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シント=トロイデンの柱となった鎌田大地と冨安健洋。遠藤航は攻撃面で試行錯誤の日々【サムライたちの前半戦】

前半戦の評価:

鎌田大地 5

遠藤航 3.5

以下に続く

冨安健洋 4.5

関根貴大 2

小池裕太 2

立ち位置:

鎌田大地:2トップのレギュラー

遠藤航:インサイドハーフの準レギュラー

冨安健洋:右ストッパーのレギュラー

関根貴大:左右両サイド、もしくは2トップのバックアップ

小池裕太:左サイドのバックアップ

公式戦出場記録:

鎌田大地:リーグ・15試合出場10得点 カップ戦・2試合出場1得点

遠藤航:リーグ・17試合出場2得点  カップ戦・2試合出場0得点

冨安健洋:リーグ・21試合出場1得点 カップ戦・3試合出場0得点

関根貴大:リーグ・1試合出場0得点 カップ戦・0試合出場0得点

小池裕太:リーグ・0試合出場0得点 カップ戦・0試合出場0得点

後半戦の目標:

鎌田大地:シーズン15得点以上。チーム内得点王

遠藤航:レギュラー奪取

冨安健洋:フルタイム出場維持

関根貴大:負傷からの復活。ポジション確保

小池裕太:トップチームデビュー

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■攻撃をリードする鎌田

鎌田大地がベルギーのジュピラー・プロ・リーグで猛威を振るっている。昨年夏にサガン鳥栖からドイツ・ブンデスリーガのフランクフルトへ完全移籍するも公式戦わずか3試合出場に留まり、シーズン終了後は来季のチーム構想に入らずサマーキャンプへの参加も見送られたが、夏の移籍マーケット終了間近の2018年8月31日にベルギー・ジュピラー・プロ・リーグに所属するシント=トロイデンへのレンタル移籍が発表されて新天地へと赴いた。

そして9月16日の第7節・ヘント戦で途中出場して新チームでのデビューを飾ると、この試合で初得点をもマークする。その後もゴールを量産した鎌田は第21節終了現在で15試合出場10得点とチーム内最高得点数を記録し、エースとしての地位を確立した。

シント=トロイデンのマーク・ブライス監督が用いるシステムは3バック、アンカー、両サイドアタッカー、ダブルインサイドハーフ、2トップの組み合わせの3-5-2。その中で鎌田はコートジボワール人FWのヨアン・ボリと共に2トップを組んで最前線に立っている。正直言って、鎌田のプレー関与率はそれほど高くなく、味方選手たちとのコンビネーションは希薄だ。

しかし、数少ない好機の際に見せる彼の神通力は凄まじく、クイックモーションを駆使したドリブル突破や振り足の速いシュートなどで相手守備陣を翻弄し、驚異の決定力でゴールを決め続けている。たとえ劣勢を強いられる試合展開でも鎌田のワンアクションで結果を覆せるだけに、現状では彼がシント=トロイデンの攻撃をリードする存在であることは間違いない。

■チームの屋台骨となる冨安

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そして、もうひとり、今のシントトロイデンで欠かせない戦力として君臨しているのが冨安健洋だ。昨シーズン途中にアビスパ福岡から移籍加入してから順調にチームへの順応を果たし、今季は開幕から3バックの右ストッパーでレギュラーポジションを確保している。当初はボール保持時の攻撃起点になる際に戸惑いも見られたが、リーグのプレー強度や傾向に馴染むと落ち着いた所作が目立つようになり、今では敵陣へ積極的に打って出て組み立てに参加する。

また本来の職務である守備面に関しても安定していて、対人では大抵の相手に競り負けることなくエリアを制圧できている。リベロのホルヘ・テシェイラやスティーブン・デ・ペッター、左ストッパーのポル・ガルシアらとのディフェンスライン形成もスムーズで、まさにチームの屋台骨を支える存在として認知されつつある。

■遠藤は一皮むけられるか

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鎌田、富安のふたりがチームの攻守を牽引する中軸として振る舞う中で、自らに課せられた役割を実践しようと試行錯誤しているのが遠藤航だ。2018年夏に浦和レッズからシント=トロイデンへ移籍加入した直後はダブルボランチ、もしくはアンカーのポジションですぐさま頭角を現し、デビュー戦となった第2節のヘント戦で途中出場から初ゴールを決めるなど強烈なインパクトを残した。

しかしブライス監督がチームシステムを3-5-2に定め、アンカーポジションにボールキープ能力が高い上に機動力に優れる小柄なサミュエル・アサモアを抜擢してから、遠藤に任されるポジションは一列前のインサイドハーフになった。ただ、このポジションにはプレーメイクで絶大な能力を発揮する背番号10のロマン・ヘズス、高い身体能力を誇って中盤で優位性を生むアレクシス・デ・サートなどのライバルたちがひしめく。

そんな中、ブライス監督が求めるインサイドハーフの役割は前線からのファーストプレスなどで守備面での貢献を果たしつつ、2トップと連係して攻撃面でタクトを振るうこと。遠藤はプロデビューを果たした湘南ベルマーレ、2016年に移籍した浦和では主に3バックのストッパーやリベロを任され、U-23日本代表の一員としてリオオリンピックへ出場した際には手倉森誠監督からキャプテンの任を託されながらボランチでプレーした。しかし、今は自身のキャリアの中で最も前目のポジションで結果を果たさねばならない状況を迎えている。

ただし、今の遠藤はその境遇を前向きに捉えていて、高いモチベーションを保ち続けている。森保一監督率いる日本代表に常時選出されていることも、彼の向上心を掻き立てる動機を与えているのだろう。もし今の攻撃的なポジションで結果を残せれば、彼は突出したユーティリティ能力を備えた選手として、今後も様々なシチュエーションで重宝されるだろう。

■関根、小池は我慢の時

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一方、浦和時代に遠藤のチームメイトとして活躍した関根貴大は2017年の夏に浦和からドイツ・ブンデスリーガ2部のインゴルシュタットに移籍してからは出場機会が限られていた。そこでヨーロッパで自己の存在をアピールするため、今夏にレンタル移籍でシント=トロイデンへ向かったが、新天地では相次ぐケガに悩まされて雌伏の時を過ごす。左右両足の太もも裏を肉離れした際には精神的にも落ち込んだが、11月中旬から約3週間に渡るリハビリを日本で行い、12月上旬にベルギーへ戻ってからは順調に回復して今は全体練習にも合流している。

ただ、以前、9月1日の第6節・オーステンデ戦でシント=トロイデンでのデビューを果たした際はわずか6分間の出場で肉離れを起こしたため、今回は慎重にコンディションを整え、自らが納得した上で戦線へ復帰したい思惑がある。おそらく関根がシントトロイデンで本当の力を見せつける時はウィンターブレイク明けの1月中旬以降になるだろう。ヨーロッパに旅立ってからの彼は出場実績が少ないため、Jリーグ時代にプレーした右サイド以外に左サイド、もしくはFWとしての出場も考えられる。もし右サイドならばキャプテンのジョーダン・ボタカ、FWならばボリ、もしくは鎌田とのポジション争いになるだろう。

「必ず復活して、このベルギーで自分の存在を見せつける。今は、そんな高いモチベーションがあります」

挫折を経て、強固な精神を得た彼は、リーグ5位でプレーオフ圏内を維持する好調なチームの中で果敢に勝負の舞台へ打って出ようとしている。

そしてもうひとり、流通経済大学からJリーグでの経験を経ずに(鹿島アントラーズでの特別指定選手の実績はあり)シント=トロイデンへ加入した左サイドバックの小池裕太は、まだトップチームへの参加を見送られている状況だ。シント=トロイデンは日本企業のDMMグループが経営権を獲得し、FC東京のゼネラルマネジャーなどを歴任した立石敬之氏がGMを務める中で、今後も小池のような将来性のある若手有望株を獲得してベルギー、そしてヨーロッパのマーケットに日本人選手のポテンシャルを認知させるアクションをも起こそうとしている。

取材・文=島崎英純

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