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大一番レアル戦へ不安残るアヤックス。カギは「本当のヨハン・クライフアレーナ」と「バルサ入り内定のデ・ヨング」

オランダリーグでプレーした、多くの日本人選手が、アヤックスのホーム、ヨハン・クライフアレーナ(旧称アムステルダム・アレーナ)でプレーしてきた。だが、「本当のヨハン・クライフアレーナ」を知るのは、デ・クラシケルを戦った小野伸二(元フェイエノールト)、そして、アヤックスが2012年の優勝を決める試合に出場した吉田麻也(元VVV)ぐらいだろう。

■本当のヨハン・クライフアレーナ

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以下に続く

選ばれし5万2000人のみが「本当のヨハン・クライフアレーナ」に入ることを許される。彼らは歌い、踊り、叫び、跳ね、文字通りスタジアムが揺れる。しかし、ピッチに注がれているのは10万4000個の目だけではない。フェイエノールトサポーターなど、中には、「負けろ、負けろ」とアムステルダムへ向かって念を送るアンチもいるが、それを掻き消してしまうサッカーファンの思いを背負って戦うから、アヤックスはホームのビッグゲームで本当に強い。

昨年の12月、バイエルン・ミュンヘン戦(3-3)を現地で観戦した堂安律なら、フローニンゲン戦のヨハン・クライフアレーナと、「本当のヨハン・クライフアレーナ」との大きな違い、そして、アヤックスが背負っているものを理解できるはずだ。

CLグループステージを3勝3分けで駆け抜け、オランダリーグでも前半戦の17試合を15勝1分け1敗という好成績(それでもアヤックスは、PSVについで2位)を残し、「過去15年で最高のアヤックス」と呼ばれたチームは今、残念ながら不振に喘いでいる。

年明け初戦となったヘーレンフェーン戦で守備が崩壊して4-4で引き分けると、続くデ・クラシケルのフェイエノールト戦で2-6という歴史的な敗戦をアヤックスは喫した。VVVこそ4-0で下したが、2月9日のヘラクレス戦でも良いところ無く、0-1で完封負けしてしまった。

どんな強いチームでも、長いシーズンのうち一度や二度は苦しむもの。だが、13日のCLラウンド16、対レアル・マドリーを目前に、アヤックスがリバウンド現象を起こしてしまった。この試合に向けて、エリック・テン・ハーフ監督は何かを変えないといけない。

一つ、考えられるのは、ドゥシャン・タディッチを“偽のストライカー”として最前線に置くことだ。アヤックスのオーソドックスな3トップの布陣は、10番タイプのレフティー、ハキム・ジエクを右に、タディッチを左に張らせ、クラース=ヤン・フンテラール(カスパー・ドルベリ)がストライカーを務めるというもの。

だが、テン・ハーフ監督は、バイエルン(ホーム、アウェー)、ベンフィカ(ホーム)といった手強い相手に対してタディッチを敵陣の一番深いところに置き、前線にタメを作ること、チャンスメークをすること、ゴールに直結するプレーをすることを実行させ、満足の行く内容と結果を出していた。レアル・マドリー戦では、これと全く同じでなくとも、似たような戦術を採る可能性は大いに有り得る。

■フレンキーのパフォーマンスがカギ

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オーソドックスなプランA、タディッチを偽のストライカーとして機能させるプランB、はたまた何か他のプランCをテン・ハーフ監督が準備したとしても、フレンキー・デ・ヨングのパフォーマンスがヘラクレス戦のように低いままで終わっては、全ては机上の空論になってしまう。

周知のこととは思うが、デ・ヨングは、マンチェスター・シティ、パリ・サンジェルマンとの獲得競争の末、今年の夏からバルセロナでプレーすることが決まった逸材だ。彼の良さは、軽々とマークを剥がし、チームメートに時間と空間を与え、数歩先を読んだパスを出せること。本来、サッカーは11対11のスポーツだが、デ・ヨングがボールを持ってアクションを起こすと、次々にフリーマンが生まれ、サッカーがまるで12対11、もしくは13対11のスポーツになってしまう。

ヘラクレス戦のデ・ヨングは、プレーした79分間で22回もボールをロストしてしまった。そけい部の痛みに耐えながらのプレーだったとは言え、ヘラクレスの“デ・ヨング潰し”の戦術に屈したのも事実。デ・ヨングが持たないときも、しっかりパスコースを消されて、インターセプトを繰り返された。デ・ヨングは間違いなくチームの頭脳となるだけに、彼を中心としたビルドアップの修正が、アヤックスは急務となる。

2か月前、CLラウンド16の対戦相手がレアル・マドリーに決まった時、オランダでは「レアル・マドリーは不調だし、アヤックスは勝てるかもしれない」という楽観的な声が上がっていた。しかし、今、両者の立場は一変した。11月からサンティアゴ・ソラーリが指揮を執るレアル・マドリーは一つのチームになったが、アヤックスは今年に入ってからコレクティブな姿を失っている。ホームでもアヤックスはアンダードッグの立場だろう。

だが、アンダードッグのヘーレンフェーン、フェイエノールト、ヘラクレスが、格上アヤックスに対して戦った姿勢を、今度はレアル・マドリーに対して格下になるアヤックスが示せたらどうだろう。舞台は「本当のヨハン・クライフアレーナ」だ。その雰囲気を吉田麻也は「僕たちが勝って帰るのは、許されない雰囲気だった」と語ったことがある。サッカーの魅力は、スタジアムの燃える雰囲気が、選手に乗り移って相乗効果を与えるところ。12月のバイエルン戦のような劇的な試合の再現を、レアル・マドリー戦でも期待したい。

■アヤックス、レアル・マドリー戦予想メンバー
GK:オナナ
DF:マズラウイ、デ・リフト、ブリント、タグリアフィコ
MF:ショーネ、デ・ヨング、ファン・デ・ベーク
FW:ネレス(フンテラール、ドルベリ)、タディッチ、ジエフ

文=中田徹(オランダ在住ジャーナリスト)

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