Matthias Ginter Robin HaackGoal

「毎日余計に頑張らずにはいられない」ドイツ代表DFギンターのこだわり。ディー・マンシャフトの変革ぶりも語る/独占インタビュー

現在25歳のマティアス・ギンターは、異論の余地なくブンデスリーガ最高のセンターバックの一人である。同時に、新世代の“ディー・マンシャフト”の代表格の一人としても知られている。ただし彼は、大言壮語を並べたりソーシャルメディアに派手な投稿をしたりすることとは無縁のタイプだ。

ボルシア・メンヒェングラートバッハで守備の要を務めるギンターが、DFB(ドイツサッカー連盟)の現状や代表監督ヨアヒム・レーブの下で自身の果たすべき役割、またチームメイトであるトルガン・アザールのボルシア・ドルトムントへの移籍の可能性について語る。

さらに、「できるだけうまく自分を商品化する」ことに興味がない理由、フライブルクの子供病院を訪ねたことで人生についての考え方が決定的に変わった事情を明かした。

以下に続く

■「自分を商品化することに興味はない」

Matthias Ginter Robin HaackGoal

――マティアス、時々あなたはチームメイトから “努力の虫” と呼ばれているというのは本当ですか?

うん、確かにそう呼ばれたりしているね(笑)。だけど、みんなが僕の変わった癖に慣れてからは、それほど言われなくなったよ。とにかく僕は、毎日他のみんなより少し余計に頑張らずにはいられないんだ。たとえばリカバリーの時なんか、試合の翌日10時にトレーニングが予定されていれば、僕はよく8時にはもう練習場に出て余分な練習をやるんだ。そういうメニューをこなすのが自分の体にとっては良いことに気づいたんだよ。

――その他に、あなたが仲間と比べて違うのはどういうところですか?

いろいろあるね。たとえば持久力トレーニングの時、僕はいつもお化けのマスクをかぶるんだ。マスクをしていると酸素供給が制限されて、呼吸に負荷がかかるんだよ。もしチームメイトに見られたら、きっと笑い者にされるだろうね。

――あなたはピッチの外では社会貢献に参加し、25歳という若さでハンディキャップのある子供たちのための基金を立ち上げましたね。どういう経緯があったのですか?

僕の兄弟が2016年にフライブルクの子供病院に関わりを持って、「病院の子供たちを訪ねることはできるか」って僕に訊いてきたんだ。妻と僕はすぐに引き受けると返事をして、メンヒェングラートバッハのファン・ショップでお土産を用意して子供たちに会いに行ったんだ。病院にいる間、僕たちは心を締めつけられるような気持ちを味わったよ。そして、すぐに気づいたんだ。「こうやってファン・グッズを持って来たりすることの他にも、子供たちのためにやりたいと思うことがあるはずだ」って。そういう時には、人生で本当に重要なものは何かってことに気づかされるんだ。そんなわけで僕と妻は子供たちの力になりたいと思ったから、子供病院や他にも僕の故郷(フライブルク)のいろいろな施設を支援するために基金を創設することに決めたんだよ。

――外から見ていると、一部のフットボーラーは上辺だけの世界で生きているような印象を受けることがあります。様々な発言やソーシャルメディアへの投稿もその一因になっているわけですが、あなたからは違った印象を受けるのはなぜでしょうか?

どんなことをどのくらい語るか、それは誰でも自分で決めることだ。ソーシャルメディアを使わないプロの選手だっているしね。僕自身はその問題についてあんまりうるさい見方はしていないんだ。僕は、ただ自分の気持ちを打ち明けるような投稿をしたいとは思わない。そういうのは“フォロワー数”を増やすのにベストな戦略とは言えないだろうしね。だけど、できるだけうまく自分を商品化して稼ごうというつもりもないよ。

■メンヒェングラートバッハが好調な理由

Gladbach Bundesliga

――フットボールのことを話しましょうか。力強い戦いぶりを見せた前半戦を終えて、あなたのプレーするボルシア・メンヒェングラートバッハは現在3位につけていますね。今シーズンの強さの要因は何ですか?

クラブでは夏にいくつか変化があったんだ。医者や理学療法士を増員した新しい医療チームができて、その関連で新しい療法を採用するようになったんだよ。この切り替えが成果を挙げていることは、僕らの負傷者リストを見れば一目瞭然だ。昨シーズンは12人もの負傷者を抱えていた時期もあったけど、今では目に見えてケガをする選手の数が減っている。試合に関してもシステムの切り替え方が少し変わったよ。今は以前よりずっとフレキシブルな切り替えができるようになっているね。

――成功の理由は他にもありますか?

新しく加入した選手たちがとてもうまくチームに組み入れられて、今のところ歯車がうまく噛み合っている。それにシャルケ、レヴァークーゼン、ホッフェンハイムといったクラブが3つのコンペティションで戦う苦労を抱えているからね。

――後半戦の展望はどうですか?

後半戦全般について何か言うのは難しいね。試合日ごとに、これから戦う相手のことだけに集中したいと思っているから。僕たちは昨シーズンの経験を活かして、いつもヨーロッパの舞台に立つことばかり話題にするのはよそうと思っているんだ。

――ですが、今のところあなたがたはチャンピオンズリーグに席を確保できる位置にいます(4位までが出場圏内)。シーズンが終わった時点でチャンピオンズリーグに出場できないとしたら、さぞかしがっかりするんではないですか?

前半戦のような良いパフォーマンスができていて、それなのに最終的に何の成果もなければ、そりゃがっかりするだろうね。一番大事なのは、試合ごとに結果を出し続けることだ。そうすれば自ずと目標は達成できるものだよ。

――顔にケガをするまではあなた自身も非常に好調で、ブンデスリーガで常に揺るぎないプレ―を見せていました。今はこれまでのキャリアの中で最高のコンディションだと思いますか?

難しい質問だね。僕は自分が今いる場所で最善を尽くそうと思っているし、自分の力でできることに集中しようと思っている。毎日努力して失敗から学ぶことを続けていれば、誰でも必ず成長するものだ。けれど僕はそれで安心してしまわずに、もっと成長できるように努力したいと思っているよ。

■ドイツ代表の変化とは?

Germany

――ドイツ代表のレーブ監督も、あなたがたゆみなく成長を続けていることに目を留めているようです。W杯後の6試合のうち5試合で、あなたはスターティングメンバーに入っていました。W杯の後、ドイツ代表はどんなところが変わりましたか?

代表チームのメンバーの誰一人として、W杯でグループステージ敗退するなんて思っていなかった。あんなことが起こった後では、確かに何か変化があるものだ。新しい選手が加わったり、ベテランの中には以前ほど試合に出られなくなる選手がいたりね。それでも、W杯後にDFBが代表チームの運営や練習や監督に関して基本的な点で変更したところはないね。どんな失敗を犯したのか、僕たちにははっきりわかっている。ロシアW杯については細部にわたって検証され、徹底的に見直されているんだ。今変革が始まっていることは、僕たち選手も感じている。まだすべてが軌道に乗っていないとしても、きっといずれはうまくいくと信じているよ。

――あなたはその変革の “顔” の一人だと考えられていますが、代表チームではどういう状況に置かれていると思いますか?

監督に信頼されて試合に出られるとしたら、それを100% 活かしたいと思っているよ。ピッチの上でできるだけのことをして監督の信頼に応えようと思うし、そこで自分自身をさらに成長させたいとも思うんだ。短い中断はあったものの、僕はもう5年間代表には呼ばれ続けている。それは決して当たり前のことなんかじゃないとよくわかっているんだ。それに関しては、すごくありがたいことだと思っているよ。

――ロシアでの敗退によって一番大きな得をしているのはあなただと思いますか?

そんなことを言うつもりはないね。フットボールはチームでやるスポーツだ。僕らはチームとして失望を味わったし、僕自身もそのチームの一員だったんだ。僕が実際にピッチに立っていたかどうかは関係ない。勝つ時はみんなで勝つんだし、負ける時もみんな一緒に負けるんだ。そういう意味で、自分だけ良い思いをしたとは思わないよ。

――代表チームの歴史の中で、W杯に2度参加しながら1分もピッチに立ったことのない選手はあなただけですね。3度目のW杯でも試合に出られないとしても納得できそうですか?

もし優勝できるなら、答えは「イエス」だね(笑)。

――ですが、きっともやもやするのでは?

何と言っても僕は25歳ですでに2回W杯に参加して、代表チームと一緒に信じられないほどたくさんの素晴らしい瞬間を共有させてもらっている。そういう経験は当たり前に手に入るものなんかじゃないし、無いものねだりをしてはいけないと思う。もちろんフットボーラーなら誰でもピッチに立ちたいとは思うけれど、代表チームのメンバーであるからには自分のエゴは後回しにするべきだ。僕としては、試合に出て準々決勝で敗退するよりベンチを温めて優勝する方がいいね。それが僕の正直な気持ちだよ。

■「ボルシアMGは途轍もないポテンシャルを秘めている」

Thorgan Hazard GladbachGetty

――現在メンヒェングラートバッハには、トルガン・アザールのような中心選手が退団するかもしれないという噂があります。ファンとしては、アザールやアルザーヌ・プレアやあなたのような選手たちがメンヒェングラートバッハをキャリアにおける単なる通過点と見なしているのではないかと、そんな心配をする必要はありそうですか?

僕は、メンヒェングラートバッハが通過点だなんて思っていない。まったくその反対だよ。メンヒェングラートバッハは途轍もないポテンシャルを秘めているクラブだし、素晴らしい環境とファンに恵まれている。ホーム戦は常に満席で、アウェーでも盛大に応援してもらっている。チームの組み立てもうまくいっている。だから全体として見て、メンヒェングラートバッハはとても魅力的なクラブだと思っているよ。今僕たちは素晴らしいフットボールをやれているし、僕はとても居心地がいいと感じているんだ。

――その点、あなたのチームメイトたちはどう思っているようですか?

僕は、チームがずっと今のメンバーのままでいればいいと思っている。アルザーヌやトルガンのような選手たちがいてこそ、何か素晴らしいことが起こるはずなんだ。けれど僕はフットボールに関してロマンチックな考えを持っているわけじゃないし、前もってずっと先まで計画を立てるのが難しいことはわかっている。

――ここ最近はずっとアザールの移籍の可能性がメディアに取り上げられていますが、この話はチームの中ではどんなふうに受けとめられていますか?

もちろん、そのことはチームの中でも時々話題になっているよ。けれどそんな噂があるからといって、それが僕たちの毎日の仕事や、あるいは僕たちのプレーに影響するなんてことはまったくないね。トルガンは、自分がメンヒェングラートバッハで何を手に入れているのかよくわかっている。彼にとって何が一番重要なのかは、彼自身が一番よく知っていると思うよ。

――トルガンはもうあなたからボルシア・ドルトムントについて情報を集めたんですか?

ひょっとしたらまだやっているかもね(笑)。だけど、今までのところまだみんなでBVBの話をしたことはないよ。

――メンヒェングラートバッハでのあなたの契約はまだ2021年まで残っていますが、契約が終われば思い切って国外のクラブへ飛躍を遂げることも考えられますか?

そんな先のことまでは考えてないよ。僕は、自分にやれることをやるだけだ。そうすれば、あとはなるようになるだろう。今は本当に先のことは何も考えていないんだ。そうでないと、メンヒェングラートバッハに対しても正しい態度だとは言えないと思うんだ。大事なのは、僕たちにはまだ大きな目標があって、僕はそれに貢献したいと思ってるってことだよ。

Matthias Ginter Henkrikh Mkhitaryan Borussia Dortmund BVBGetty Images

――あなたのこれまでの経歴を見ると、代表やクラブで何人もの素晴らしい選手たちと一緒にプレーしてきたことがわかりますが、その中で最も印象的だった選手は誰でしょうか?

2015-16シーズンにヘンリク・ムヒタリアンがBVBでやったことは、とにかくすごかったよ。1シーズンにスコアラーポイント(ゴール&アシスト数)50という圧倒的な数字を叩き出して、ずば抜けた活躍を見せたんだ。彼はチームのために非常にたくさんの仕事をして、ゴールをアシストし、自分でもゴールを決め、BVBが力強いシーズンを送るのに大きな力になってくれた。ドイツ代表では、いつもトニ・クロースに感心しているよ。この何年か彼は最高レベルのプレーを見せていて、おまけに羨ましいほど落ち着いているんだ。

――あなたがDFとしてこれまで対戦した中で最も手強かった選手は?

セルヒオ・アグエロだね。あれは2014年のW杯の後のアルゼンチン戦だった。彼はすばしっこくて、どこにでも現れて、つかまえるのがすごく難しかったよ。アグエロはとんでもないFWだよ。

インタビュー・文=ロビン・ハック/Robin Haack

構成=Goal編集部

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