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【岩政大樹の視線】日本の攻撃性能を支えるセンターバック・昌子源

日本代表は、28日のロシア・ワールドカップグループリーグ第3戦・ポーランド戦を落としたものの、フェアプレーポイントの差で16強に進んだ。西野朗監督就任から3つのテストマッチ、そしてグループリーグ3試合を戦ってきたチームは、試合を重ねるごとに結束力を固め、世界レベルの対応力を身につけてきている。

ではなぜそのような試合運びができるのか?選手たちは、試合の中でどう機能しているのか?その役割について、元日本代表で現在は東京ユナイテッドFCの選手兼コーチを務める岩政大樹氏が分析する。

■セネガル戦はまさに「真骨頂」だった

ワールドカップ直前のパラグアイ戦で日本代表が結果を残したことで、当初の構想メンバーから何人かの選手変更が行われました。

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香川真司選手、乾貴士選手、柴崎岳選手、そして昌子源選手です。他の3人に比べると、地味に映るかもしれませんが、このなかで昌子選手の抜擢も、西野朗監督の重要な決断になったと思います。

W杯本戦では第3戦・ポーランド戦こそ出場しませんでしたが、先の2戦で見せた堂々たるプレーぶりがチームに与えた影響は少なくなかったでしょう。

昌子選手の良さは、類稀なる身体能力。そして、負けん気の強さです。これまでも決して順風満帆なサッカー人生を歩んできたわけではありません。いつも何かしらの壁にぶち当たり、それに「なにくそ」と立ち上がってきました。そして、そこを越えると一気に前に進んでいく。このロシア大会は、そんな彼のキャリアを象徴するような大会となっています。

初戦・コロンビア戦のスタメンに並んだメンバーのうち、Jリーグでプレーする選手は昌子選手ただ一人でした。能力の不安よりも慣れの不安のほうが大きかったと思います。初戦の場合は、コロンビアが退場ですぐに10人になったことで、(ラダメル)ファルカオ選手(モナコ)に対しても昌子選手の得意な中盤エリアでの1対1が増え、やりやすかったと思いますが、より彼の真骨頂を見せたのはセネガルとの2戦目でした。

セネガルはキックオフの笛がなると、攻める時はワントップの(エムバイェ)二アン選手(トリノ)が昌子選手と競る形をとり、守る時も昌子選手にボールを持たせてからプレスの的にしようとしているようでした。それに対し、立ち上がりは二アン選手にヘディングで競り負けたり、体を入れ替えられたりして、後手に回る場面が多く見られました。

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しかし、前半の半ばごろには相手との間合いを測ることができた昌子選手は、徐々に強気な対応を見せ始め、ボールを持っても次々に攻撃の起点になっていきました。

前半の終了間際だったと思います。昌子選手が二アン選手と競り合ったあと、言い合うような場面がありました。このような時、センターバックは相手がムキになって仕掛けてきても抑えられる自信がなければ言い合いに応じません。昌子選手が二アン選手に対し、凌駕し始めていると感じました。

後半には、攻勢に出る日本代表を後ろから支え、本田選手の同点ゴールの場面では鋭い縦パスで起点になりました。この試合で日本が攻撃性能を失わずに最後まで戦えた背後には、昌子選手の存在が大きかったと思います。

■決勝トーナメント、ルカクを止められるか?

決勝トーナメントでは、再びスタメンとしてプレーすることが予想されます。1回戦で当たるのはベルギー。エースは世界有数のストライカー、(ロメル)ルカク選手(マンチェスター・ユナイテッド)です。それも体に幅があり、懐の深い、昌子選手の苦手とするタイプだと思います。さらに、能力もさることながら、タイプ的にもJリーグでなかなかお目にかかることのない選手です。

試合開始当初は、セネガル戦同様に難しい対応を迫られるでしょう。その時間を無失点で切り抜けながら、早めに適応し、試合を通して決定的な仕事をさせない。昌子選手にかかる期待は大きくなります。ベルギーは中盤にも豊富なタレントを揃えているので、対応が難しいタイミングでのパスも送り込まれるでしょう。昌子選手にとっては計り知れない経験となることは間違いありません。

昌子源、25歳。センターバックとして、これから脂が乗ってくる年齢です。スタメンで迎えるかも分からなかったこのワールドカップが、サッカー人生の一つのターニングポイントになるでしょう。世代別の日本代表にもそれほど縁のなかった昌子選手にとって、世界が一堂に会するこの大会は新しい世界への入り口になったと思います。

Jリーグでプレーを続けるにせよ、海外に挑戦の場を移すにせよ、これからの昌子選手は、確実に視座が一段上がったはずです。決勝トーナメントでの活躍とともに、この先ロシアの経験を生かしてさらに成長していく姿を期待して見ていきたいと思います。

岩政大樹(いわまさ・だいき)

1982年1月30日生まれ。山口県出身。東京学芸大を経て2004年鹿島アントラーズに加入。不動のセンターバックとして鹿島ではJ1リーグ戦3連覇を達成。10年南アフリカW杯に選出。テロ・サーサナ(タイ)、ファジアーノ岡山、17年より東京ユナイテッドFCで選手兼コーチを務める。

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