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「熱」はイタリア以上。長友佑都、ガラタサライで熱く、タフに戦い抜く【サムライたちの現在地】

●立ち位置
左サイドバックの主力
●個人への期待、目標
コンスタントな出場、CLでの上位進出
●ポジション争いのライバル
リオネル・キャロル

■ミランからイスタンブールへ。指揮官からの直電話

2018_8_9_terim(C)Getty Images 今年1月、7年間プレーしたインテルからガラタサライへ期限付き移籍し、今季完全移籍に踏み切った長友佑都。2018-19シーズンのトルコ・シュペルリガは、8月10日のアンカラ・ギュジュvsガラタサライで幕を開ける。長友は昨季、ハーフシーズンを戦い、リーグ戦15試合、カップ戦1試合に出場。イスタンブールの名門の3シーズンぶりとなるリーグ制覇に貢献した。今季はリーグ連覇、そして自身7年ぶりとなるチャンピオンズリーグでの上位進出を懸けた勝負のシーズンとなる。
 
「ガラタサライのサッカーは躍動感にあふれているし、僕自身をチームメイトがすごく生かしてくれる。やっていてメチャクチャ楽しい」
 
昨シーズン中から繰り返し充実感を語っていただけに、トルコの名門クラブの一員としてフル稼働できる今季は、非常にモチベーションが高いことだろう。

昨季前半、ガラタサライの左サイドバックはルーマニア人DFヤスミン・ラトブレビチが務めていた。しかし、守備の脆さやミスの多さが目立ち、ファティ・テリム監督も頭を抱えていたという。センターバックを本職とする184㎝の長身DFハカン・バルタを左で使う試みもしたが、どうしてもうまくいかない。そこで指揮官は長友に直々に電話を入れ、得意のイタリア語を駆使して説得に打って出た。
 
「テリム監督から誘われて、(ヴェスレイ)スナイデルやフェリペ・メロ、(ロベルト)マンチーニ監督に相談したら『最高のクラブだから行け』とストレートに言われた。サッカー人生を考えたら迷いはなかったですね」
 
すぐさま新天地に赴く決断を下しチームに加わると、左サイドで獅子奮迅の働きを見せた。彼の加入によってガラタサライの失点は劇的に減り、攻守両面のバランスが非常に良くなった。昨季終盤はフェネルバフチェ、バシャクシェヒル、ベシクタシュと激しいタイトル争いを繰り広げたが、経験豊富な長友の存在もあり、逃げ切りに成功。CL出場権も手に入れた。

■開幕前のカップ戦でアシスト。満を持して開幕へ

2018_8_9_Galatasaray(C)Getty Images 迎えた今季。長友の地位は依然として盤石だ。それを象徴したのが、5日に行われたトルコ・スーパーカップ・アクヒサル戦。長友は4-2-3-1の左SBで先発出場する。ガラタサライは開始早々に1点をリードされたが、79分、長友が目の覚めるようなクロスを送ると、元スイス代表FWエレン・デルディヨクが合わせ、同点弾を叩き込むことに成功。チームはPK戦の末に苦杯を喫したが、「背番号55」の存在価値を再認識させるには十分なパフォーマンスだったと言っていい。
 
ガラタサライの左サイドは、昨季所属したヤスミン・ラトブレビチが移籍し、ハカン・バルタが引退。セビージャに期限付き移籍していた27歳のフランス人DFリオネル・キャロルを戻したものの、長友を脅かすには至っていない。先のスーパーカップでは、延長戦に入った102分、長友が負傷したため代わって投入されたが、先発の選択肢ではなかった。

なお、この負傷についてクラブは7日に右足大腿部の負傷と発表、離脱が懸念された。しかし本人が8日、「試合中、少し張りがあったから交代したけど、検査も問題なかったし、今日も元気に練習行きます」とツイッターを更新。心身ともに万全な状態で、開幕戦に向かっているようだ。

■自身7シーズンぶりのチャンピオンリーグ

2018_8_9_nagatomo(C)Getty Images 「長年、セリエAにいた自分がトルコに来るということで、正直、リーグのレベルがかなり落ちるんじゃないかと思っていました。でも実際に戦ってみると本当に難しいリーグだと感じる。アウェイになるとサポーターの雰囲気も尋常じゃない。サッカーに対しての熱、それはイタリア以上のものを感じるので、ここでやっていたら精神的にメチャメチャタフになる。アフリカ系の身体能力の高い選手も多いし、個人としても成長できる環境だと思う」
 
こう強調している通り、さらに高いレベルへ「もう一つ、自分を伸ばしたい」と昨季リーグ終盤から意欲を燃やしてきた長友。今のチームには、元フランス代表FWバフェタンビ・ゴミスやモロッコ代表MFユネス・ベルアンダ、そして、ヴァイッド・ハリルホジッチ元日本代表監督の下、2014年ブラジルW杯でアルジェリア代表の10番を背負ったソフィアン・フェグリなど、個の能力の高いタレントがいる。彼らと日常からぶつかり合えば、長友の激しいプレースタイルもさらに磨きがかかるだろう。
 
9月からはCLグループリーグもスタートする。
 
インテルに加入した2010-11シーズンにベスト8、翌2011-12シーズンにベスト16入りを果たして以降、CLから遠ざかっていた長友にとっては7シーズンぶりの大舞台だ。

この夏、2018年ロシア・ワールドカップで世界トップレベルを体感した小柄な左サイドバックが、ベルギー代表であるロメル・ルカク(マンチェスター・ユナイテッド)やケヴィン・デ・ブライネ(マンチェスター・シティ)といった選手と真剣勝負を演じたいと思うなら、CLで上のレベルまで勝ち上がらなければならない。ガラタサライではそれを果たせるという目論見があって、完全移籍に踏み切った部分もあったに違いない。
 
彼らとの対戦が現実になるか否か。そして長友佑都の名を印象付けことができるのか。そのすべてが今季、ガラタサライでのパフォーマンスにかかっている。新天地で1シーズンをタフに戦い抜く、日本屈指のタフな男に大きな期待を寄せたい。
 
(取材・文=元川悦子)  

以下に続く

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