝1敗で突破し、基本布陣は4-1-4-1。チームはボール保持に長け、最前線のアルムワラドと右ワイドのサレム・アルダウサリ(アル・ヒラル)といった個の能力のある選手もいる。「ワイドの選手が結構中に入ってくるという分析なので、相手が攻撃に人数をかけてきたときにボランチがどう守っていくかが大事」とは遠藤だ。強固な守備組織を構築して、ボール支配を試みる相手をはね返し、焦らせ、自滅させるような展開に持ち込む。それが理想的なシナリオだ。

そのうえで効果的なカウンターを繰り出せばいい。オマーン戦では南野が相手守備陣の裏を突く鋭い抜け出しを再三披露した。堂安も得意のドリブル突破をより積極的に仕掛けてほしい。南野と堂安がゴールに突き進めば、チーム全体に勢いが生まれる。左の原口は、ロシアW杯アジア最終予選で4試合連続ゴールの新記録を作ったが、それが16年11月のサウジ戦だった。そういう意味で“ゲンのいい”相手でもあるため、今大会自身2点目をぜひとも奪いたい。

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さらにもう一つ、重要な得点源につながるのがリスタートだ。サウジは長身選手が少ないため、高さでは日本が明らかに優位。吉田や酒井宏樹、武藤らにはチャンスが広がる。そのためにもキッカーの柴崎、堂安がより精度の高いボールを供給する必要がある。

このステージからは延長・PK戦方式となる。すでにベトナム対ヨルダンがPKまでもつれ込み、ベトナムが接戦を制した。日本はサウジ戦を制すれば、次戦・準々決勝でそのベトナムと対戦するが、準々決勝が中2日の24日だと考えると、ケガ上がりの大迫を使わずに90分でキッチリ勝ち切っておきたい。先発11人、そして交代要員候補の乾貴士(ベティス)や伊東純也(柏レイソル)、塩谷らを含めて、チームの総合力と底力でサウジを叩く――。そんな王者の戦いを期待したい。

文=元川悦子

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